事業を「継ぐ」という選択肢――小規模事業者の未来を拓く、事業承継マッチングの最前線【前編】事業承継マッチングフォーラムレポート

2026年1月26日、信州スタートアップステーション長野拠点にて「長野県事業承継マッチングフォーラム」が開催されました。事業を始めたい人と継いでもらいたい人をつなぐこのイベントには、現地とオンラインあわせて多くの参加者が集まり、第一部では日本政策金融公庫と株式会社ライトライトによる講演とパネルディスカッション、第二部では地元3社による事業承継プレゼンテーションが行われました。
<第一部登壇者>
高橋和樹氏
日本政策金融公庫 国民生活事業本部
事業承継支援室 事業承継支援第一グループ
東京・秋田支店での勤務を経て、令和5年4月から現職。経営者の事業承継に対する意識喚起や課題解決を使命とし、事業承継マッチング支援やセミナーへの登壇等に取り組む。
江尻竜也氏
株式会社ライトライト
事業推進チームマネージャー 宮崎オフィス長
後継者不在にお悩みの事業者に対して、事業承継プラットフォーム「relay(リレイ)」を活用した経営資源の承継を支援。個別面談を通じて、地方自治体と連携しながら、後継者不在の事業者を支援した地域課題解決のための企画事業も展開。企業の新しい選択肢の育成のための企画立案や目的の達成に取り組んでいる。一児の父。
「継ぐスタ」によるリスクを抑えた創業の選択肢
まずは日本政策金融公庫の高橋氏が、同公庫の事業承継マッチング支援について説明しました。同公庫は国が100%を保有する政策金融機関で、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3つの事業から成り立っています。中でも高橋氏が所属する国民生活事業では小規模事業者の融資や、創業希望者の融資をしており、融資先の約半数が個人事業主という、まさに小規模事業者を支える存在です。
日本公庫の事業承継マッチング支援は、後継者不在企業と、これから創業をする人、事業規模を拡大したい人を引き合わせる取り組みです。
5つの特徴があり、第一に、中小企業・小規模事業者が対象で、全国152支店のネットワークを駆使し、広く相手先を探すことが可能であること。第二に、「継ぐスタ」として、事業を継いで創業したい方を支援していること。第三に、オープンネームによる後継者探しを実施していること。第四に、担当者によるサポートが受けられること。そして第五に、譲渡側・譲受側ともに無料で利用できることです。
注目すべきは、成約した譲渡企業の特徴です。年商5,000万円以下が約7割、従業員5人以下が約8割と小規模事業者が中心。さらに、約3割が赤字企業、約5割が債務超過企業という経営が悪化している状況でも成約に至っています。飲食・宿泊を中心にさまざまな業種が成約に至っています。
続いて、「継ぐスタ」とは、事業を受け継いで創業する形態を示す言葉(日本公庫による故障)です。日本公庫では、創業希望者は、一般的なM&Aの対象となりにくい小規模事業者の後継者になり得ると考えており、長年の創業支援で培ったノウハウを活かし、「継ぐスタ」の実現に向けて継続的な支援に取り組んでいます。
高橋氏「『継ぐスタ』には大きく2つのメリットがあります。1つは、譲渡側の技術やノウハウ、地域での知名度や信用を引き継ぐことで、スタートから安定した経営が実現できる可能性があること。もう1つは、既存の店舗や設備を活用できるため、初期費用を抑えられる可能性があることです」
一方で留意点もあります。やりたいことが具体的であればあるほど、適した事業が見つかりにくくなること。魅力的・高収益の事業は競争が激しく、条件が厳しくなること。そして、経営の自由度が制限される可能性があることです。
「継ぐスタ」を実現するには、譲渡先の思いを尊重することが重要です。多くの譲渡先は「誰でもいい」という考えではなく、長年続けてきた事業に対して深い思いを持っています。継ぎ手候補者は、その思いを尊重することに加え、継ぐスタ計画書に自身の経歴や経営方針、活用できる知識・技能などを記載し、自分のことをよく知ってもらうことが求められます。
事業承継は個人の問題ではなく地域全体の課題
続いて、株式会社ライトライトの江尻氏は、2025年に休廃業した事業が約6万7949件にのぼるというデータを示しました。前年の約6万9000件からわずかに減少したものの、依然として深刻な状況が続いています。
江尻氏「大廃業時代というワードを聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。今まさに事業承継支援が求められている時代です。休廃業をした事業を紐解いていくと、このうち約半数が黒字のまま休廃業を余儀なくされており、端的にもったいない状態です。さらに深掘っていくと、約3割の方が担い手の確保ができないまま、ご自身で諦めてしまっているというのが実情です」
長野県内でも、2024年のデータによれば後継者不在率は下がっているものの、依然としておよそ半数の企業が後継者不在の状況にあります。歴史ある老舗企業が多い長野県において、この課題は喫緊の問題となっています。
