【SSSW コラム】起業創業・キャリア相談窓口に訪れる女性たちの本音 ”ちゃんと”したい呪縛と幸福な働き方を考えてみる
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【相談窓口に訪れる女性たちの悩み】
信州スタートアップステーションには、地域のキャリアを考える多くの女性が起業やキャリアについて相談窓口を訪れています。その中でも特に目立つのが、管理職や起業家など「優秀」と評価される女性たちの悩み相談です。「仕事を他人に任せられない」「やるからにはちゃんとしないと」という思いにとらわれてしんどさを抱えてる方も多く、その結果、心身ともに疲弊し、いつしか燃え尽き症候群に陥ってしまうケースも少なくありません。
【なぜ「優秀」な女性ほど人に仕事を任せられないのか】
長野は忍耐力の高い県と言われていますが、その忍耐力が高い地域の中で”優秀”と言われ育ってきた女性ほど、プレイヤーとして成果を出す一方で、「他人に迷惑をかけたくない」「自分がやった方が早い」と考え、仕事を抱え込みやすい傾向があります。これは、幼いころから言われ続けてきた”ちゃんとしないと”と植え付けられた真面目さ、責任感の強さや「失敗してはいけない」というプレッシャーが影響しているのではないかと感じています。
自身に高い基準を求めるあまり、その基準に当てはまらない後輩やチームメンバーの働きに不安を覚え、仕事を任せられなかったり、任せてもマイクロマネジメントに陥ることもあります。しかし、これは自身の業務負荷が高り、部下やチームの成長機会を損ない、頑張っているのに成果が出ない、評価されないなどの悪循環につながってしまうことも。
【完璧主義と燃え尽き症候群のリスク】
責任感高く、完璧を目指して仕事をすると、一見すると仕事への情熱や成果に繋がるように思えますが(実際にプレイヤーとしては高い成果をあげますが)、すべてを完璧にこなそうとすることで、マネジメントとして業務の幅が広がるとキャパオーバーになってしまったり、心身の余裕を失い、長時間労働や過度なストレスに繋がってしまい、達成感を得るどころか、「十分にやりきった」と感じられない虚無感に陥ることもあります。また、自身の力の及ばなさに自己肯定感や自己効力感が下がってしまい、いわゆる「燃え尽き症候群」と呼ばれる状態になり、健康を害するだけでなく、キャリアを続ける意欲そのものが損なわれる可能性もあります。
【幸福に働き、活躍できるためのヒント】
女性管理職や起業家が幸福に働き活躍するためには?幸福に軽やかに活躍している先輩たちはどうしているのか?そこからヒントを探りたいと思います。
●人に任せてみる”小さな成功体験”を
チームや後輩、他の人に仕事を任せることは、自分だけでなく実はチーム全体の成長に繋がります。また、任せる際には、期待値を明確にし、信頼を前提に、任せる側のあなたにとっても任せられる側にとっても、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。
●完璧主義を一旦手放そう
「100点を目指さず、まずは60-70点でOK」とする考え方を取り入れましょう。完璧を追い求めずとも、結果として良いチームができ、良い成果が得られるケースが実は多いのです。
●セルフケアは大事!
自分自身の心身を大切にできていますか。自分のココロと身体がしんどい状態で任せるのは至難の業です。長野の自然環境を楽しみながら発酵食品で体内きれいにして森林浴をして沢山眠り、心身のバランスを保ちつつ、上の2つのポイントを実践しましょう。
【地域の女性の幸せなキャリアを築く】
「優秀さ」とはすべてを自分で抱え込むことではありません。他人と協力しながら柔軟に働き、自分自身を大切にすることで、持続可能なキャリアを築くことができます。
長野県では、起業創業やキャリア支援を目的とした相談窓口を設け、こうした悩みを抱える女性たちを全力でサポートしています。一人で悩まず、ぜひ専門家に相談してみてください。
長野県 事業継承 マッチングフォーラム
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【概要】
「地域で事業を始めたい」「⼀⽣懸命育てた事業を誰かに継いでもらいたい」という2つの想いをつなげるイベントを開催いたします!
