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EVENT
2024.11.5

起業女子×企業女子向け〜コミュニケーションの強みとモヤモヤを理解してより良い関係を育む〜

主催:SOU事務局
募集期間:2024/11/01〜2024/11/08
開催期間:2024/11/08〜2024/11/08
2024.11.5
イベント/セミナー/研修を探している とりあえず事業の相談がしたい 人材を探している

県内全エリア

長野発!働く女性が仲間を作れる新しい場”Biotope”(ビオトープ)。
仕事以外の場所で、趣味で繋がる、想いで繋がる、今の自分にもう一つ、
好きなことを、一緒にできる、そんな仲間と出会える場所。
働く女性が誰でも参加できる交流会in長野です。


■起業女子×企業女子向け〜コミュニケーションの強みとモヤモヤを理解してより良い関係を育む〜
「自分の強みってなんだろう?」
「何かにモヤモヤしているけどなんでだろう」
そう感じることはありませんか?
今回はそんな疑問を解消すべく、コミュニケーションにおける「強み」と「モヤモヤ」を短時間で明確にし、実践的な改善方法を学ぶ90分のワークショップを行います。
無意識に行っている自分のコミュニケーションの特徴を知り、自己認識を深め、
良い関係づくりを育むためのコミュニケーションのズレに気づき、
より良いチーム作りの具体的なステップを探ります。


◾️こんな方にオススメ
・女性個人事業主、女性フリーランサー
・女性チームリーダー、女性マネージャー
・人間関係の改善を目指す女性ビジネスパーソン


◾️こんなことが発見できます
・コミュニケーションの強み、それを活かす方法
・「モヤモヤ」やズレの原因となっているもの
・第三者の視点から無意識の思い込みに気付く
・すぐに実践できるコミュニケーションの改善策


◾️概要
・2024年11月8日(金)19:30(19:00受付) -21:00 終了
・会場 シソーラス株式会社[DX center 長野市鶴賀権堂町2312−1]
・参加費 無料
・参加者数 20名
・お申し込み https://biotopesou02.peatix.com/


◾️プログラム
1. オリエンテーション・インスピレーショントーク(10分)
2. 強みの発見ワーク(20分)
3. 「モヤモヤ」発見ディスカッション(20分)
4. 無意識の思い込みとズレの気付き(20分)
5. アクションプラン作成(15分)
6. まとめと質疑応答(5分)

ARTICLE
2024.10.31

幼馴染3人で地元のゲストハウスを事業承継。観光業を通して地方創生を目指す【後編】先輩起業家インタビューvol.8

2024.10.31

起業する。会社を立ち上げる。「創業」と一口にいっても、そのあり方は人それぞれ。同じ選択や道筋は一つとしてありません。魅力的な先輩起業家が数多く活躍している長野県。SHINKIの先輩起業家インタビューでは、創業者の思いやビジョン、創業の体験談や、本音を掘り下げます。

「本業と並行しながら長野で起業をすることに対しては、もちろん不安はありました。ですが、やはり仲間がいたことが大きかったです。仮に事業が上手くいかなくても、3人なら一緒に楽しめるだろうという信頼がありました。不安はゼロではなかったけれど、期待やわくわく感の方が大きかったですね。」

そう語るのは、長野駅前にあるゲストハウス「Local Knot Backpackers」を運営する鈴木敦也(すずきあつや)さん。松本出身の幼馴染3人組で長野駅前のゲストハウスを事業承継し、それぞれが本業と並行しながら、地元長野で宿を運営し、地方創生に貢献する新たな挑戦を続けています。

インタビュー後編では、実際に引き継いだ後の手応えや、本業を続けながら起業することにどう向き合ったのか、今後の展望についてお聞きしました。

<お話を聞いた人>
Local Knot Backpackers

■藤澤厚太/ KOTAさん
1997年生まれ。長野市/松本市出身。「人や組織の可能性を最大化する」ことをキャリアビジョンとして掲げて活動。ベンチャー企業で戦略/新規事業開発コンサルタントとして活動すると同時にCoach A Academiaを経てコーチとしても活動している。

■堀内勇吾/ UGOさん
1997年生まれ。松本市出身。大学進学を機に東京へ上京。大学在学中はゼミや学園祭実行委員、バイトに心血を注ぎ、密度の濃い学生生活を送った。大学卒業後は2020年に日本の大手総合化学メーカーへ入社。2023年11月にエンジニア人材サービス会社に転職。

■鈴木敦也/Tsuyaさん
1997年生まれ。松本市出身。高校卒業後、管理栄養士を目指し上京。大学在学中は資格勉強の傍ら、飲食店でのアルバイトや留学を通じ様々な「食文化」に触れてきた。現在は都内で管理栄養士として働いており、商品開発やマーケティングに従事。

本業で培ったスキルと経験が、起業の後押しとなった

(写真左から堀内さん、藤澤さん、鈴木さん)

――インタビュー前編では、たった1ヶ月で事業承継の準備をされたとお話がありましたが、その際に県のサポートや助成金などは利用されましたか?

藤澤さん:とにかく早く動く必要があったので、長野県からのサポートをしっかり調べる時間はほとんどありませんでした。でも、本業で事業計画を検討した経験があり事業の実現可能性のポイントを押さえていたため、日本政策金融公庫へ融資申請する際にも、特に大きな問題なく準備を進められました。今後事業を成長させていくにあたり、長野県からのサポート等もうまく活用していければと思っています。

――本業の知識があったおかげでスムーズに進んだんですね。事業継承後の引き継ぎ作業はどうでしたか?

堀内さん:そうですね。バタバタはしましたが、何とかやり遂げました。契約に関するお金の振込が2月中に済み、3月から4月は毎週末長野に通ってオペレーションや実務の引き継ぎトレーニングを受けました。そして5月にはすべての引き継ぎが完了し、自分たちだけでの運営が始まりました。

――地方では人材確保が難しいと言われますが、働いてくれるスタッフはすぐに見つかりましたか?

藤澤さん:基本的には、もともと働いていたスタッフの方々に引き続きお願いしました。その上で、アルバイトとして大学生やワーキングホリデーで来ていた外国籍の方を数名採用しました。それに、僕らオーナーが常に現場にいるわけではないので、新たに現場ディレクターとして、大学時代の友人を雇いました。彼は長野に住んでいて、信頼できる存在だったので助かっています。

――地元で起業したからこそできる採用のあり方ですね。引き継ぎのあとは、どんなステップを踏みましたか?