江尻氏は「事業承継は個人の問題ではないか、という声もあります。しかし実際に、一軒のお店がなくなるだけで地域に大きな影響があります。雇用の減少による人口流出や、選択肢が狭まること、さらに廃業が増え、チャレンジが起こらない寂しい地域になってしまう。地域維持の観点からも、事業承継は地域課題だと言えます」
一方で、小規模事業者の受け皿が少ないという課題があります。地域として「後継者を一緒に探しましょう」と言える社会への変革が必要です。
株式会社ライトライトが運営する「relay(リレイ)」は、2020年に開始したオープンネーム方式の事業承継プラットフォームです。
従来の匿名(ノンネーム)方式では、所在地や売上高、業種などの限られた情報のみが提供され、収益性に基づいて初期判断が行われます。その結果、収益が中程度の事業や負債を抱える事業は、選別段階で除外されることが多くなります。
江尻氏「すべての事業には固有の価値と魅力があり、正当に評価されるべきです。オープンネーム方式では、事業者の顔や名前、背景ストーリー、大切にしている価値観や理念を発信し、財務的な基準だけでなく、感情的なつながりや共有する価値観を重視しています」
「relay(リレイ)」の特徴は、行政機関、自治体、商工団体、金融機関との幅広い連携にあります。また、有料職業紹介の許可を取得しているため、後継者候補の採用支援も可能です。さらに不動産許可も取得しており、店舗の居抜き譲渡や空き物件の引き渡しにも対応できます。料金体系は、譲渡側は無料、譲受側が成功報酬35万円(税別)となっています。
成約までの期間は平均3〜4ヶ月で、最短では1ヶ月以内の事例もあります。これは日本政策金融公庫の平均約1年と比較すると、かなり短期間での成約が実現していることになります。
オープンネーム方式のメリットは、事業者が大切にしてきたことをしっかりと伝えられることにあります。一方で、風評被害のリスクや、知らない人から直接連絡が来る可能性もあります。そのため、「relay(リレイ)」では1事業者に対して1名のコーディネーターがマッチング支援を行い、円滑なコミュニケーションをサポートしています。
江尻氏「事業承継はあくまでも手段です。この事業承継を通して、担い手が増加し、関係人口が増加する。それによって多様性が生まれ、経済が回っていく。そこからさらにチャレンジができていく。自走可能な地域社会が生まれてくるんです」
「この人に託したい」と思ってもらうには
第一部の最後には、株式会社日本政策金融公庫 国民生活事業本部 事業承継支援室 事業承継支援第一グループ グループリーダーである大沼真樹氏を迎え、江尻氏とのパネルディスカッションが行われました。
まずは、「売り手が『この人に託したい』と心を動かされる買い手の共通点はあるか」という問いかけに、江尻氏は「真剣さ」が大切であると伝えました。
江尻氏「興味本位で話を聞きたいというスタートは問題ありませんが、実際の面談に進むには、事業計画書を練ってくるなど、真剣に考えた証を示すことが大切です」
続いて大沼氏は、「熱意とリスペクト」を挙げました。売り手の事業手法や哲学、仕事への愛着を尊重し、上から目線を避けることが求められます。
大沼氏「買い手の方が事業規模が大きかったり大企業勤務の経験があったりする場合、自分のスタンダードとのギャップから上から目線になってしまうケースがあります。売り手のこれまでのやり方を最大限リスペクトし、承継直後からガラッと変えるような提案をするとなるとなかなか難しいです」
続いて、買い手側に売り手の魅力が伝わるような効果的な情報発信の方法についての質問に、大沼氏は決算書に現れないような事業の強みや課題を整理して見える化することが大切だと伝えました。
大沼氏「日本政策金融公庫では『つなぐノート』『ゆずるノート』というワークブックを準備しております。これらを活用して強みや弱み、改善策を明確にすることで、事業の魅力を自信を持って伝えられるようになります」
江尻氏は、事業者様の本心、地域への思いを誠実に伝えることの重要性を強調しました。
江尻氏「何を譲りたくないのか、何を残したいのか。どういう方に来てほしいのか、地域に対してどういうアクションを踏んでほしいのか。その思いを、本心として語っていただくのが一番です」
事業承継を「当たり前」の選択肢に。諦めずにまずは相談を
パネルディスカッションの最後に、大沼氏は、「小規模事業者にとって第三者承継が当たり前の選択肢になってほしい」と語り、売り手と買い手が相互に尊重し合い、承継後の事業成長や地域経済への貢献を促す信頼関係を醸成していくことの重要性を強調しました。
江尻氏は、地域を変えていくためには、地域の人たちから信頼度が高い行政が旗振り役として事業承継に取り組む必要があると訴えました。また、諦めずにまずは相談をしてほしいと訴えかけました。
江尻氏「支援機関には幅広い選択肢を持つことの重要性を、事業譲渡者には事業は思っている以上の価値があることを、そして後継者候補には十分な情報収集と計画、信頼できる機関の承認を得ることを伝えたいです。諦めずに相談することが大切です」
レポート後編では、承継先を探している地元の4つの事業者による事業承継プレゼンテーションの様子をお伝えします。
事業承継に関するお問い合わせ情報
https://shoukei.nice-o.or.jp/
めぐる つながる NASC OPEN DAY Feb.2026
長野エリア