地域に愛され熱意をもって事業に取り組みながらも、承継に困っている事業者をお呼びして、ご⾃⾝の事業の魅⼒をお話いただきます。
また、事業承継⽀援の専⾨家から、オープンネームによるマッチングについて講演いただきます。
【登壇者】
第一部:講演
(株)ライトライト / 江尻 竜也 氏 (営業部副部⻑・宮崎オフィス⻑ )
(株)トランビ / 鈴木 涼子 氏 (Social Business Development 兼 Corporate Communication Director )
第二部:事業承継プレゼン
レストランマルシェ / 原 正利 氏 (佐久市・飲食店)
洋食飯屋 mamaya / 小林 光義 氏 (富士見町・飲食店)
フレッシュストアー レインボウ / 富井 一 氏 (野沢温泉村・スーパーマーケット)
【日程】
2025年1月27日(月)13:30 ~ 16:30
※ 15:40 ~ 16:30 は現地参加者向け交流会
【会場】
信州スタートアップステーション 松本
松本市大手3丁目3番9号 NTT東日本大名町ビル 1F ICT拠点施設(サザンガク内)
【ZOOM お申し込みリンク】
https://zoom.us/webinar/register/WN_rpAP0qw-Txmz1bWLwSFITg#/registration
(重要)おかげさまで、現地参加枠が満席となりましたので、以後のお申し込みはオンライン参加でお願いします。
【SSSW コラム】 ”想い”を事業にしていく力
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11月21日(木)のランチタイムに「想いを事業にする力」というテーマで、オンラインセミナーを開催しました。
ゲストは、登録者数10万人超のYouTubeチャンネルを運営し、株式会社ステアーズの代表取締役でありクリエイティブ・ディレクターの寺田真弓さん。「想い」をどのようにビジネスとして形にしていくかを寺田さん自身の経験をもとにお聞きしました。
寺田真弓さんは、長野県長野市のご出身で、2021年にUターンし、生まれつき障害のある夫と4歳の息子と暮らしています。2018年からYouTubeチャンネル「寺田家TV」を運営し、登録者数は10万人を超えたこともある寺田さん。また、YouTube運営の他に、障害や福祉を軸にSNSコンサル、動画制作、イベント運営などの事業を展開しており、最近では「みんきゅ〜プロジェクト」を立ち上げ、ユニバーサルツーリズムの普及に取り組んでいます。今回のオンラインセミナーでは、夫のユースケさんとの出会いや、47都道府県をヒッチハイクで回る企画、YouTubeチャンネルの運営、事業の立ち上げなどについて詳しくお話をお聞きすることができました。
特に、チーム作りや人を巻き込む方法について、ご自身の経験を基に具体的ですぐに実践できそうなお話しをして下さったのは、印象的でした。想いが強いほど「自分でやらなきゃ」「自分でやりたい」と思いがちですが、チームのメンバーに任せてみたり、「どうしたらいいかな?」と相談を投げかけることによって、自分ごと化してもらったりなど、実践的な内容をお聞きすることができました。寺田さんがご参加された「信州ベンチャーサミット※」についてもお話があり、そのときの様子を知る参加者からも「想いが伝わってきたピッチだった」とコメントがありました。
また、現在実施されているクラウドファンディングを通じて「みんきゅ〜プロジェクト」の資金調達を行っていることや、五カ国語で書かれた絵本「ほんとうにだいじょうぶ?」の制作秘話も伺いました。絵本もクラウドファンディングのリターンとしてご用意されていますので、ぜひウェブサイトをのぞいてみてください。
最後には、ご自身の経験を通じて、想いを事業にすることの重要性や、人生は一度きりであるからこそ大事にしたいというメッセージをいただきました。
信州スタートアップステーションウーマン(SOU)は、起業・創業にハードルを感じている方や、事業アイディアのブラッシュアップしたい方など起業に関する相談をはじめ、仕事と家庭・子育てとのバランスで今後の働き方に悩んでいる方など、幅広く女性を支援をしています。個別相談をご希望の方は、Facebook/Instagram、またはメール(info.ssswomen@gmail.com)までお問い合わせください。
次回は1月にオンラインでのトークイベントを予定しております。ぜひチェックしてみてください!
