長野県立大学主催のWE-Nagano Global Conferenceが、7月19日〜21日の3日間で開催されました
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昨年度から長野県としても女性の創業支援事業が始まりSSSWの活動もスタートしていますが、 そうした潮流がある中で、7月19-21日に長野県立大学として初めての開催である WE-Nagano(Women Entrepreneurs Nagano) Global Conferenceが開催されました。
長野県は、本イベントの後援になっているのに加えて、イベントには阿部長野県知事も登壇致しました。 そんなWE-Nagano Global Conferenceの開催レポートを、SSSWチーム事務局でありWE-Nagano実行委員会でもあった勝山よりご紹介します。
WE-Naganoとは Women Entrepreneurs(女性起業家) Nagano は、長野県立大学主催のプロジェクトで、 「グローバル」「女性性」から地域イノベーションについて考えることを目的としています。 Women(女性)とプロジェクト名にはついていますが、 誰もが自分自身の性別や、世代、国籍などの属性にとらわれずに、自分自身の生き方を創造できたらという想いが込められています。
https://we-nagano.com/62/
2024年7月19-21日開催 WE-Nagano Global Conference 1日目は長野市芸術館、2-3日目は長野県立大学三輪キャンパスで開催されました。
1日目には、ビジネス界に限らずさまざまなセクターの方がご登壇くださり、長野県における地域イノベーションや長野県のもつ可能性、グローバルと直接つながることから見えてくるビジネスの可能性、そして女性経営者たちが語る長野県のイノベーションなどについて語られました。 阿部長野県知事は、1日目の「Keynote Session:グローバルと女性的視点から考える長野県の地域イノベーション」に登壇し、地域イノベーションを考える上での教育の重要性について言及し、また、このセッションではWE-Nagano Global Conferenceの今後への期待なども登壇者の方々に語られていました。
2日目は、Z世代が「良い企業」「良い地域」について議論するセッションが開催され、それぞれの活動から見えてくる視点について議論されました。特に長野県内に生まれ育った登壇者からは、長野県に存在している若者や女性を抑圧する社会・文化的な雰囲気についてもエピソードと共に触れられていました。
3日目は、昨年のsouのワークショップとしても実施したArt Earth Dialogueが実施されました。 参加者の中には、昨年のワークショップにも参加してくれた方もいて、その時から約1年を経ての今について語られたり、自分自身が創造的に生きることを考えた時に大切にしたい気持ちなども共有された時間となりました。
女性の創業と「WE-Nagano Global Conference」 WE-Naganoのキャッチコピーは、「すべての『わたし』を創造的に生きよう」となっています。 相対的に男性に比べると女性の方が、さまざまなことを理由として選択肢を諦めていることがあるのではないかと思います。 特に、創業や起業という働き方や生き方に対して、女性はハードルや障壁を感じている人も多いかもしれません。 今回のWE-Nagano Global Conferenceに参加することで、 自分が無意識に感じているかもしれない、創業や起業に対する心の障壁やハードルが少しでも外れていたらいいなと WE-Nagano実行委員の一人として感じていますし、 SSSW事務局としては一歩踏みだすきっかけとして、今後もSSSWの個別相談をご利用いただけたらいいなと願っています。
昨年SSSWの個別相談やプログラムに参加してくださった方が、WE-Nagano Global Confereceに参加して、 「長野県の未来が変わる瞬間に立ち会った気がする」とSNSで書き込んでくださっていました。 とても、嬉しい言葉です。 SSSWは、起業・創業にハードルを感じている方や、今後の働き方に悩んでいる方なども含めて、 個別相談(女性がお受けします)を受け付けております。
ご希望の方は、SNSのメッセージ機能やinfo.ssswomen@gmail.comまでご連絡ください。
女性起業家を育む創業支援スクール2024 in 上田市 開催レポート(後編)
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上田市創業支援プラットフォーム主催「女性のための創業スクール2024~ワタシが創る、未来。~」が5月21日(火)から、+519worklodgeにて全4回開催されました。本スクールは、2016年から毎年開催し、スクール・セミナーの受講生は延べ700名以上となっています。創業の基礎を学べる講座となっており、上田地域でご活躍中の講師の皆様に地元で起業をする上でのご自身の体験談を交えながら講義を展開していただきました。
今回は、 後半の2回分の講義をご紹介させていただきます。
第3回のテーマは「人材育成」
上田市商工会議所・中小企業診断士の今井裕氏による講義が行われました。上田商工会議所発行の冊子「創業計画書作成の手引き」を基に、創業を実現するために必要な心構えや事業におけるリスク管理、個人で起業する場合の資金などについて解説いただきました。コロナ後変化の時代における創業のあり方など、長年創業支援指導をされている今井様ならではの視点から受講者様へ具体的なアドバイスをいただきました。