企業・行政・アカデミア・市民が交差し、
長野の未来をともに描き、ともに動かす1日。
オープンイノベーションを体感できる年1回の特別イベントを開催します。
2026.2.18wed. 13:30~17:30
長野市芸術館 3F アクトスペース(長野市鶴賀緑町1613)
入退場自由/参加無料
対象: 共創に関心のある企業・行政・市民・学生 等
SEES CONFERENCE
伊那市

2023年にオープンした伊那市の「農と森のインキュベーション施設 inadani sees」で1年の集大成として開催される〈SEES CONFERENCE〉。1日がかりの学び溢れるトークカンファレンスイベントです。
今回のテーマは、
「土の経済学」
経済はこれまで「上へ伸びるもの(成長)」として語られてきました。
しかし、森も畑も、そして人の暮らしも、本来は「耕し」「育て」「めぐらせる」ことで豊かになります。
今年のsees conferenceのテーマは「土の経済学」。土のように、関係の網の目の中で育まれるビジネス、ものづくり、そして豊かさについて考えます。ものづくりの現場から「土壌」を手がかりに、仕事のあり方を掘り起こし、人と自然の新しい経済関係を “耕す” 一日です。
地域に根ざしながらローカルでビジネスをする人がぶつかるであろう内容を詰め込んだ1日をお届けします。

◼️概要
〈日 時〉 2026年 2月 23日(月曜・祝日)10:30〜18:00(開場10:00)
〈会 場〉 inadani sees(伊那市西箕輪7200-27)
〈参加費〉 無料 ※ランチ・交流会費別
〈定 員〉 60名
〈申込み〉 こちらのGoogleフォームからお申し込みください。
https://forms.gle/RpZroWNTRRxKdFvV7
素敵な講演とゲストトークラインナップはこちらに決定しました!ここでしか聞くことのできないトークが満載です。