※信州ベンチャーサミット:信州スタートアップステーションが開催するベンチャー企業を対象としたピッチイベント。
詳細はこちら
徐々に社会に出ていく、働きはじめについて
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こんにちは!SSSWのコーディネーターをしている九里です◎
長野県の女性の創業・起業支援(Shinshu Startup Station Women:SSSW)は、
2023年度から始まり、個別相談員/メンターとしても2年目となります。
合同会社キキという会社を共同創業者と数人のスタッフと営んでいます。
個人と社会、こうありたいと思う日常を自らの手でつくりだすことが出来るよう仕組みや場所を整える会社として、#暮らし #学び #はたらくをテーマに、長野県内にて、さまざまな事業をおこなっています。
私たちは学生起業ということもあり、若い世代の「起業」「プロジェクト」の相談を受けることもありますし、これからキャリアを積んでいく若者、そこと繋がっていきたい地域の企業や個人からご相談を受けることが多くあります。
今回はそんな相談の一つとして、ずっと関わっていた矢野叶羽さんからお話をお聞きし、新しいキャリアの作り方だなと感じたので、皆さんにお伝えするコラムをと。
・
矢野さんは、長野県立大学グローバルマネジメント学部4年生。
長野市を拠点に高大生・若者向けの「まなび対話コーディネーター」として場づくりの仕事をしています。
そんな彼女に、大学生と活動、働くことについてお話を聞いてみました。
まずは、最近お金という対価をもらいながら活動するようになっての感想を聞いてみました。
「働いているなあと感じます。お金をもらっていることも、もらってないことも、自然とお仕事と言うようになりました。バイトとも感覚が違います。」
「働いているというようになったのは、私に頼まれているという責任をもつ感覚になったから。」
とお話をしてくれました。「活動」から、「働く」に徐々にシフトをしている感覚のようです。
生き方・働き方を考えた時に、「自分のできる、やりたいことで働いていけるってかっこいいと感じていたこと」、「自分の住むまちで働きたいと思ったこと」と考えた時に、大学を卒業して、すぐにぽんっと社会にでてフリーランスや事業主として生きる自信はなかったから、徐々に社会というものに仕事をする人として出てみたんです、と図を交えながらお話をしてくれました。

社会に出ること/働くことは、学校で学んでいるときと途轍もなく乖離があると感じている人も多いはずです。
でも、そんなに大きく飛ばなくても、徐々に社会に出ていくことで、自分の目指したい姿に近づいていけるのではないか、と矢野さんのお話を聞いていて感じました。
もっともっと自然に「働くこと」に溶け込む選択肢を作ることで、社会全体で若い人たちや、これからもっと働きたい方々を包み込み、一緒に社会を作っていけるかもしれません。
デジタルリテラシー人材育成研修 キックオフセミナー
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長野県産業振興機構では、県内ものづくり企業が抱える生産性向上や人材不足等の課題を解決するため、デジタル知識を活用して実際の企業の現場で課題の解決策を提示・実行できる人材を育成するための研修を開催します。デジタルツール等を活用して課題解決力の強化を目指すものづくり企業、支援機関、IT企業の皆様のご参加をお待ちしております。
Meet Up 33GAKU Vol.5
松本市

起業をテーマとしたトークセッション+交流会イベント「Meet Up 33GAKU(サザンガク)」の第5弾を開催します!
今回は、「スタートアップ」をテーマに、全国そして世界を駆け回って、スタートアップ育成を手掛けるStartup Weekend 理事の中本さんをゲストにお招きします。
アイデアをカタチにしようと奮闘する起業家のリアルな姿や、スタートアップを支援している中で得られるものまで包み隠さず語っていただきます。さらに今回は、ミニワークも実施予定!