第4回のテーマは「販路開拓」
甘味処 雪屋Conco 店主の徳武庄太郎氏に講義を行っていただきました。創業を楽しむことを基本に、ご自身の経験をもとにSNSやアプリ、チラシを使用した集客方法についての具体的な紹介がされました。グループワークでは、業種ごとに分かれ「販売戦略のアイデア出し」「自身の仕事をお客様に知ってもらうには」など、現在抱えている悩みを解決するための実践的なディスカッションと総まとめの発表が行われました。
各週で開催された講義内容は、実践的且つ参加者様同士の貴重な交流の場となりました。参加者の皆様には、今回のつながりを大切にしていただき今後も互いに刺激し合いながら成長していただけたらと思います。
女性起業家を育む創業支援スクール2024 in 上田市 開催レポート(前編)
上田エリア
上田市創業支援プラットフォーム主催「女性のための創業スクール2024~ワタシが創る、未来。~」が5月21日(火)から、+519worklodgeにて全4回開催されました。本スクールは、2016年から毎年開催しています。創業の基礎を学べる講座となっており、上田地域でご活躍中の講師の皆様に地元で起業をする上でのご自身の体験談を交えながら講義を展開していただきました。
今回は、 前半の2回分の講義をご紹介させていただきます。
第1回のテーマは「経営」。講師は、秀プロデュース株式会社 代表取締役・ARECコーディネーターの滝沢一秀氏。経営理念と経営戦略の基本的な内容を分かりやすく解説いただきました。経営理念はビジネスの根幹を成す重要な要素であり、成功する企業には共通して明確な理念があるとの事。また、創業後事業を継続していくための日常的な心掛けやアドバイスが提示されました。さらに、生成AI ChatGPTを活用した事業計画草案の作成事例も共有されました。
第2回のテーマは「財務」。合同会社ハルナツの中澤ちあき氏による講義とランチ会・交流会が同時開催されました。講義では開業届の出し方やタイミング、税金や社会保険料の支払い方、青色申告のメリットとそのポイントなどについて学びました。小さく創業を始めたい方から大きく事業を広げたい方まで幅広いニーズに対応したお話をしていただき、法人化を考えた場合の動き方などについても解説いただきました。ランチ会・交流会では異業種の参加者様同士、リラックスした雰囲気のなかご自身の起業に対する闊達な意見交換が行われました。
次回は、後半の2回分の講義をご紹介させていただきます。
DXファーストステップセミナー
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中小企業等がDXの取り組みをはじめるきっかけとし、生産性向上やビジネスモデルの変革を図る機会とするためのセミナーを開催します。
https://www.pref.nagano.lg.jp/nagachi/nagachi-shokan/2024dxseminar.html
【7/19-21】WE-Nagano Global Conference
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女性的な視点から創造する「良い企業」「良い地域」
WE-Nagano(Women Entrepreneurs Nagano)は、
すべての人が「わたし」を創造的に生きることを応援する長野県立大学発のプロジェクトです。
すべての人が起業家精神を持ち、一人一人がイノベーションを生み出す「わたし」として、グローバルな視座と女性的な視点から地域について考え、国籍・性別・世代・分野などを超えて、共に未来をつくっていく3日間のグローバル・カンフェレンスを開催します。
1・2日目は、仏教・アート・ビジネス・アカデミアの多彩な分野のスピーカーによるセッション。
3日目は、2日間のセッションを通じて生まれてきた気持ちをアートを通じて表現し、未来に繋げていくワークショップの実施。
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◾️開催日・場所
7月19日(金) 長野市芸術館 アクトスペース( 鶴賀緑町番地1613)
7月20-21日(土) 長野県立大学(長野市三輪8-49-7):
◾️お申し込み
https://we-nagano-01.peatix.com/
(一部、先着順/有料セッションがございますので、お申し込みをお願いします)
WE-Nagano HP:https://we-nagano.com/
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信州・創業入門ゼミin中信
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新規事業を成功に導くために必要な心構えや基礎知識を学び、様々な困難を乗り越えるための2日間の入門講座。専門家講師のもと、ディスカッションを重視したゼミナール形式の講義運営が特徴です。自分なりの事業計画書を書いた先はお近くの商工会・商工会議所の経営指導員が伴走して、計画の実行や各種支援施策の活用をサポートいたします。
「はたらく」を 小さく わたしらしく つくりだす 学生起業のすゝめ
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こんにちは〜!