藤澤さん:次に取り組んだのは、ゲストの方により快適に宿泊してもらうための施設改修です。「森と水バックパッカーズ」としての運営は順調に続けられていたものの、「ジャーナリングするゲストハウス」という新しいコンセプトを実現するためには、いくつかの課題がありました。築45年という古い建物で、壁のひび割れや床の凹凸、天井のシミなど、直さなければならない箇所が多かったんです。

リニューアルにあたり、リネン類や内外装も少しずつ改修

堀内さん:そこで、改修資金を集めるためにクラウドファンディングを行いました。本当にありがたいことに、約200名以上の方にご支援いただき、必要な資金を集めることができました。驚いたのは、その内95%近くが友人や知人だったことです。まだ引き継ぎ間もない頃からこれほど多くの方々が応援してくれたのは、自分たちの活動が認められたことでもあり、励まされました。

鈴木さん:リターンとしてお礼の手紙を書いていると、地元の同級生や、久しく会っていない友人の名前も出てきて、とても嬉しかったですね。

藤澤さん:僕らの新しい挑戦を信じてくれたことが、とても嬉しかったです。これからもその期待に応えられるよう、深呼吸ができる空間を作り続けたいと思っています。

会社員を続けながらの起業。仲間がいたから不安を乗り越えられた

宿の改修はスタッフやゲストと会話しながらDIYで行っている

――「森と水バックパッカーズ」と出会ってから、一気に事業が進んでいったのですね。会社員として働きながら起業するというのは、不安が大きかったのでは?

堀内さん:最初は「経営がうまくいくのか」「口約束で終わってしまわないか」という2つの不安がありました。後者については「僕たちなら大丈夫だろう」と思っていたんですが、経営面では正直すごく不安でした。でも、藤澤が本業で新規事業開発をしていたので、「彼がいれば何とかなる」と感じるようになりました。

鈴木さん:僕も不安はありましたが、やはり2人の存在が大きかったです。これまでずっと一緒に遊んでいたので、仮に上手くいかなくても、一緒に楽しめるだろうという信頼がありました。不安はゼロではなかったけれど、期待やワクワク感の方が大きかったですね。

ただ、実際に事業を継承して正式にオーナーになったときは、プレッシャーを感じ、「もうやるしかない」という気持ちになりました。今は楽しんでやれているので、本当にやって良かったと思っています。

――藤澤さんは本業の経験があるとはいえ、初めての起業に対して不安はありませんでしたか?

藤澤さん:もちろん不安はありました。でも、僕はリスクを分解して考えるタイプなので、一つ一つ不安要素を洗い出し、クリアすれば前に進めるようにしていきました。最終的には「少しの勇気さえあればやれる」という段階まで不安を減らしたことで、逆に、「ここまで準備してやらない方がリスクだ」と感じるようになって。「この挑戦をしなければ、一生何者にもなれない」という思いが大きな原動力になりましたね。

――不安を具体的に分解することで、「やらない方がリスクだ」と感じられるようになったんですね。

藤澤さん:そうです。これも本業での経験が役立ちました。要点を押さえて、それをクリアすれば道が開けるという確信が持てたので、その後の不安もかなり軽減されました。

――地元長野で起業するという選択は、改めて振り返っても正解だったと思いますか?

旅人が残していったノートには、長野や宿での思い出がぎっしり詰まっている

鈴木さん:東京に行ったからこそ、長野の良さが見えてきた部分があります。長野を出る前は、「長野には何もない」と思っていましたが、東京に行ってみると、東京もお金がなければ何もできないんだと気づいたんです。そう考えたら「何もないなら、自分で作ればいい」と思えるようになり、それから長野のほどよいローカル感が最高だと感じるようになりました。今では長野が大好きです。

堀内さん:長野の良さは上京した時から知っていましたが、創業を経てさらに魅力的な街だと思いました。帰る度に好きになる、そんな街です。そんな自慢の街をもっと色んな人々に知ってもらえるよう、みんなで楽しみながら進んでいきたいです。

藤澤さん:長野にはUターンする人も多いのですが、僕たちのように東京を拠点にしながら二拠点生活をしている人は少ない気がします。僕たちの強みは、東京で得たものを長野に還元できることだと思います。この強みを活かして今後も頑張っていきたいですね

半歩も一歩。歩み続けることが前に進む唯一の手段

宿のリビングを開放し、地元の大学生と読書会のイベントを企画

――改めて、事業が軌道に乗り始めた今の心境を教えてください。

鈴木さん:一つ大きな「武器」を手に入れた感じですね。目に見える形で「これをやっている」という看板ができたことで、自分たちの活動がはっきり示せるようになりました。まだ目指しているゴールには遠いですが、少し肩の荷が下りた気がします。

堀内さん:僕も、過去と比べるとだいぶ進展があり、落ち着いてきました。ただ、これからを考えると、まだまだやることが山積みですね。僕たちの最終的なゴールは、ゲストハウスを運営するだけではなく、地方経済を活性化させて地域を再生すること。まだその道のりは長いです。

藤澤さん:僕も2人と同じ意見です。お客さんが楽しんでくれている姿を見ると本当に嬉しいし、僕たちもこの場所に来るのが楽しみです。このゲストハウスは、僕たち自身にとっても「居場所」なんです。でも、堀内が言ったように、僕たちが目指しているのはもっと大きなものなので、このゲストハウスで終わるつもりはありません。事業をさらに拡大していきたいですね。今は、まだ0歩目といったところです。

――今後チャレンジしていきたいことはありますか?

