SSSコラム④:地域課題解決ビジネス(ソーシャルビジネス創業支援金)について
担当:SSSコーディネーター 佐藤(中小企業診断士)
こんにちは、SSSコーディネーターの佐藤です。
(※本コラムの内容は執筆者個人の見解であり、長野県やSSSの公式見解ではありません。)
長野県で創業をお考えの方、ビジネスを展開されようとしている方にお聞きすることがあります。
「なぜ、長野県なのですか?なぜ、その地域で創業や事業展開をするのですか?」
お答えになる理由は人によって様々ですが、その中の1つとして「自身がその地域に住んでみて、その地域が抱える課題を解決したい」という想いを持つ方が多いと感じます。
地域課題解決のためのビジネスを始めることは、社会への貢献と共に、自身の夢を実現する一歩となります。しかし、アイディアを事業化する過程で、さまざまな壁にぶち当たることもあるでしょう。本コラムでは、地域課題解決のアイディアを事業化するためのポイントや乗り越えるべき壁などについて、長野県の「ソーシャルビジネス創業支援金(以下、ソーシャル補助金)」も交えながらお話したいと思います。
1.地域の課題、ニーズを捉える
地域課題解決ビジネスを始める際にまず重要なのは、地域のニーズを正確に把握することです。地域の人々や団体などと積極的にコミュニケーションを取り、彼らの課題や要望を理解することが大切です。アンケート調査やワークショップなどを通じて、地域の声を集めることで、より具体的なビジネスアイデアを形成することができます。
「ソーシャル補助金」の事業計画書の様式にも、「社会性」という項目で、解決しようとする地域課題の内容を記載する箇所があります。記載する際に意識したいこととして、「地域課題の内容が的確に捉えられているか、納得感の高いものか」という点です。このチェックポイントを踏まえると、例えば行政や地域が公開している資料などにあるエビデンスとなるデータや記事を提示すること、アンケートやヒアリングなどでを行い地域の「生」の声やニーズを収集した調査結果を示すことなどにより、「確かにこれって地域の課題だよね」と見る側・聞く側に思ってもらえるか、ということです。
2.現在の取組状況や競合(かもしれない、なり得る)などをおさえる
次に重要なのが、地域課題解決のために現在はどのような取り組み・活動がおこなわれているか、類似のサービスやソリューションはないか、あるとしたらどのような内容かを把握することです。持続可能な「ビジネス」として成立させるためには、選んでもらえるサービスやソリューションを提供することが重要です。そのために、他との差別化要因を確立することや今はまだないビジネスやサービスを見つけていくことなどがポイントになります。
「ソーシャル補助金」の様式にも、「必要性」という項目があり、ご自身が考えている事業が地域にとって、地域課題解決のためにどういう理由で必要と考えるかを記載します。
3.地域との協力・連携を図ること
地域課題解決ビジネスを成功させるためには、地域の関係者との協力が不可欠です。地域の団体や住民、行政機関などとの連携を図り、共同プロジェクトを進めることで、より効果的な解決策を提供することができます。また、地域の人々の声を取り入れたり、地域資源を活用したりすることで、地域との絆を深めることも大切です。
「ソーシャル補助金」の応募にあたっても、いかに「地域の方々を巻き込むことに繋がるか(活動や事業の輪が広がる可能性があるか)、波及効果がある事業であるか」という点で、ご自身の事業を見つめ直してみることもいいかもしれません。
4.持続可能な「収益モデル」を構築すること
地域課題解決ビジネスを始める際によくぶち当たる壁の一つには、持続可能な収益モデルの構築があります。社会的な課題解決を目指すビジネスでは、収益を上げながら地域の課題に取り組むことが求められます。ここで重要なのは、ビジネスモデルの柔軟性と創造性です。他の収益源やビジネスパートナーを見つけることで、収益の多角化を図り、持続可能なビジネスを築くことができます。
また、地域課題解決ビジネスでは、長期的な視点と忍耐力も必要です。課題解決には時間と努力がかかることがありますので、短期的な成功に固執せず、地道に取り組み続けることが重要です。また、途中で困難にぶつかったとしても、諦めずにチャレンジし続ける心構えが必要です。成功は簡単には訪れませんが、地域の課題を解決するビジネスが実現すれば、地域の人々の生活を豊かにすることができます。
最後に、地域課題解決ビジネスを始める際に大切なのは、情熱と信念です。地域の課題に真剣に向き合い、解決策を提供することに情熱を持ち、自身のビジョンを信じることが必要です。困難にぶつかったり、周囲の反対に遭ったりすることもあるかもしれませんが、自分の信じる道を進む勇気を持ってください。地域の課題解決は、あなたのビジネスが実現することで現実のものとなります。
地域課題解決ビジネスは、あなたの夢を叶えるだけでなく、地域社会に貢献する素晴らしいチャンスです。ソーシャルビジネス創業支援金などの補助金を活用しながら(このコラムが掲載される頃は、令和6年度創業支援金の2次募集中かもしれません)、地域の課題に取り組むビジネスを考えてはいかがでしょうか。進むべき道は険しいかもしれませんが、SSSはそんな皆さんを応援し、サポートいたします。