SSSWのコーディネーターをしている合同会社キキの川向思季です。
長野県の女性の創業・起業支援(Shinshu Startup Station Women:SSSW)は、
2023年度から始まり、個別相談員/メンターとしても2年目となります。
合同会社キキは、「こうありたい日常を自らの手でつくり出す」を掲げ、
#暮らし #学び #はたらくをテーマに、仕組みを整える仕事をしています。
合同会社キキ自体、学生起業とこいうこともあり、
普段から若い世代の「やってみたい」の声を聞くことも多いです。
現在もメンバーの半分以上が社会人大学生や学部生、
立ち上げメンバーが20代前半女性ということもあり、
いろんな悩みを抱えながらいろんな人に助けられている日々です。
SSSWでは、同じ悩みを抱えた人に寄り添いつつ、
一緒に考えたり乗り越えたいと思い参画しています。
*
「起業」という言葉を聞くと、ビジネス色の強いエネルギッシュなイメージ
を持つ方も多いと思いますが、起業のあり方は多様化しています。
その中でも、自分の名前でお仕事をするフリーランス(個人事業を含む)は
働き方に自分らしさを求める若い世代や、様々なライフイベントを迎える女性に人気です。
私たちの会社も、創業メンバーの2人が会社を立ち上げる前は
それぞれ個人として、「はたらく」を小さくつくる練習を積み重ねていました。
学生の頃は、お金目的で始めた訳ではありませんでしたが、
続けていきたいという思いから、なんとなく月3〜5万円と考えていたと思います。
ロールモデルとなる、いいメンターと出会えたことが何よりのきっかけとなり、
企画の方法やコミュニケーションはもちろん、請求書の出し方まで、
初めは全て真似るところから始まり、今は自分のやり方を少しずつ確立しているところです。
学生起業に取り組む人もいろいろなパターンがあります。
学生時代に頑張り、その経験を活かし就職する人もいれば、
後輩に譲渡/継承するという人も。
卒業後もその事業で暮らしていく人もいます。
学生起業の大きなメリットは圧倒的に時間があることです。
そして学生という立場上、教えてくれる人が多いということです。
わからないことをわからないと言えることが、学ぶきっかけをつくります。
そして20代の学びはかけがえの無い財産となります。
もしかしたらその先に、一緒にやりたい人や、心地よい規模、
人生をかけて挑戦したい未来への希望とめぐり逢うのかもしれません。
“わたし”を創造する起業/働き方
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自分の働きやすさって、どう見つけるの?働きながら、自分の興味を広げていくってどうするの?