藤澤さん:ゲスト同士やスタッフとの繋がりだけでなく、地域住民とももっと繋がれるようにしていきたいと思っています。たとえば、今は長野県立大学の学生さんと一緒に読書会を企画したり、信州大学の建築学科の学生さんたちとリノベーションイベントの企画を進めています。今後も、地域の方々にも来てもらえるようなイベントを増やしていきたいですね。

鈴木さん:せっかく長野で拠点が一つできたので、長野の豊かな食材を活かし、地産地消をテーマにした商品開発をしていきたいです。農家さんと繋がりをつくり、規格外の食材を使って、何か新しい商品が作ったり、食にまつわるイベントができたらいいなと考えています。

――最後に、長野での起業を目指しこれから動き出そうとしている方に向けてメッセージをお願いします。

藤澤さん:僕が伝えたいのは「何者かになりたいなら、一歩の勇気を持つこと」です。僕自身もその一言で動き出すことができました。

堀内さん:一人で悩んでいるなら、仲間を作ることですね。仲間がいれば不安なこともお互いにカバーし合えるし、何より一緒にやることで楽しさが100倍になります。

鈴木さん:僕は「半歩の積み重ね」を大事にしてほしいと思います。人によっては最初の一歩が難しいと感じることもあるかもしれませんが、仲間を集めたり、現場に足を運んだりして、少しずつ動き出すことで道は開けます。僕もその半歩の積み重ねでここまで来られました。なのでみなさんもぜひ「半歩の積み重ね」を大切にしてください。

Local Knot BackpackersのInstagram https://www.instagram.com/local_knot_bp/

ARTICLE
2024.10.31

幼馴染3人で地元のゲストハウスを事業承継。観光業を通して地方創生を目指す【前編】先輩起業家インタビューvol.8

2024.10.31

起業する。会社を立ち上げる。「創業」と一口にいっても、そのあり方は人それぞれ。同じ選択や道筋は一つとしてありません。魅力的な先輩起業家が数多く活躍している長野県。SHINKIの先輩起業家インタビューでは、創業者の思いやビジョン、創業の体験談や、本音を掘り下げます。

「東京で本業を続けながら長野に通う生活を始めたのは、地元を盛り上げたいという思いからでした。幼馴染の3人で、力を合わせてゲストハウスの運営に挑戦することになるなんて、夢にも思わなかったです。」

そう語るのは、長野駅前にあるゲストハウス「Local Knot Backpackers」を運営する藤澤厚太さん(ふじさわこうた)さん。幼馴染の堀内勇吾(ほりうちゆうご)さん、鈴木敦也(すずきあつや)さんと一緒に、まったくの未経験から事業承継による起業を果たしました。それぞれが本業と並行しながら地元長野で宿を運営し、地方創生に貢献するための挑戦を続けています。

インタビュー前編では、3人がそれぞれのキャリアを活かしながら「Local Knot Backpackers」を立ち上げるまでのストーリーや、スピード感が鍵となった事業承継による起業について聞きました。

<お話を聞いた人>
Local Knot Backpackers

■藤澤厚太/ KOTAさん
1997年生まれ。長野市/松本市出身。「人や組織の可能性を最大化する」ことをキャリアビジョンとして掲げて活動。ベンチャー企業で戦略/新規事業開発コンサルタントとして活動すると同時にCoach A Academiaを経てコーチとしても活動している。

■堀内勇吾/ UGOさん
1997年生まれ。松本市出身。大学進学を機に東京へ上京。大学在学中はゼミや学園祭実行委員、バイトに心血を注ぎ、密度の濃い学生生活を送った。大学卒業後は2020年に日本の大手総合化学メーカーへ入社。2023年11月にエンジニア人材サービス会社に転職。

■鈴木敦也/Tsuyaさん
1997年生まれ。松本市出身。高校卒業後、管理栄養士を目指し上京。大学在学中は資格勉強の傍ら、飲食店でのアルバイトや留学を通じ様々な「食文化」に触れてきた。現在は都内で管理栄養士として働いており、商品開発やマーケティングに従事。

「人々の想いが集まる場所」としてのゲストハウスを長野に作りたい

――まずはLocal Knot Backpackersの事業内容について教えてください。

藤澤さん:「Local Knot Backpackers」は、長野駅前にあるゲストハウスです。2024年の5月に、事業承継により「森と水バックパッカーズ」を引き継ぎました。3人とも東京で本業を続けながら、現地のスタッフと共に運営を行っています。現在は、地域の学生や若者を巻き込みながらDIYによる改修をしつつ、コンセプトのリブランディングを実行中です。

――ゲストハウスとは?

堀内さん:ゲストハウスというのは、旅館やホテルとは少し違い、旅人同士の交流を重視した宿泊施設です。例えば、「Local Knot Backpackers」の客室は、相部屋のドミトリーと個室の2種類となっており、共用部のリビングで他の旅人と自然に会話する機会がたくさんあります。ただ泊まるだけではなく、旅の途中で、自分と向き合う時間や他のゲストと深い会話が生まれるような環境作りを大切にしています。

長野は善光寺があり、古くから「人々の想いが集まる場所」です。僕たちは、その土地の力を活かしながら、このゲストハウスを「ジャーナリングするゲストハウス」として提供したいと思っています。

――「ジャーナリング」という言葉はあまり聞き慣れないのですが、どういったものですか?

藤澤さん:ジャーナリングとは、紙とペンを使って「今この瞬間に感じていること」を書き出すことです。頭に浮かんだことをそのまま書くことで、自分の感情や状態に気づけるんです。まさに「書く瞑想」とも言われるものですね。

鈴木さん:ここを訪れる人たちが、心の中を整理し、自分と向き合う時間を持てるようにすることが私たちの目標です。そのため、今後はノートやペンを常備し、ジャーナリングしたものを保管し、再訪した時に前回何を考えていたかを確認できる仕掛けを作れるように検討中です。また、他の旅人や、地域の方や観光客、私たちスタッフとの交流も促進し、自分の想いを語り合える場にしたいと思っています。

3人で旅をするの中で生まれた、「地方創生」への思い

――そもそも、皆さんはどのような経緯でゲストハウスの運営を始めることになったのでしょうか?きっかけを教えてください

藤澤さん:僕たち3人は松本出身の幼馴染で、それぞれ東京の大学に進学しました。上京後も自然と集まり、一緒に地方を旅行することが多かったんです。福島を旅行した時、みんなで湖のほとりのサウナに行ったのですが、外で深呼吸した瞬間がすごく印象的で。「やっぱり、自然の中で深呼吸するっていいよね」という話になり、「それなら地元・長野で何かやりたいよね」と考え始めたのがきっかけです。

堀内さん:あの瞬間は、僕たちにとって本当に大きな転機でした。それまでも「長野で何かやりたい」とは思っていたんですが、なかなか具体的なアイデアが出なくて。それが、福島での体験で「これだ!」と感じたんです。その後は、隔週でミーティングを重ね、「長野でゲストハウスをやろう」という方向性が固まっていきました。

――皆さん自身が、旅をする中できっかけを得たのですね。宿泊業以外にもいろんな選択肢があったと思いますが、どうして最終的にゲストハウスを選んだのでしょうか?