特別講演「つづくをつくるデザイン」
D&DEPARTMENT ディレクター
/黒江美穂さん

Theme Talk Session
#01 地域の土壌を耕すビジネス
時岡 壮太 さん(株式会社デキタ 代表取締役)
茶屋 尚輝さん(株式会社plower 代表取締役)
ファシリテータ 増村 江利子さん(greenz.jp編集長/環境再生医)

#02 関係性が広がるものづくりの土壌
藤原隆充さん(藤原印刷株式会社 専務取締役)
羽渕 彰博さん(平安伸銅工業株式会社 執行役員)
ファシリテータ 井上 岳一さん(日本総合研究所 チーフスペシャリスト)
詳細プログラムは、inadani seesのHPをご確認ください。
詳細リンク
産業DX推進事業で見えた成果と課題-長野県の支援事例を現場の声ー
県内全エリア

長野県産業振興機構は、 「信州ITバレー構想」のもと、県内産業の競争力強化に向けた取組の一つとして、産業DX推進に取り組み、県内企業のデジタル化・DXを支援してきました。 本イベントは、これまでの成果や課題を共有するとともに、支援を受けた企業の取組や意思決定、進め方を発表していただき、パネルディスカッションを行います。支援事例をもとに、企業・支援機関・IT事業者それぞれの立場で、今後の取組や支援のヒントを持ち帰っていただきたいと思います。
長野県ソーシャル・ビジネス創業支援金 オンライン事例報告会
県内全エリア

ソーシャル・ビジネス創業支援金の活用を希望される方等へ制度を広くお知らせするとともに、来年度以降の応募の参考にしていただくため、実際に支援金の採択を受けた方々に事業内容や制度活用のポイント等を発表していただきます。
また、ソーシャル・ビジネスの理解を深めていただく観点から第一人者による事例を交えての解説を行います。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
日程への変更になりました【sou-Nagano DAY6】自分の人生とキャリアについて 長期視点で考える
【sou:自分も地域も幸せにする事業の創り方 全6回講座】
ラスト回になりました!
「知」と「実」をつなぐ6日間。
前半3回は、「幸せ」を、感覚ではなくリアルに掴み、事業として実践するための最先端の知見を得ます。
後半3回は、多様な起業のあり方を、そしてその背景にある女性としての生き方について女性起業家のリアルに出会える時間です。理論と実践の両輪から、あなたのビジネスの“軸”を見つける全6回講座です。
開催毎にキャリアや起業について個別相談も受け付けます!
【開催概要】
終了|DAY1:幸せを生み出す計算式|対立を生み出さないことを数学的に知る最初の一歩
9月20日(土)13時〜15時 @長野県立大学/オンライン
終了|DAY2:共生する社会を広げる|争いやお金とは異なる視点から社会を見る方法
10月18日(土)13時〜15時 @シソーラスDXセンター/オンライン
終了|DAY3:幸せを生み出すビジネス|共創を生まないイノベーションを生む視点
11月8日(土)13時〜15時 @長野県立大学/オンライン
終了|DAY4:女性にとっての起業とパートナーとの関係性(仮)
12月6日(土)13時〜15時 @長野県立大学/オンライン
終了|DAY5:女性にとってのキャリアを考える上での「健康」と「起業」(仮)
1月10日(土)13時〜15時 @長野県立大学/オンライン
DAY6:自分の人生とキャリアについて長期視点で考える(仮)
2月22日(日)13時〜15時 @シソーラスDXセンター/オンライン
お申し込みは以下のリンクよりお願いします。
https://forms.gle/jDpz4eEBEVF2ttYX9
※すべての回で託児あり。
みなさまのご参加お待ちしております!