キャリアの転換期をどう迎えて、どう転換していったの?異なるキャリアに挑戦する際の成功事例や失敗談を通じて、キャリアの変革をしていった長野のSSSWの事務局メンバー。子育てとキャリアの両立について、実体験をもとにした具体的な方法や、個々のライフスタイルやパーソナルなニーズに合わせた最適な働き方を見つけるためのアプローチについて考察します。
【日時】
7月17日(水) 12時~13時
オンライン開催
【概要】
<登壇者>
・渡邉さやか(長野県立大学大学院講師、一般社団法人AWSEN代表)
・勝山由莉愛(長野県立大学大学院1年生)
・塩入美雪(株式会社SALT代表)
<タイムスケジュール>
12:00 参加者チェックイン
12:10 SSSWメンバーの事例紹介
12:30 フリートーク
12:45 参加者交えたトーク(質疑応答)
【お申し込み】
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeBI3B2ekGNeWqy7sCKyHzDGo_fG3MPppCENydaZWAHmlFOwg/viewform?usp=pp_url
【ターゲットオーディエンス】
・起業家やフリーランス志望者の女性
・キャリアチェンジを検討している女性
このセミナーは、参加者が自らの働き方やキャリアについて深く考え、自己実現を促進することを目的としています。特に、起業やフリーランスとして活動する方、またはキャリアの転換を考えている方々におすすめです。
ぜひご参加お待ちしております!
SSSWコラム
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こんにちは。
SSSWの全体統括を務めている渡邉さやかです。
長野県の女性の創業・起業支援(Shinshu Startup Station Women:SSSW)は、2023年度から始まり、今年は2年目になります。
SSSWは、長野市を中心として活動するBiotopeや合同会社キキ、塩尻市を中心として活動するスナバ、飯田市を中心として活動する株式会社norms、そして今年度は上田市を拠点とするARECとの連携により様々な活動を実施しています。
2024年度の今年は、昨年度から実施している女性のメンターによる個別相談の実施や、長野県の各地(北信・中信・東信・南信)それぞれの地域で3回ずつ以上のコミュニティ形成に資するような対面イベントの実施、オンラインセミナーなどを実施していく予定です。
また、今年度はより地域を超えてのネットワークも少しずつ作れたらいいなぁと考えているところです。
これから順次情報公開していきますので、楽しみにしていただけたらと思います!
*
これは必ずしも女性だけでの課題ではないですが、創業・起業をしようとするときに、最初の一歩を踏み出してくれる仲間の存在は重要です。また仲間だけでなく、事業の相談ができるメンターの存在も重要であるというのは学術研究的にも多く語られています。
またメンターには、自分が起業や事業をしようとする分野に豊富な知見がある存在・起業プロセスを経験したことのある先輩的な存在・自分と属性が似ていている同志的な存在・財務/法務/広報などの専門的な知識を必要とする専門家の存在という4つの種類がいると良いと言われたりします。
SSSWで提供できることは限られますが、このプログラムをきっかけとして、起業だけでなく新たな一歩を踏み出そうとする方の応援ができるようにしていけたらと願って、チーム全員活動をしています。
ぜひ気軽に声がけをしていただけたらと思いますし、メッセージなどもしていただけたらと思っています。
投資による伴走支援とは? 社会課題の解決に取り組む起業家を応援する「信州スタートアップ・承継支援ファンド」<後編>
県内全エリア
長野県内での次世代新規産業の創業、及び事業継承支援のために令和3年に設立された「信州スタートアップ・承継支援ファンド」(以下、信州SSファンド)。創業初期段階の資金配給と、目標達成に向けた伴走支援を行っています。
ファンドを運営しているのは、これまで数多くの地方創生ファンドを運営してきた株式会社フューチャーベンチャーキャピタルです。
インタビュー後編では、東日本投資部 次長として、信州SSファンドで伴走支援を行っている石坂 颯都(いしざかりゅうと)さんに、投資による支援とはどういうことか、どんな事業が投資対象になるのか、長野県の創業の傾向などを聞きました。
<お話を聞いた人>
株式会社フューチャーベンチャーキャピタル
東日本投資部 次長 インベストメントオフィサー 石坂 颯都(いしざかりゅうと)さん
外資系生命保険会社を経て入社。地域活性化や社会課題の解決に取組む起業家を応援したい思いで業務に従事している。案件発掘から投資育成、ファンド組成まで幅広く経験。複数EXIT実績あり。自治体アクセラプログラム審査員等も担う。
地域の課題をビジネスの力で解決する
――インタビュー前編では、投資を受けるには「新規性」が大事だとお話をいただきましたが、これまで「信州SSファンド」で投資を行ってきた事業にはどんなケースがありますか?