佐久の古民家を下見に行った際の様子

藤澤さん:方向性が固まるまでは、本当に試行錯誤の連続でした。最初は、古民家を改修して何かやろうだとか、地域の食材を活用した地産地消の商品開発も考えていました。実際に現場を見に行ったり、試作品を作ってみたりする中で、徐々に僕たちが目指すのは「地域経済や地方創生に本当に貢献できることがしたい」「深呼吸ができる場を作りたい」ということだと言語化できるようになりました。

そこで、人口が減少していく中で、地方を活性化させるにはインバウンドや外需が必要だと考え、旅行業に行き着いたんです。旅行業の中でも、宿泊施設はその核になると感じたので、ゲストハウスを選びました。

「森と水バックパッカーズ」との出会い

初めて「森と水バックパッカーズ」を訪れた日

――最初から事業承継という形での起業を考えていたのでしょうか。

藤澤さん:いや、最初は古民家を使った宿泊施設を考えていたんです。でも、古民家は駅前にはほとんどないし、移動の利便性も考えて、駅前での運営が現実的だということになりました

そこから物件を探すうちに、事業承継のプラットフォーム「バトンズ」にたどり着きました。物件ごと引き継げる事業承継であれば、地方課題となっている空き家問題の解消や事業承継問題で困っている方の課題解決にもつながるなと。

――観光業で地方を活性化させたいという思いと、事業承継による地域課題の解決が結びついたわけですね。

藤澤さん:そうです。それに「深呼吸」というコンセプトも大きかったですね。自然の中での深呼吸も素晴らしいですが、僕たちは社会的なつながりの中でリラックスすることも重要だと思っていて。

「Local Knot Backpackers」という名前にも、そうした「社会的な結びつき」を大切にする意味が込められています。一棟貸しの古民家だと、そういった人々の交流が生まれにくいんですよね。ゲストハウスなら、ゲスト同士やスタッフとの交流が自然に生まれる。僕たちの目的に合う形だと感じました。

――たしかに、ゲストハウスならいろんな人との交流が楽しめますね。物件探しはすぐに見つかりましたか?

藤澤さん:いや、物件探しには時間がかかりました。数か月いろんな案件を見ていましたが、なかなか条件に合うものがなくて。でも、「森と水バックパッカーズ」を見つけたときは、直感的に「これだ!」と思いました。すぐに3人で現地を見に行き、「ここでやろう」と即決しました。

「森と水バックパッカーズ」の屋上からの景色。長野市街が一望できる

――その後の交渉や引き継ぎはスムーズに進みましたか?

藤澤さん:実は、僕ら以外にもう一人経験豊富な候補者がいたんです。でも、前オーナーの方が、体調が崩されていたこともあり、とにかく早い事業承継を希望されていて。僕らには経験も知識も資金もなかったので、「情熱とスピードで勝負しよう」と決めて、「1ヶ月で資金を用意します」と伝えました。その約束を守って、実際に1ヶ月後に引き継ぎに必要な資金を用意したんです。

――経験がない中でも、情熱と行動力でチャンスを掴んだというわけですね。

藤澤さん:はい。本当に情熱とスピードが鍵でしたね。

インタビュー後半は、実際に引き継いだ後の手応えや、本業を続けながら起業することにどう向き合ったのか、今後の展望についてお聞きしました。

Local Knot BackpackersのInstagram https://www.instagram.com/local_knot_bp/

EVENT
2024.10.28

”起業家魂を信州から世界へ”信州ベンチャーサミット

2024.10.28
イベント/セミナー/研修を探している 他の企業との協業を検討している

県内全エリア

長野県では、創業しやすい環境づくりを推進するため、起業家が自身の事業構想を発表する信州ベンチャーサミットを毎年開催しています。
多くの皆様の御参加をお待ちしております。
2025年1月15日(水)までに下記URLの登録ページからお申込みください
https://tohmatsu.smartseminar.jp/public/seminar/view/54600

【日時】2025年1月16日(木)13:00~18:00(12:30受付開始)
【場所】長野市芸術館 リサイタルホール(長野市大字鶴賀緑町1613番地)
【定員】290名(先着順、参加は無料)

〇プログラム

13:00開会・主催者スピーチ
13:15基調講演① 長野県 県政参与 千本 倖生 氏「AI時代における戦略的マネジメントフィロソフィー」
14:20基調講演② 株式会社 KURABITO STAY 代表取締役社長 田澤 麻里香 氏「SAKEの佐久を世界に!世界初の酒蔵ホテル®の挑戦」
15:00起業家ピッチ
17:05起業家ピッチ表彰式
17:30交流会(18:00閉会)

〇起業家ピッチプレゼンターの募集

◆応募資格

長野県内に拠点・事業所を有す又は県内で事業を展開する(予定含む)起業家

◆人 数

9名

◆応募方法

電子メールでエントリーシートを提出(詳細は別添のチラシをご参照ください)

提出先: tvs-nagano@tohmatsu.co.jp

◆応募締切

2024年11月30日(土曜日) 24時必着

◆選考方法

書類選考による

◆結果通知

2024年12月9日(月曜日)※予定

◆表彰内容

以下の賞を表彰予定

表彰内容
信州ベンチャーサミット グランプリ総合的に評価が高いこと
ソーシャル・イノベーション賞地域課題に密着し、大きな社会変革をもたらすこと
インパクト・テクノロジー賞技術に強みを持ち、市場に対して大きなインパクトを与えること
マーケティング・ストラテジー賞優れた競争戦略を持ち、高い事業成長が見込めること
ビジョナリー賞多くの人に共感を得られるビジョンを持つこと
EVENT
2024.10.28

Startup Weekend松本

募集期間:2024/10/23〜2024/12/15
開催期間:2024/12/13-15〜
2024.10.28
イベント/セミナー/研修を探している とりあえず事業の相談がしたい 人材を探している

飯山エリア

長野エリア

大町エリア

松本市

木曽エリア

飯田エリア

伊那エリア

諏訪エリア

上田エリア

佐久エリア

全世界で「起業家を生み出す場」として展開する「Startup Weekend」が長野県松本市にて初開催!
スタートアップウィークエンド(以下、SW)とは、週末を活用してアイデアをカタチにする「スタートアップ体験イベント」です。
SWは初日の夜、アイデアを発表するピッチから始まります。アイデアに共感したメンバーと共にチームを組み、最終日の夕方までにユーザーエクスペリエンスに沿った必要最小限のプロダクト、そしてビジネスモデルを一気に作り上げます。
実は過半数の方が一人で初めて参加する方々です。特定の知識やスキルがなくとも、またアイデアをお持ちでなくともスタートアップをリアルに体験することが出来ます。初参加でも心配ありません。
皆さまのご参加を、心よりお待ちしています!