副業・兼業人材活用成果報告会~長野県内企業のリアルな声から学ぶ、副業・兼業活用の秘訣!~
県内全エリア
これから副業・兼業人材の活用を検討されている事業者の皆様へ、導入の成果や課題など、導入のポイントをお伝えするためのイベントを開催します。ぜひお気軽にご参加ください。

【日 時】令和8年2月10日(火)、26日(木)
各日13:00~13:45
【場 所】オンライン開催(zoom)
【参 加 費】無料(要予約)
【プログラム】
13:00~13:10 長野県内における副業・兼業人材の活用状況
13:10~13:30 企業の事例発表
2月10日/阿寺ブルー㈱、㈱原製作所
2月26日/Zサービス㈱、タクミエイト㈱
13:30~13:40 副業・兼業人材活用における補助制度のご案内
13:40~13:45 質疑応答
【申込期限】各回前日の15時
お申し込みはこちら ※お申込みいただいた方を対象に各回前日に視聴用URLをお送りします
長野イノベーションベース〜第48回月例会 「強いボードメンバーをつくるー外部採用・内部昇格・後継者育成の『移行期』をどう支えるかー」
県内全エリア

今回の会場は、トイーゴ 3階 会議室 になりますので、ご注意ください。
無料で聴講いただけますので、長野市近郊の方々を中心にぜひお越しください。
現地での参加は、現場の熱量を肌で感じながら講演をご覧いただけるほか、イベント後、登壇者や他の来場者の皆様と交流いただけることも大きな魅力です。
- 日時:2026年2月6日17:00〜
- 会場:長野市生涯学習センター(TOiGO3階学習室)
- 参加費:無料
- 講師:㈱エムクラス 代表取締役 村上しほり氏
(講師プロフィール)
1982年、熊本県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、18年にわたり人材ビジネスに従事。 2014年より国内最大規模のエグゼクティブサーチファーム 株式会社リクルートエグゼクティブエージェント に入社し、経営幹部人材の紹介業に携わる。
2018年、米国 Gallup 社認定ストレングスコーチ資格を取得。 2020年に独立し、日本で初めて「エグゼクティブオンボーディング」を専門とする株式会社エムクラスを設立。
経営者の着任支援や幹部登用に伴う活躍設計プログラムを展開し、特にPEファンド投資先企業における経営幹部の早期活躍支援に取り組んできた。 現在は、人材開発・組織開発プログラムを通じて、チームの成果創出を支援している。
プライベートでは、7歳の女の子・1歳の男の子の2児の母。 人的資本経営に関する情報開示の国際ガイドライン ISO 30414 リードコンサルタント/アセッサー認証 を保有。
お申込みはこちらから
上伊那・南信州SSS出張相談会
飯田市
松川町
高森町
阿南町
阿智村
平谷村
根羽村
下條村
売木村
泰阜村
喬木村
豊丘村
大鹿村
伊那市
駒ヶ根市
辰野町
箕輪町
飯島町
南箕輪村
中川村
宮田村
長野県の創業相談窓口「信州スタートアップステーション(SSS)」が
駒ヶ根市/伊那市/飯田市で出張相談会を各地1日ずつの3日間連続で開催します!
創業・起業に向けたご相談(ビジネスアイディアのブラッシュアップ等)や
創業後の事業拡大に関するご相談(事業戦略やマーケティング計画等)など、
創業期の会社経営に関して、幅広くご相談をお受けいたします。
是非、積極的にご活用ください!
相談申し込みフォーム→こちら