たとえば、長野県小諸市に本社を置くMYCL Japan株式会社(以下、MYCL Japan)は、キノコの菌糸体を培養して生産される植物由来成分100%の新素材「マッシュルームレザーMYCL」の開発・製造に挑む信州発のスタートアップ企業です。
――キノコを活用して革風の素材に! 面白い取り組みですね。
長野県はキノコの生産量日本一ですが、年々生産者が減少しているという課題があります。MYCL Japanは、食用以外で新素材としてのキノコの新たな製品価値を生み出し、新たな信州の特産品を作りたいという思いで事業に取り組んでいます。さらに、代表的な製品であるマッシュルームレザーMYCL は、動物性原料を使用せず、プラスチック樹脂や化学物質の使用も大幅に抑えています。
「信州の名産であるキノコを活用する」というご当地性があり、なおかつ動物愛護の観点でも環境面でも社会課題の解決につながる新しいビジネスモデルだったので、伴走支援をする私たちも事業計画を聞いていてわくわくしましたね。MYCL Japanは、「信州アクセラレーションプログラム」※1にも採択されています。
――地域の課題解決が、さらに世界規模のビジネスモデルになっていく。ほかにも、石坂さんの印象に残っている事例があれば教えてください。
ほかにも、松本市に本社を置く株式会社XAXA(以下、XAXA)は、ペットの暮らしの質を高めるために商品開発と販売を行うベンチャー企業です。MYCL Japan同様に、「信州アクセラレーションプログラム」※1に採択されています。
――ペットフードというと既に世の中にあるビジネスモデルに思えますが、どんなところに新規性があったのですか?
XAXAの魅力は、サービスのスマートニッチさにあります。XAXAのペットフードは、新鮮な食材を新鮮なまま食べられる新感覚で栄養満点なローフードとフレッシュフードです。一食1000円〜という高価格帯の高級ペットフードなんです。
第一弾プロダクトとして、日本の生食文化で培った技術と新鮮な食材を活かし、世界に誇れる高品質な犬や猫向けの食事「XAXA PREMIUM PET FOOD」を開発しており、ペットの健康だけでなく、フードの美味しさも追求し、ペットのQOL向上を目指しています。
――なるほど、これまでにない新たなビジネスモデルですね。
ここ数年、コロナ禍でおうち時間が増えたことにより、ペットを家族の一員としてより大切に扱う傾向が高まりましたよね。そこで、XAXAは「大切なペットのためなら一食1000円でも安いくらい」というお客様を狙った大胆なデザインやPRのプランニングを行うことで、世界展開を狙っています。
※1「信州アクセラレーションプログラム」とは……信州スタートアップステーションが取り組む、創業後間もない企業に対する短期間の集中的伴走支援プログラム。
地域活性化や社会課題の解決に取り組む起業家を応援したい
――先ほどのマッシュルームレザーのケースといい、新しいビジネスが世の中に出ていくのを支援するのはワクワクしそうですね。なにより、お話されている石坂さんが楽しそうです。
ありがとうございます。起業家の皆さんがどう思っているかはわかりませんが、個人的にはこの仕事はとても自分に合ってるなと感じています。
――伴走支援をする側の石坂さんご自身についてもお聞きしたいです。石坂さんは、どういった経緯でFVCで働き始めたのですか?