EVENT
2024.10.11

信州アクセラレーションプログラムの支援対象企業を募集します!!(2024年度下期)

主催:信州スタートアップステーション運営事務局
募集期間:2024/10/11〜2024/11/7
2024.10.11
イベント/セミナー/研修を探している 資金調達(投資/融資)を検討している 資金調達(補助金/助成金)を検討している

飯山エリア

長野エリア

大町エリア

松本エリア

木曽エリア

飯田エリア

伊那エリア

諏訪エリア

上田エリア

佐久エリア

長野県では、次世代産業を担う企業の創出を図るため、創業後間もない企業や第二創業期の企業を対象に短期間のアクセラレーションプログラム(集中的伴走支援)を行います。

短期間で大きな成長を望む起業家の皆様、是非ともご応募ください!!


■支援内容
支援対象企業に対し、以下の支援プログラムを提供します。
・ 月2~3回程度、面談支援/研修など(オンライン含む)
・ 月1回程度の外部メンターによるメンタリング(企業・VC・メディア・
専門家・先輩起業家・その他創業支援機関)
・ 成果報告会でのプレゼンテーション及びマッチング機会の提供

■応募資格
(1)創業者・経営者ご自身が起業家であること。
(2)長野県内に本社または主要な拠点を置く企業等であること。
(3)創業後概ね5年以内であること。
(第二創業や既存企業の新規事業も対象)
(4)有望なアイデアや戦略、またはアイデアの種を持つこと。
https://www.pref.nagano.lg.jp/…/sogyo/acceleration.html

■募集期間
令和6年11月7日 (木) 締切り 
※11月中に書類審査及び面談審査を実施し、支援対象企業等を決定します。

■応募方法
長野県公式HPの応募書類をダウンロードの上、下記の信州スタートアップステーション運営事務局メールアドレスまで必要書類を提出ください。お問い合わせ等は、メール・Facebookでご連絡ください。

信州アクセラレーションプログラムについてはこちら

有限責任監査法人トーマツ 長野事務所 
メール:shinshuss@tohmatsu.co.jp

EVENT
2024.10.9

市町村と繋がるピッチイベント「脱炭素ソリューションマッチング」への登壇企業を募集します!

募集期間:2024/10/08〜2024/10/18
開催期間:2024/11/14〜
2024.10.9
イベント/セミナー/研修を探している 販路拡大がしたい 産学連携に興味がある

県内全エリア

ゼロカーボン社会共創プラットフォーム「くらしふと信州」では、県内市町村と民間企業とのネットワーキングを目的として、ピッチイベントを開催します。
この度、登壇し、市町村とのビジネスの拡大を希望する企業を募集しますので、ぜひご応募ください!

【ピッチイベント(予定)】
日時:令和6年11月14日(木)午後(詳細な時間は後日お知らせします。)
場所:くらしふと信州(長野市問御所町1250-1)
定員:会場20名程度、オンライン無制限

【募集内容】
以下テーマについて、具体的な脱炭素ソリューションなどを市町村に提案できる企業を募集します。
(1)ソーラーカーポート
(2)PPA
(3)蓄電池
(4)EV
(5)J-クレジット
(6)その他、市町村との共創により実施したい取組

応募〆切:令和6年10月18日(金)

ARTICLE
2024.10.16

徐々に社会に出ていく、働きはじめについて

募集期間:2024/10/15〜2025/3/31
2024.10.16
イベント/セミナー/研修を探している 人材を探している 他の企業との協業を検討している

県内全エリア

こんにちは!SSSWのコーディネーターをしている九里です◎

長野県の女性の創業・起業支援(Shinshu Startup Station Women:SSSW)は、
2023年度から始まり、個別相談員/メンターとしても2年目となります。

合同会社キキという会社を共同創業者と数人のスタッフと営んでいます。
個人と社会、こうありたいと思う日常を自らの手でつくりだすことが出来るよう仕組みや場所を整える会社として、#暮らし #学び #はたらくをテーマに、長野県内にて、さまざまな事業をおこなっています。

私たちは学生起業ということもあり、若い世代の「起業」「プロジェクト」の相談を受けることもありますし、これからキャリアを積んでいく若者、そこと繋がっていきたい地域の企業や個人からご相談を受けることが多くあります。

今回はそんな相談の一つとして、ずっと関わっていた矢野叶羽さんからお話をお聞きし、新しいキャリアの作り方だなと感じたので、皆さんにお伝えするコラムをと。


矢野さんは、長野県立大学グローバルマネジメント学部4年生。
長野市を拠点に高大生・若者向けの「まなび対話コーディネーター」として場づくりの仕事をしています。

そんな彼女に、大学生と活動、働くことについてお話を聞いてみました。
まずは、最近お金という対価をもらいながら活動するようになっての感想を聞いてみました。
「働いているなあと感じます。お金をもらっていることも、もらってないことも、自然とお仕事と言うようになりました。バイトとも感覚が違います。」
「働いているというようになったのは、私に頼まれているという責任をもつ感覚になったから。」
とお話をしてくれました。「活動」から、「働く」に徐々にシフトをしている感覚のようです。

生き方・働き方を考えた時に、「自分のできる、やりたいことで働いていけるってかっこいいと感じていたこと」、「自分の住むまちで働きたいと思ったこと」と考えた時に、大学を卒業して、すぐにぽんっと社会にでてフリーランスや事業主として生きる自信はなかったから、徐々に社会というものに仕事をする人として出てみたんです、と図を交えながらお話をしてくれました。

社会に出ること/働くことは、学校で学んでいるときと途轍もなく乖離があると感じている人も多いはずです。
でも、そんなに大きく飛ばなくても、徐々に社会に出ていくことで、自分の目指したい姿に近づいていけるのではないか、と矢野さんのお話を聞いていて感じました。

もっともっと自然に「働くこと」に溶け込む選択肢を作ることで、社会全体で若い人たちや、これからもっと働きたい方々を包み込み、一緒に社会を作っていけるかもしれません。

インタビューを受けてくださった矢野叶羽さんのnote

INFO
2024.10.7

自分の ”興味・体験” からビジネスを作り出すスタートアップ入門講座

募集期間:2024/10/09〜2024/10/25
開催期間:2024/10/31 - 2024/12/12〜2024/12/12
2024.10.7
イベント/セミナー/研修を探している とりあえず事業の相談がしたい アクセラレーションプログラムを探している

長野市

NAGANO STARTUP STUDIO 起業クラブとは

NAGANO STARTUP STUDIO が提供する、まだビジネスアイデアがない方でも参加できる起業準備プログラムです。アイデア作り、メンバー募集、ビジネスモデル構築など、起業準備に必要なプロセスを体験できる内容となっています。

10月から、自分の “興味・体験” に基づく価値観からビジネスを作り出すスタートアップ入門講座を開講します!