ぜひご参加ください♪
【7/19-21】WE-Nagano Global Conference
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女性的な視点から創造する「良い企業」「良い地域」
WE-Nagano(Women Entrepreneurs Nagano)は、
すべての人が「わたし」を創造的に生きることを応援する長野県立大学発のプロジェクトです。
すべての人が起業家精神を持ち、一人一人がイノベーションを生み出す「わたし」として、グローバルな視座と女性的な視点から地域について考え、国籍・性別・世代・分野などを超えて、共に未来をつくっていく3日間のグローバル・カンフェレンスを開催します。
1・2日目は、仏教・アート・ビジネス・アカデミアの多彩な分野のスピーカーによるセッション。
3日目は、2日間のセッションを通じて生まれてきた気持ちをアートを通じて表現し、未来に繋げていくワークショップの実施。
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◾️開催日・場所
7月19日(金) 長野市芸術館 アクトスペース( 鶴賀緑町番地1613)
7月20-21日(土) 長野県立大学(長野市三輪8-49-7):
◾️お申し込み
https://we-nagano-01.peatix.com/
(一部、先着順/有料セッションがございますので、お申し込みをお願いします)
WE-Nagano HP:https://we-nagano.com/
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信州・創業入門ゼミin中信
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新規事業を成功に導くために必要な心構えや基礎知識を学び、様々な困難を乗り越えるための2日間の入門講座。専門家講師のもと、ディスカッションを重視したゼミナール形式の講義運営が特徴です。自分なりの事業計画書を書いた先はお近くの商工会・商工会議所の経営指導員が伴走して、計画の実行や各種支援施策の活用をサポートいたします。


創業をもっと身近に。コーディネーターに聞く、「信州スタートアップステーションnagano」でできること<後編>
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長野県を「日本一創業しやすい県」にすることを目指して設立された創業支援拠点「信州スタートアップステーション」(SSS)。インタビュー前編では、SSS主任コーディネーターの森山祐樹(もりやまゆうき)さんに、SSSの創業支援の活動や、具体的な活用の仕方を聞きました。
後編では、「まだ形になっていないアイディアの段階でも、気軽に相談に来てください」と呼びかける森山さんに、実際の相談事例を聞いていきます。
<お話を聞いた人>
信州スタートアップステーション主任コーデイネーター 森山祐樹(もりやまゆうき)さん
令和2〜6年度のSSS主任コーディネーターとして県内に豊富なネットワークを持つ。これまで担当した創業相談は延べ1,000件以上と、幅広い業種に精通。
創業の芽を潰さない。否定ではなく前向きな提案を
ーー「創業」とは、具体的なアイディアがある人たちが事業を立ち上げることだと思っていました。SSSでは、「創業」の選択肢がない状態も、創業初期段階と考えているのですね。
そうなんです。これまでの県内の主な「創業支援」では、創業の決意を固めている段階の層しか支援が出来ていませんでした。しかし、それだけでは「創業する人」の数は増えていかないですよね。
そこでSSSでは、「創業したい」という思いのある方や、創業に向けて準備している方だけでなく、そもそも「創業する」という選択肢を知らない層や、アイディアはあるけれど具体的なビジネスのイメージが固まっていないという層までサポートしています。
ーー実際に、どんな方が創業の相談に来るのでしょうか。
学生さんから、会社員として働きながら創業を考えている方、子育てが落ち着いた主婦の方、また、定年退職後に新しく事業を始めようとする方など、年代や職歴を問わずいろいろな方が相談にいらっしゃいます。
「何かやりたい」という思いがある人から、既に創業済みである程度成長しており、これから更に成長していきたいという人まで、創業のステージも様々です。
ほかの支援機関に事業計画を持ち込み、「こんな計画ではうまくいかない」と否定されたという方がSSSに相談にくることもよくあります。
ーー人から否定されたアイディアや事業計画でも、SSSに持ち込んでいいのですか?
もちろんです。創業するということは、まだこの世にないビジネスを生み出すということを多分に含むケースがあります。そういう場合、既存のビジネスの枠にあてはめられ、「そんなの無理だよ」と言われて創業を諦めてしまった方がいるかもしれません。
ですが、私たちは、人に迷惑をかけなければ創業する内容というのは基本的に自由だと考えています。もちろん、本人の向かいたい方向と事業の内容がずれている場合には、「方向転換をしてみましょうか」と助言をすることはありますよ。でも、やりたいことをわざわざ否定する理由はどこにもない。SSSでは、常に「一緒に何ができるかを前向きに検討していく」姿勢でいます。
社会課題に対する気付きや思いも、創業の一歩になる
株式会社コンタクトの運営する、眼科に特化した求人プラットフォーム「コンタクトキャリア」
ーー個別相談から実際に創業に至った事例を教えてください。
たとえば、2022年に創業した株式会社コンタクトの代表・依田龍之介(よだりゅうのすけ)さんは、大学院生の頃にSSSに相談にやってきた方です。
依田さんは、大学で医療技術について学んでおり、目の検査の専門家に必要な視能訓練士の国家資格を取得していました。
学びを深める中で、視能訓練士は眼科の仕事に欠かせない存在でありながらも慢性的に人が足りていないことや、医療機関から出ている求人情報の情報が不足しているという課題を感じた依田さんは、視能訓練士の認知度を上げ、待遇を改善するためのビジネスをしたいとのことでご相談にいらっしゃいました。
ーー「社会の課題を解決するために何ができるか」という思いが、創業の一歩になったのですね。
依田さんは、「視能訓練士は価値のある仕事だと発信したい。そしてその待遇を改善したい」という思いから、事業の方向性を固めていました。
まずは個別面談を通し、具体的にどんな事業をしていけばその思いが実現できるのかを一緒に考えていくとともに、どのようなモデルでユーザーを獲得し収益を上げていくのかを検討していきました。それに加え、その事業の実現のために必要な資金量と調達手段についてもご相談しました。
その後、2022年の6月には視能訓練士の働き方などの記事を配信するサイト「Contactメディア」を立ち上げ、その後、眼科に特化した求人プラットフォーム、「Contactキャリア」をスタートさせました。
ーー創業に至るまでは、どんな課題がありましたか?