私は神奈川県の横須賀で育ったのですが、横須賀はいわゆる田舎町なんです。同級生を見ていても、みんな東京に出てしまう。自分の地元が寂れてしまうことに対して、モヤモヤを抱えている部分がありました。
自分も進学のために一度地元を離れたのですが、大学生の頃に東日本大震災が起きました。東北に何度もボランティアに通ううちに、地方活性化に興味を持つようになったんです。
――地元への思いや、学生時代の経験が今につながっているのですね。
大学卒業後、大学院で地方活性化について学び、その後保険会社に入社して経営者向けの保険の販売を行っていました。ですが、保険というのはあくまで「何かがあったときのお守り」なので、もっと前向きに、新しいことに取り組む人たちを応援したいという思いが大きくなってきて。
転職を考えていた中でたまたまFVCに出会い、投資を通じて地方のベンチャーを支援するという経営理念に共感し、縁あって働き始めました。仕事内容ももちろんですが、学生時代から、僕は自分が前に出るというよりは人の成功を支援する方が好きだなと感じていたので、この仕事はまさに天職だなと思っています。
――サポート役の方が向いていると。
大学1年生の頃からずっと塾の先生のアルバイトをしていたんですが、当時から、人が成功したり、目標を達成することを応援したりサポートすることが好きで。塾の先生と投資会社ではやることは異なりますが、チャレンジや夢を応援するという点では共通するものがあるのかなと。
入社して以降、投資担当という形でさまざまな地域の企業さんとお会いして投資による支援を行ったり、信州SSファンドの設立に携わったりと、長年自分がやってみたいと感じていたことを実現できています。
創業の鍵は「思いの強さ」と「解決したい課題の根深さ」
――これまで数多くの起業家の支援に関わってきた中で、石坂さんは創業を目指す方のどこを見ていますか?
事業の内容やアイディアはもちろんですが、やはり一番大切なのはその人自身ですね。そもそも、投資の対象となる方はまだ過去の実績や決算書がなにもない状態です。ですから、「思い」の部分をよく見るようにしています。
――「思い」ですか。
はい。「なぜそのビジネスをやりたいのか」の根っこの部分ですね。起業をするということは、リスクを負って、数々のハードルを超えていく必要があります。起業をしてから、なかなか事業が軌道にのらないことや、事業の方向性や戦略を変える必要性が生まれることはざらにあります。そんな時に、へこたれずにしっかりと次に進める人であるかが重要ですね。
それから、その人が事業を通じて解決しようとしている課題の広さ、根深さも見るようにしています。
――「課題の広さと根深さ」というのは?
何かに困ってる人が多ければ多いほど、潜在顧客がいることになるので、事業は大きく成長します。また、市場としては大きくなくても、根深い課題があれば、その課題を解決することによって助かる人が出てくる。
長野県をはじめ、地方では後者のようなローカルベンチャーやスマートニッチ型のビジネスの方が多い傾向にあるため、信州SSファンドでは課題の広さだけで投資の可否を判断するのではなく、深さを見るようにしています。
――創業する人が増えれば増えるほど、困っている人が助かるという側面がある。信州SSファンドは、その手助けをしているのですね。最後に、今まさに創業を考えている方に向けたメッセージをお願いします。
とにかく、まずは相談していただきたい。その一言に尽きます。創業支援をしていると、かなり形になってからアイディアを出したがる方が多いんです。実際に投資による支援が行えるのは、ある程度ビジネスが形になってからなのですが、もっと前の段階からまずは気軽にお話を聞かせていただきたいです。
起業や創業に答えが結びつかなくても、誰しも「自己実現でこういうことをしたい」、「生活をしていく中で不便さを感じている」、「世の中がもっとこうなったらいいな」という思いを持っているのではないでしょうか。その段階からお話を聞かせていただいて、じっくり関係性を築いていくことで、最終的に投資につながることもあります。
会社としても、私個人としても、長野県ならではのアイディアがどんどん形になって世に出ていくことを応援し続けたいと思っています。
投資による創業支援とは? 社会課題解決に取り組む起業家を応援する「信州スタートアップ・承継支援ファンド」<前編>
県内全エリア
創業初期の起業家にとって、ハードルの一つとなるのが資金調達。自己資金でまかなう、金融機関から融資を受ける。そのほかに、「ファンドを利用する」という選択肢があることを知っていますか?