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スタートアップ入門講座の特徴

自分の “興味・体験” からビジネスを作り出すスタートアップ入門講座 は、興味・体験から導き出される価値観と、新規事業創出のノウハウを融合させた起業を目指す方のための学びの場です。

ゼロからスタートアップを立ち上げるプロセスの中で、情熱や解決したい課題に向き合いながら、自分らしいユニークなビジネスを見つけましょう!また、コミュニティ内では、すでに事業を推進している先輩起業家から実践的な知識を得られ、他の参加メンバーと共に事業を進めることも可能です。

ぜひ、この講座とコミュニティを通じて、自分自身のビジネスを形にする一歩を踏み出しましょう!

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※詳細はリンクもしくは添付のチラシをご参照ください
※無料の個別オンライン説明を実施しております!
https://lit.link/nssoverview

INFO
2024.10.2

デジタルリテラシー人材育成研修 キックオフセミナー

募集期間:2024/10/03〜2024/10/25
開催期間:2024/11/01 - 2025/02/18〜2025/02/18
2024.10.2
イベント/セミナー/研修を探している 人材を探している 他の企業との協業を検討している

県内全エリア

長野県産業振興機構では、県内ものづくり企業が抱える生産性向上や人材不足等の課題を解決するため、デジタル知識を活用して実際の企業の現場で課題の解決策を提示・実行できる人材を育成するための研修を開催します。デジタルツール等を活用して課題解決力の強化を目指すものづくり企業、支援機関、IT企業の皆様のご参加をお待ちしております。

ARTICLE
2024.10.10

長野だから乗り越えられた創業初期の壁。眼科に特化した人材サービスで医療現場の課題を解決【後編】先輩起業家インタビューvol.7

2024.10.10

起業する。会社を立ち上げる。「創業」と一口にいっても、そのあり方は人それぞれ。同じ選択や道筋は一つとしてありません。魅力的な先輩起業家が数多く活躍している長野県。SHINKIの先輩起業家インタビューでは、創業者の思いやビジョン、創業の体験談や、本音を掘り下げます。

「人材系のビジネスは、在庫等を抱える必要がない無形商材のビジネスモデルなので、場所を選ばずに展開できます。そのため、初期の段階から家賃の高い東京にオフィスを構えるのは無駄だと考え、地元である長野で創業することにしました。」

そう語るのは、眼科に特化した情報メディア、就職/転職サービスを提供する株式会社Contactを立ち上げた依田龍之介(よだりゅうのすけ)さん。視能訓練士を目指し医療系の大学で学ぶ中で、医療現場の人材採用の課題を肌で感じ、起業を目指すように。ビジネスの新規性と可能性が評価され、2022年に創設された長野県の創業支援ファンド信州SSファンドの投資先第一号にも選ばれました。

本社はかつて祖父が暮らした軽井沢町の家に置き、現在は東京・下北沢のシェアオフィスとの2拠点で働く依田さん。インタビュー後編では、長野での創業を選んだ理由や、創業初期の課題、今後の展望について聞きました。

<お話を聞いた人>
株式会社Contact 代表取締役 依田龍之介さん

長野県出身。大学院修士課程修了。視能訓練士。大学院在学中に研究・学会発表を行いながら、3歳児健診での弱視見逃し防止に関する事業で経産省が主催するジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト等に登壇。その後、医療系ITスタートアップに参画。2022年株式会社Contact設立。

創業コストを下げるため、東京から地元の長野にUターン

軽井沢にある祖父の空き家をオフィスとして活用

――インタビュー前編では、思い立ったその日に登記を済ませたとお話がありましたが、長野での起業を選んだのはどうしてですか?

結論から言わせていただくと、初期コストを下げたかったからです。人材系のビジネスは、在庫等を抱える必要がない無形商材のビジネスモデルなので、場所を選ばずに展開できます。そのため、初期の段階から家賃の高い東京にオフィスを構えるのは無駄だと考え、地元である長野で創業することにしました。

まずは登記を済ませてから、長野での創業支援やサポートを探しました。その中で、信州スタートアップステーション(以下、SSS)を見つけました。

――SSSでは、具体的にどのような支援を受けましたか?

一番最初にSSSに相談に行った際は、そもそも視能訓練士とは何かというお話から、慢性的な眼科の人材不足など、医療現場の課題や現状の説明をさせていただきました。そこから、どんな事業なら課題解決が実現できるのかの壁打ちをすると共に、実現のために必要な資金量と調達手段についても相談にのっていただきました。

――開業にあたって資金調達はどのように行いましたか?

「眼科に特化した就職/転職サービス」というのは、あまり一般的でないサービスだったこともあり、当初見積もった事業資金規模に対し、既存の金融機関から十分な融資を受けるのが難しい状況でした。

人材サービスというのは、実は免許事業で、創業にあたって厚生労働省から「有料職業紹介免許」という免許の交付を受けないといけないんです。そのためには約500万円の純資産が必要で。

――まだ事業が始まっていないうちから、それだけの金額を準備する壁は大きいですね。

はい。僕は当時まだ大学院生でしたし、創業のための初期費用で貯金をほとんど使い切ってしまっていたので、500万円という金額は自分では到底用意できないものでした。さらに、銀行の融資を受けられたとしても、融資は会計上は純資産にカウントされないため、免許取得には不十分だったんです。

資金調達の壁に当たるも、長野県の創業支援ファンド第一号に

――その課題はどのように解決したのですか?