「目の専門家に特化した就活支援」は、あまり一般的でないサービスだったこともあり、当初見積もった事業資金規模(必要資金規模)に対し、既存の金融機関から十分な融資を受けるのが難しい状況でもありました。
そのため、依田さんの場合は、融資だけでなく、信州スタートアップ・承継支援ファンド(信州SSファンド)の投資と組み合わせて資金調達を行いました。
スモールビジネス?スタートアップ?両方の選択肢を示せることがSSSの強み
依田さんは、信州スタートアップ承継支援ファンド第一号に
ーー事業内容の深堀りだけではなく、資金調達の仕方についてもサポートしてもらえるのですね。
SSSでは、県内の金融機関や商工団体と連携している他に、スタートアップ向けのファンドとも連携しているため、スモールビジネスとスタートアップビジネス、両方の選択肢を示した上で、起業家の可能性を広げることが可能です。
ーースモールビジネスとスタートアップビジネスの違いはなんですか?
スモールビジネスとは、小規模の事業からはじまり、得た利益を次の投資に回すことで時間をかけて成長していくビジネスのことです。一方、 スタートアップ企業は第三者の資金も活用しながら短期的に急成長するビジネスであることが多い、スモールビジネスとは成長速度やリスクの度合いが異なります。
例えば、同じコーヒースタンドでも、創業者が「長野駅前で一店舗だけ経営したい」と考えているのであればそのリスクは小さく、スモールビジネスと言えるかもしれませんが、「●●な価値を提供するため、世界中に同時に多店舗展開したい」と考えていたら後者はリスクの度合いが前者よりも格段に大きく、スタートアップビジネスと言えるかもしれません。
「自分はスモールビジネスでいい」と思っていた人が、創業後に方向転換しスタートアップビジネスに向かっていくこともありますし、逆に、世界を目指すつもりが、いざ創業してみたら「やっぱり身の丈にあった経営をしていきたい」と意識が変わる人もいます。
ーーSSSでは、どちらを目指す場合でも柔軟に対応できると。
スモールビジネス、スタートアップビジネス、どちらが良い悪いということはありません。どちらの特徴も把握した上で、様々な選択肢を起業家自身が持てることが重要であると考えています。そのため、SSSではアイディアにおいても資金においても、起業家の選択肢の幅を広がるお手伝いをさせて頂いてます。
なお、資金さえ調達できれば新規創業がうまくいくわけではありません。当初の資金調達が順調であった企業でも、その後はなかなかビジネスが軌道に乗らなかったため、SSSでは継続的な支援を行うケースもあります。
創業に向いているのは「へこたれない人」。失敗を乗り越える前向きさが事業を成功へ導く
「SSS Nagano」で個別相談に応じる森山さん
ーー継続的な支援というのは?
定期的に相談の時間を設けて、例えば「狙っているターゲットは合っているのか?」、「どんなアプローチをしたらうまくいくのか?」等を一緒に考えたりもします。新しいアプローチがうまくいかなかった場合は、「何がだめだったんだろう?」、「じゃあ次はどうする?」とまた次の手を練っていきます。
ーー「創業したら終わり」ではなく、創業後も継続的に事業のブラッシュアップを続けていく。
ブラッシュアップを経て、事業が軌道に乗ってから急成長を遂げた方もいらっしゃいます。
現在も、さらに事業を成長させていくために、定期的に個別相談を続ける企業さんもいらっしゃいます。前述の依田さんも、SSSのセミナーに登壇いただくなど、今度は先輩起業家としてSSSに関わってくれています。
ーー長年創業支援をしている森山さんから見て、創業する上でどういう人がうまくいくと思いますか?