ファンドは、投資家から預かった資金をベンチャー企業へ投資する役割を持ちます。投資の対象は会社を立ち上げたばかりの企業が多いため、ファンドの運営者は起業家の思いをじっくり聴き、事業の将来性を見定めて投資を行っています。
これまで数多くの地方創生ファンドを運営してきた、株式会社フューチャーベンチャーキャピタルの石坂 颯都(いしざかりゅうと)さんに、投資による創業支援とはどういうことか、どんな事業が投資対象になるのか、長野県の創業の傾向などを聞きました。
<お話を聞いた人>
株式会社フューチャーベンチャーキャピタル
東日本投資部 次長 インベストメントオフィサー 石坂 颯都(いしざかりゅうと)さん
外資系生命保険会社を経て入社。地域活性化や社会課題の解決に取組む起業家を応援したい思いで業務に従事している。案件発掘から投資育成、ファンド組成まで幅広く経験。複数EXIT実績あり。自治体アクセラプログラム審査員等も担う。
「地方創生」をキーワードに、投資による起業家支援・創業支援を
――フューチャーベンチャーキャピタル株式会社(以下FVC)について教えてください。
FVCは、1998年に独立系ベンチャーキャピタルとして京都で創業した会社です。現在は、東京都、岩手県、愛媛県にも展開しています。
ベンチャーキャピタルとは、いわゆるベンチャー企業など未上場の新興企業に出資して株式を取得し、将来的にその企業が上場した際に株式を売却することで利益の獲得を目指す投資会社や投資ファンドのことを指します。なかでもFVCは、創業当時から「地域活性化」や「地方創生」をキーワードに、投資による地方の起業家支援・創業支援を行ってきました。
――「地方創生」に力を入れているのですね。
一般的な投資会社は、東京などの都市部に拠点を置いて、大きく羽ばたくような企業の支援を中心に行っているところが多いのですが、FVCは、地域の課題解決や、新しい事業に取り組むローカルベンチャーの支援を続けています。
具体的には、地域のベンチャー企業を支援するための「地方創生ファンド」と、事業会社のオープンイノベーションを促進するための「CVCファンド」、ものづくり企業など特性のあるテーマに特化した有望なベンチャー企業に投資を行う「テーマファンド」の運営に取り組んでいます。また、資金を投入するだけでなく、長期的な事業継続に向け、事業育成、人材育成、事業コンサルティングなどの支援も行っています。
長野県での創業に寄り添う、「信州スタートアップ・承継支援ファンド」を運営
――FVCが長野県で運営している、「信州スタートアップ・承継支援ファンド(以下、信州SSファンド)」について教えてください。
信州SSファンドは、長野県内の地域金融機関等とFVCが共同で設立したファンドです。 創業・第二創業期にある企業や事業承継における後継者の株式買い取り問題を抱える企業に対して投資による資金供給を行うことで、地域経済の発展と新たな雇用を創出することを目的としています。
従来のベンチャーファンドは株式上場を前提としているものが多いのですが、当ファンドは必ずしも上場は前提としない点が特徴です。
――上場を前提としていないのはどうしてですか?
まず上場とは、証券取引所で株式が売買されるようになることです。株式を上場させると、会社はお金をたくさん集めることができるようになり、上場することでその会社は世の中の人に認められ、ビジネスがしやすくなります。
東京では、上場を目指して起業する方が多いのですが、長野県は必ずしもそうではない。それよりも、起業を通して自己実現をしたり、社会課題の解決をしたいという方が多いんです。そのため、信州SSファンドは、長野県で創業を目指す方に寄り添い、上昇を志向する起業家の方の支援も行いつつ、必ずしも上場を前提としないファンドを運営しています。
――長野県における創業にはそんな特徴があるのですね。信州SSファンドの利用者は現在どれくらいいるのですか?
運営を始めてから約2年間で、「ファンドを使いたいです、興味があります」とお問合せをいただいた件数は100社を超えました。その中で、実際に支援に至ったのは14社です(2024年5月現在)。アイデアの段階の起業家から事業計画をしっかり練った起業家まで幅広くお問い合わせをいただいています。
入口は様々ですが、「創業にあたり資金調達に困っているが、融資ではなかなか支援しづらい」となった場合に、SSSや長野県内の金融機関から「信州SSファンド」におつなぎいただくケースが多いですね。
投資では、ビジネスの新規性が重視される
――「融資では支援しづらい」とはどういうことですか?