本当に運が良く、僕が起業したちょうど数ヶ月後にSSSが創業支援のファンド「信州スタートアップ・承継支援ファンド」を創設したんです。ファンドからの出資であれば純資産扱いになり、免許の取得をすることができます。

SSS側から「こんなファンドがあるんですがどうですか?」とご提案いただき、早速手続きをすすめ、無事に投資先第一号にお選びいただけました。その後、2022年の6月には視能訓練士の働き方などの記事を配信するサイト「Contactメディア」を立ち上げ、免許取得後に眼科に特化した求人プラットフォーム、「Contactキャリア」をスタートさせました。サービス開始から約一カ月で、関東を中心に約20の医療機関の求人を受け付け、視能訓練士は約130人の登録がありました。

――いざサービスを立ち上げて、実際に軌道に乗り始めるまではどれくらいの時間がかかりましたか?

初期の頃はとにかく大変でしたね。事業が安定するまでは思っていたよりも時間がかかりました。一年ほどはとにかく毎日必死に目の前のことに向き合っていたと思います。

――軌道に乗るまでの時間は、どうやって乗り越えられましたか?

東京の家を解約して大学院の地下で生活していた期間も

正直、今となってはあんまり覚えていないんです。全てのあらゆることを試し、少しでも可能性のあるものにはアクションをかけ、「あ、これだ」という手応えがあるものを手繰り寄せてつないでいったらやっと軌道に乗った、という体感です。

――以前SSSの相談員の方にインタビューした際に、成功する創業者の共通点は「何度もトライできるへこたれない人」というお話がありました。

もちろん、どちらかと言ったらつらかったですよ。でも、「起業をする」というのは自分で選んで自分で始めたことですから。僕は漫画の「進撃の巨人」が好きなのですが、漫画に出てくる「お前が始めた物語だろ!」というセリフで自分を鼓舞していました。

初期コストが抑えられる長野での創業。迷っている人はぜひ挑戦を

――改めて振り返っても、創業初期の場に長野を選んだのはいい選択だったと感じますか?

はい。何が一番良かったかというと、資金調達のハードルが低かったことです。長野には、県の創業窓口であるSSSがあります。そこで事業の可能性を感じてもらうことができれば、県内の金融機関等におつなぎいただけるというのは、新規創業者にとってとても心強かったです。

SSSを介さず、僕個人で金融機関をノックして融資の相談に行ったこともありましたが、当時の僕はまだ学生でしたし、事業としての実績もなかったため、門前払いされてしまうこともありました。ですが、「県のお墨付き」として、SSSの担当の方から「こんな起業家がいるんです」と紹介していただくと、最初の話を聞いていただく入り口がまったく違うんです。ドアが開いた感覚がありました。

――県の窓口があることで、信頼感が得られたと。

それから、東京とのアクセスの良さも大きな利点です。人材サービスというのはどこにいても展開できるビジネスモデルとはいえ、お客さんは東京の方が多いですし、支援してくださっている投資家や、起業家仲間も東京に多くいます。その点、軽井沢駅から東京までは新幹線で1時間弱で行けるので、東京でランチミーティングをして、夕方には家に帰ってくることができる。

もちろん交通費は多少かかりますが、東京で家もオフィスもかりるとなったらとんでもない額の費用が必要です。それならば、普段は軽井沢に篭って、必要なときにパッと東京に行く生活の方がよかったですね。現在、東京にもオフィスを置いているのは、創業当初よりも東京での仕事の機会が増えたからです。拠点を移したというよりは、二拠点を続けつつ、東京に比重を置いているという状態ですね。

――依田さんが今後挑戦していきたいことはありますか?

「医療分野の採用課題を解決する」という事業のコアは今後も変わりません。次のアクションとしては、大手の人材企業と事業提携をしていくことを目指しています。僕はどちらかというとゼロイチの人間なんです。アイデアを元に事業を立ち上げることが得意で、一から十に事業を成長させていくフェーズは、もっとその分野が得意な方にバトンタッチしていきたい。

なんとか、事業の仕組み自体は出来上がってきたので、ここからより大きく事業を成長させてくれる仲間と組んで、さらにサービスを大きく展開していきたいです。「Contactキャリア」は眼科医に特化した採用プラットフォームですが、ゆくゆくは眼科以外の職種にも展開していけたらと思っています。

――最後に、長野県での創業を考えている方向けのメッセージをお願いします。

商材を持たず、場所を選ばないビジネス展開を考えている方であれば、長野県での創業は本当におすすめです。僕は、長野県で創業して良かったと思っています。迷っている方には、ぜひ挑戦してほしいですね。

株式会社Contact https://corp.contact.ne.jp/

Contactキャリア https://contact.ne.jp/

ARTICLE
2024.10.10

長野だから乗り越えられた創業初期の壁。眼科に特化した人材サービスで医療現場の課題を解決【前編】先輩起業家インタビューvol.7

2024.10.10

起業する。会社を立ち上げる。「創業」と一口にいっても、そのあり方は人それぞれ。同じ選択や道筋は一つとしてありません。魅力的な先輩起業家が数多く活躍している長野県。SHINKIの先輩起業家インタビューでは、創業者の思いやビジョン、創業の体験談や、本音を掘り下げます。

「医療系というのは、離職率が高い職種だと言われているのですが、そもそも就職の時点でミスマッチが起きているゆえに離職率が高いのではないかと考えたんです。それならば、この業界の採用や就職の仕方を変えることができたらとビジネスの方向性が見えてきました。」

そう語るのは、眼科に特化した人材サービス「Contactキャリア」を立ち上げた、株式会社Contact代表取締役の依田龍之介(よだりゅうのすけ)さん。

学生時代、眼科医に関する動画に心を動かされたことから、目の検査の専門家である視能訓練士の国家資格を取るため、帝京大学医療技術学部に進んだ依田さん。コロナ禍をきっかけに「IT×医療」の可能性に関心を持つようになります。

インタビュー前編では、医療分野に興味を持つようになったきっかけや、学生時代に感じた医療現場の課題、ビジネスの方向性が定まっていくまでのストーリーを聞きました。

<お話を聞いた人>
株式会社Contact 代表取締役 依田龍之介さん

長野県出身。大学院修士課程修了。視能訓練士。大学院在学中に研究・学会発表を行いながら、3歳児健診での弱視見逃し防止に関する事業で経産省が主催するジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト等に登壇。その後、医療系ITスタートアップに参画。2022年株式会社Contact設立。

眼科に特化した求人プラットフォーム「Contactキャリア」で採用ミスマッチを防ぐ

――まずはじめに、株式会社Contactの事業内容について教えてください。

株式会社Contactは、眼科に特化した就職/転職サービス「Contactキャリア」を開発・運営しています。「Contactキャリア」は、視能訓練士を採用したい医療機関と、就職・転職を考えている視能訓練士をつなぐサービスです。

また、眼科メディカルスタッフ(視能訓練士、 看護師、 医療事務、 眼科医等)に特化した情報を発信するオウンドメディア「Contactメディア」も運営しています。現場に即した正確な情報を提供するため、弊社専属の視能訓練士ライターによって記事が執筆されており、開設以来累計640000PVを突破しています。

――視能訓練士とは?