やっぱり、へこたれない人ですね。創業するということは、成功する可能性と同じくらい、失敗する可能性もあります。ただ、私たちは、創業する上で失敗は当然だと思っています。そこからまた挑戦すれば、あとは伸びていくだけですから。
ですが、ただやみくもにやり直すだけでは成功にはつながりません。どこがだめだったのか、どうしてだめだったのかを分析し、修正した上で、何度もトライできる前向きさが必要です。
そして、「次はどうしたらうまくいくのか」を一緒に考えるのも私たちコーディネーターの仕事です。へこたれずに何度でも相談に来て、SSSのことをたくさん使い倒して下さいね。
創業をもっと身近に。コーディネーターに聞く、「信州スタートアップステーションnagano」でできること<前編>
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長野県を「日本一創業しやすい県にする」ことを目指し創設された創業支援拠点「信州スタートアップステーション」。長野県での創業を考えている人であれば、誰でも無料で利用することができます。
「創業支援って、実際どんなサポートをしてもらえるの?」
「しっかりとした事業計画がないとだめ?」
「自分でも大丈夫かな?」
そんな疑問に答えるため、長野市にあるSSS拠点「信州スタートアップステーション nagano 」を訪れ、SSSはどんな場所なのか、どんな支援が受けられるのか、どうやって利用したらいいかを、主任コーディネーターの森山祐樹(もりやまゆうき)さんに聞きました。
<お話を聞いた人>
信州スタートアップステーション主任コーディネーター 森山祐樹(もりやまゆうき)さん
令和2〜5年度のSSS主任コーディネーターとして県内に豊富なネットワークを持つ。これまで担当した創業相談は延べ1000件以上と、幅広い業種に精通。
「創業」は、自分らしく生きるための一つの選択肢
ーー信州スタートアップステーション(以下SSS)について教えてください。
SSSは、長野県が設置する、県内で創業に向けて一歩踏み出そうとする人たちを支援するための創業支援拠点です。創業を考えている人と、金融機関や商工団体など県内の創業支援に携わる機関、そして先輩起業家との交流や連携を生むことで、県内経済を担う次世代産業の創出を目指しています。
また、新規創業に限らず、既存企業の事業承継により創業する方や、新規事業に取り組む方もサポートしています。将来的には、SSSを通じて創業・事業成長を経た起業家、新規事業者が、SSSの活動を支援し、さらに県内での創業・新規事業がしやすくなるといった好循環が生み出されていくエコシステムを形成していきたいと考えています。
ーー長野県で創業する人が増えることを目指しているのですね。
はい。長野県は、「日本一創業しやすい県」を目指しています。「創業」と聞くとハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、SSSでは、「創業する」ということは、自分らしく生きるため、また社会に貢献するための一つの選択肢だと捉えています。
そのため、SSSでは、「どんどん創業しましょう!」ですとか、「支援してあげますよ」という姿勢ではなく、まずは「やってみたいことがある」という人の話をきいて、「あなたのやりたいことを叶えるには、こういう選択肢がありますよ」、「どんな事業の形にしたらうまくいくかな?」と、一緒に考え、適切な支援につなげる伴走をしていきます。
ーーSSSの拠点はどこにありますか?
松本市と長野市に一つずつ拠点があります。
まず、信州スタートアップステーションmatsumotoは、松本市のICT拠点施設「サザンガク」(一財)内にあります。「サザンガク」は、松本ものづくり産業支援センターが設置するICT拠点施設で、「テレワーク」「コワーキング」「サテライト」の三つの機能があります。
信州スタートアップステーションmatsumoto
〒390-0874 長野県松本市大手3丁目3番9号 NTT東日本大名町ビル1F ICT拠点施設(サザンガク内))
また、「信州スタートアップステーションnagano」は一般社団法人長野ITコラボレーションプラットフォーム(NICOLLAP)内にあります。NICOLLAPは、長野市を中心とした北信地区を、ITを活用した新規事業にチャレンジする事業者とその支援者が集まる魅力ある地域にし、新しい産業を生みだすことを目的とした団体です。
平日10:00〜19:00は、SSSコーディネーターや、NICOLLAPのスタッフが常駐しています。
信州スタートアップステーションnagano
〒380-0833 長野県長野市鶴賀権堂町2312−1(シソーラス株式会社内)
気軽に参加できるセミナーから中長期的な伴走プログラムまで、創業段階に合わせた幅広い支援を
ーーSSSでは、具体的にはどんな活動を行っているのですか?