まず、融資とは「利息の獲得を目的としてお金を貸すこと」であり、返済の確実性が重視されます。例えば、美容師の方が「長野駅前で新しく美容院を始めたい」という場合は融資の検討対象になります。逆に、まだこの世にないサービスや、新しい価値を生み出すビジネスモデルの場合、確実に収益が得られるかの判断ができないため、金融機関による融資の支援は難しくなるんです。
――誰もが知っているビジネスモデルで、確実に利益が出そうであれば融資による支援が受けられると。
その通りです。一方で、私たちが行う「投資」とは、将来的な利益を期待して資金を融通すること。事業の成長性を重視するんです。そのため、融資とは逆に、どんな事業内容であれ何かしらの新規性が必要です。
例えば、「善光寺の近くにコワーキングスペースを作ります」という方に投資をするのは難しい。ですが、例えば「長野県内のコワーキングスペースを網羅し、ワークスペースや会議室を予約するシステムを開発します」という事業であれば、新規性があるので投資対象となるかもしれません。
――なるほど。投資を受けるには、既存のビジネスモデルにはない新規性が大事なのですね。
とはいえ、「こんなアイディアがあります!」だけでは、投資をすることは難しいです。まだ実績はなくとも、ビジネスが何かしらの形になった段階であれば支援することができます。新しく会社を設立した上で、サービス、もしくは商品がひとまずできた段階ですね。
――実際に、信州SSファンドの支援を受けるにはどんな流れになりますか?
まずは信州SSファンドのご利用申し込みをいただき、投資担当者との面談を経て、投資申請書類をご提出いただきます。その後、事業計画の検討を経て投資委員会が開かれます。ここまでに3ヶ月ほどの期間を要します。
――「今すぐ資金をください!」というわけにはいかないのですね。
はい。投資をすることが決定してから、実際に投資を行うまでにかかる期間は手続きにより異なります。その後の伴走期間は企業の成長ステージや目指す姿によって異なります。
投資による資金面の支援を行ったあとも、信州スタートアップステーションと連携し、事業を成長させていくための伴走支援を行います。
――伴走支援というのは、具体的にどんなことをするのですか?
会社の設立や事業立ち上げに必要な経営ノウハウをお伝えしたり、産学連携やビジネスマッチング、公的支援機関を紹介するなど、事業を成長させるための各種経営支援サービスを提供します。
例えば、3年間で急成長を遂げる企業もあれば、10年間かけてゆっくり成長していく企業もあります。3年間を目処に回収させていただくお約束で支援を始めたとしても、なかなか事業がうまくいかずに、3年間を過ぎても継続してその後も支援させていただくというケースもあります。
我々の業界では、投資による支援を「同じ船に乗る」と表現します。事業者さんと一緒になって、目指す先へ向かっていくイメージです。
・・・
インタビュー後編では、実際に「信州SSファンド」の支援を受けて起業したケースや、長年投資による伴走支援を行ってきた石坂さんの創業支援にかける思いを聞いていきます。
「BizCRE(ビジネスCREATIVE)」(ビジネスコミュニティ)
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CREEKS Coworking 会員間のビジネスコミュニティとして運営してきた「BizCRE」( 通称ビックリ)をオープン化します。参加者のプロジェクト、あるいは参加者同士のコラボプロジェクトをコミュニティの力を借りて推進します。
月2回の「BizCREミーティング」ではプロジェクトのプレゼン、サポーターの募集、既往プロジェクトの経過報告、などを行い、各プロジェクトについてディスカッションします。プロジェクト毎の分科会(プロジェクトオーナー+サポーター)は不定期に開催。
個人事業、スモールビジネスの限られたリソースではどうしても視野が広がりにくく、袋小路に陥りがちです。コミュニティで課題を共有し、参加者の知見を借りてビジネスを推進しましょう。