視能訓練士とは、眼科専門の検査技師です。医療業界は全体的に人材が不足していると言われているのですが、中でも視能訓練士は採用ニーズが高まっています。

一方で、視能訓練士の資格を持っていても、インターネット等で閲覧できる医療機関の求人情報が乏しく就職が困難になったり、採用のミスマッチが起きて短期離職につながったりという課題があります。株式会社Contactは、その課題を改善することで、視能訓練士をはじめとする眼科メディカルスタッフが勤務先に満足して働ける社会を目指しています。

――医療分野の中でも、依田さんが視能訓練士に興味を持ったのはどうしてですか?

高校生の頃から、医療系の分野に興味がありました。進路について考える中で、YouTubeである動画を観たんです。その動画は、色覚障害で色が認識できない方が、色覚矯正の眼鏡をかけて見える色鮮やかな世界に感動するというもので。少しミーハーですが、そこから「目って大事だな、眼科っていいな」と思うようになり、視能訓練士の資格が取れる大学に進学しました。

コロナ禍により見えてきた、「医療×IT×ビジネス」の可能性

――自分自身が視能訓練士として働くのではなく、視能訓練士のためのビジネス立ち上げを目指すようになったのはどうしてですか?

医療者でありながらビジネスの方向へ進み始めた一番最初のきっかけはコロナ禍でした。大学入学当初は、国家資格を取るために勉強していたのですが、コロナが始まってから実習が全て中止になってしまったんです。

「これからの医療はどうなっていくんだろう?」と立ち止まった時、「ITを使って何か医療を発展させることができないだろうか」と考え、行動し始めました。

――今後の医療がどうなるのか不安を感じたということですか?

不安というより、むしろ「眼科はオンライン診療やITと相性がいいのでは?」と可能性を感じたんです。

実習こそ中止になりましたが、眼科はコロナ禍前からIT化が進んでいたんです。眼科というのは、医療分野の中でも特に小さい「眼球」を扱います。たとえば、皮膚科の診療の場合は直接先生が患部を見る場合が多いと思うのですが、眼科の診療の場合は機械で眼の写真や動画を撮り、そのデータをもとに診察を行います。そのため、遠隔の診療になったとしても対面の診療とあまり変わらなかったんです。

――なるほど。そこから「眼科×IT×ビジネス」の可能性について考え始めたのですね。

とはいえ、ビジネスについての知識や経験はまだ無かったので、まずは医療系のIT企業でインターンシップを始めました。その中で、自分なりに「医療×IT×ビジネス」でできることを模索しました。現在の事業内容とは異なりますが、経産省が主催するジャパン・ヘルスケアビジネスコンテストで、スマホを使って子供の弱視を早期発見する事業について登壇したこともあります。

そうして動く中で、「ビジネスはあくまで課題解決の手段であるため、コアとなる課題を見つけないといけない」と感じるようになりました。そこで目をつけたのが、医療業界の人材不足でした。

医療現場の採用課題を解決したい。「今日起業しよう」と思い立った日にまずは登記を済ませた

――医療系の人材不足というのは、ご自身が医療系の大学で学ぶ中で身近に感じていた課題だったのでしょうか。

そうですね。僕自身は、大学卒業後に大学院に進学し、IT企業でのインターンを行った後に起業したので、いわゆる就活自体はしたことがありませんでした。ですが、学部時代の友人たちの就活の話を聞いていたら、就活のあり方の課題が見えてきたんです。

たとえば、一般的な大学生の場合は、大学三年生から就活をはじめ、四年生になる頃には内定が出ていますよね。でも、僕の大学の友人の中には、卒業の一ヶ月前から就活を始める人がたくさんいたんです。

――それはかなりギリギリですね。

そうなんです。視能訓練士は人材が全く足りていないので、それくらいから就職活動をしても仕事自体は見つかります。しかし、相性や条件がわからないままに入職してしまうので、就職後にミスマッチが起き、すぐに離職してしまう。

転職しようとしても、医療機関から出ている求人情報は内容が乏しく、給与や働き方など知りたい情報が得にくいとみんな悩んでいて。人材が足りていない業界で、せっかく国家資格を保持しているのに就職活動がうまくいかない。これは大きな課題だと感じました。

医療系というのは、離職率が高い職種だと言われているのですが、そもそも就職の時点でミスマッチが起きているゆえに離職率が高いのではないかと考えたんです。それならば、この業界の採用や就職の仕方を変えることができたらと「医療×IT×人材」というビジネスの方向性が見えてきました。

――起業を考え始めてから誰かに相談はされましたか?

起業を考え始めた初期の頃から、当時インターンしていた先の代表や、周りの知り合いには初期の頃から「医療×IT×人材」のビジネスがしたいという話をしていました。医療分野は課題が深く、課題が深いということはビジネスに転換しやすい。そのため、「なかなかいいところを突こうとしているね」と好意的な反応をいただけたと記憶しています。

――アイデアが固まってきてから、起業に至るまではどんなステップを踏みましたか?

「医療×IT×人材」でビジネスをすると決めたのが2022年の年始で、年始休み開けの1月5日ごろに司法書士の方に「起業の手続きがしたい」と連絡を入れ登記しました。「今日起業しよう」と思ったタイミングで、衝動的に動いてしまいましたね。当時はまだ大学院一年目でしたが、起業自体はそんなにハードルがなく、登記後に「さてここからどうしよう」と具体的に考え始めました。

インタビュー後編では、長野県で創業することのメリット、創業初期の課題や、これからの展望について聞きました。

株式会社Contact https://corp.contact.ne.jp/

Contactキャリア https://contact.ne.jp/