「スタートアップセッション」、「スタートアップサタデー」、「アクセラレーションプログラム」の4つの活動があります。
まず、「スタートアップセッション」では、月に2回、先輩起業家や支援家によるセミナーを企画しています。参加者が、インプットだけでなくアウトプットまで行えることが特徴です。
セミナーでは、先輩起業家からの創業時のアドバイス、新規事業立上げ時のアドバイスや成功事例紹介、事業アイデア発想のヒント・フレームワーク活用方法、ビジネスモデルの組み立て方・磨き方を学ぶことができます。
長野県内で活躍する事業者をゲストに、創業や経営のヒントになるセミナーを随時開催。
「スタートアップサタデー」はコーディネーターや外部講師等が、ワークショップ形式でアイデアの種からビジネスプランを作り上げる過程を1日の中で伴走支援するプログラムです。
「アクセラレーションプログラム」では、年に2回、公募により選定した企業等を対象に、数カ月間にわたりコーディネーター、メンターが起業家の様々な経営課題に対して短期集中型の伴走支援をします。
まだ形になっていないアイディアを事業の形にしていくところからサポート
ーー気軽に参加できるセミナーから中長期的な伴走プログラムまで、幅広い取り組みがあるのですね。
「SSS nagano」で相談者と話す森山さん。オンラインでの個別面談も受け付けている
また、「個別相談」も常時受け付けています。「個別相談」では、コンサルタント、中小企業診断士、会計士等の経験豊富なコーディネーターが、相談者の創業・新規事業に関する相談対応を行い、アイデアの事業化を支援します。
ーー「個別相談」というのは、どの段階から相談にのってもらえるのでしょうか?
「創業の相談」と聞くと、「事業計画を立てていないといけないのかな?」と身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、まだ形になっていないアイディアの段階でも、気軽に相談に来ていただきたいです。
たとえば、「好きなことを仕事にしてみたい」、「定年退職をして時間に余裕ができたら、自分の趣味を事業化できないかな?」、「こんなサービスがあれば、もっと世の中が便利になるのに」といった思いや気づきが創業につながることがあります。
ーー具体的なアイディアが固まっていなくても、話を聞いてもらえるのですね。
もちろんです。自分の気持ちを誰かに話してみることで、考えが整理されて、具体的なイメージが生まれることがありますよね。友人や家族に話してみるのももちろん一つの手ですが、SSSにはコンサルタントや中小企業診断士といったさまざまな専門家が揃っているので、お話を聞きながら一緒に「アイディア」を固め、「事業」という形にしていくサポートができます。
逆に、すでに起業をした方からの、「起業はしたものの軌道に乗っていない」、「もっと事業を成長させたい!」といった相談も受け付けています。まずは一度、お気軽にご相談ください。
ーー相談や、セミナー等の参加には費用がかかりますか?
長野県内での起業、ビジネスの展開を考えている方であれば、一切費用はかかりません(※1時間/回が目安)。
相談回数の制限もありませんので、年に数回から、毎月・毎週でも、ご自身のペースに合わせてご利用いただけます。コーディネーターの常駐スケジュールは、SSSのHP、もしくはfacebook、instagramをご確認ください。
「SSS Nagano」では、市で行われるイベントの案内やフリーペーパー等も入手できるため、情報収集にも
ーー初めて相談に行く場合は、どうしたらいいですか?
原則事前予約をお願いしています。メール(shinshuss@tohmatsu.co.jp)、電話(070-4548-2758)、もしくはfacebook、instagramのメッセージから、氏名、相談内容、希望日時、連絡先、起業状況、ご住所(市町村)をお知らせください。
まずはお気軽にご相談ください。お待ちしています!
・・・
インタビュー後編では、個別相談から創業まで伴走した事例や、コーディネーターとして長年創業支援を行ってきた森山さんから見た、成功する創業者の共通点を聞いていきます。
エキスパートバンク制度
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地域の商工会・商工会議所などを相談窓口として、相談者(小規模事業者等)の内容に応じて、専門知識を有する専門家(エキスパート)を派遣し、具体的、実践的で適切な指導・助言を行うことを目的とするものです。

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