松本道場 アントレプレナーセミナー”発展編”
長野エリア
松本市
諏訪エリア

「松本道場」は、未経験から事業創出を目指す全5回のアントレプレナーセミナーです。
自分のアイデアを形にしたい人を対象に、専門家による講義やAIツール(ChatGPT等)の活用術、ビジネスモデル構築、ピッチ手法を実践的に学びます。
現在は2026年1月〜3月開催の「1期生(発展講座)」を募集中。
同じ志を持つ仲間との繋がりも得られ、最終的にはピッチイベントでの発表を目指す、情熱ある挑戦者を支援するプログラムです。
12月7日(月)、小商い体験講座「SOU-me」の第5回を開催いたしました。
県内全エリア
「好きを形に小さく一歩踏み出す基礎編」のビジネスアイデアセッションをテーマにする5回目の会場は、東御市にあるコワーキングスペース「えべや」さんにて実施いたしました。東御市は女性起業家が元気な街として知られ、商工会も「起業しやすい街」を目指して積極的に取り組まれております。えべやコーディネーター臼井さんの協力の元、東御市の田中商店街を歩いて、起業の先輩である店主のお話を直接お伺いし、その後ビジネスアイデアをみんなで生み出すという盛りだくさんの内容になりました。
⚫︎ワーク1:自分の希望を整理し、ビジネステーマを決める
まずは、これから形にしていく「ビジネステーマ」を考えるセッションです。 ポストイットを使いながら、テーマを整理する時間を取りました。全員が自身のテーマを1枚のシートにまとめ上げました。
⚫︎フィールドワーク:商店街へ!まちの「困りごと」に「好き」を掛け合わせる
知っている街も、初めての街も、「ここでビジネスをするなら?」という観点で歩くとどんな発見があるでしょうか?今回は、商店街で長年事業を営んでいらっしゃり議員も務められている「ナガコシカメラ」の長越さんをお訪ねしお話をお伺いしました。そして100年の古民家をリノベして一棟がしのお宿をオープンされたばかりの「富美屋」のオーナー宮島さんに創業ストーリーをお伺いしました。


⚫︎ワーク2:ミニ「ビジネスアイデア・セッション」の体験
刺激いっぱいで会場に戻った後は、お待ちかねのビジネスアイデアセッションの時間です。
最初に3つのルール(質より量、発言に責任をもたなくてOK、YES, and で答える)を確認してから、グループでスタートしました。
どのチームも、自分のワクワク・やりたいから始まるビジネスアイデアを、仲間の力を借りて更にアイデアを出していきます!どのチームも盛り上がり、あっという間の時間になりました。

⚫︎参加者からの声を一部紹介します
街あるきをして、東御市での起業の先輩方の話を聞き、みなさんからのアイデア出しをしていただき、とても濃い時間でした。
1人で孤独に考えていたことを話す場、聴いてもらえる場がとても刺激になりました。人とつながることの大切さを実感した時間でした。
人とのつながりを再確認しました!やりたいことを形にしようとしている方と話すと元気をもらえるなーと思いました!何かやりたい!1歩ふみだしたいです!
他にも起業したい女性がたくさんいることを知れて、一歩踏み出す元気をもらえました。
街歩き+アイデアセッション、リアルで感じてアイデアを出すことの大切さと楽しさ、発見がありました!

⚫︎次回予告:最終回!「体験型イベントを企画しよう」
次はいよいよ全6回のプログラムの集大成となる最終回は、1/18(日)青木村「道の駅 あおき」内にて実施します!
今回のビジネスアイデア・セッションで生まれた種を元に、具体的にどんな「体験会」を開催するのか。皆さんと一緒にアイデアを形にしていく時間が今からとても楽しみです!
\ 増席にて単発参加も受付中! / 第6回からの単発参加も受付中です。今回のセッションを元に、どんな体験会のアイデアが出るか、皆さんと過ごす時間を楽しみにしております。新しい一歩を一緒に踏み出してみませんか?
起業という選択肢を、「サザンガク」でもっと身近に。松本から広がる挑戦のコミュニティ【後編】

コワーキングスペース・サテライトオフィス・テレワークオフィスの3つの機能を持つ松本市の「サザンガク」。2019年11月のオープン以来、場所にとらわれない働き方や起業家育成の場として、地域に根付いてきました。年間100回以上のイベントを開催し、人と人をつなぎ、新しい挑戦を後押ししています。
信州スタートアップステーション(SSS)や長野県よろず支援拠点の相談拠点としても機能するサザンガクは、起業を考える人たちにとってどんな場所なのか。インタビュー後編では、コミュニティから生まれた具体的な事例や、これから起業を考える人たちへのメッセージを聞きました。
<お話を聞いた人>
阿部航大(あべ・こうた)さん サザンガク施設長
長野県白馬村生まれ。信州大学理学部卒業後、市役所で約12年間環境関係の業務に従事。2023年より松本市役所職員として、一般財団法人松本ものづくり産業支援センターに派遣され、サザンガクの管理・運営全般を担当。
中山拓輝(なかやま・ひろき)さん サザンガクコミュニティマネージャー
長野県岡谷市出身。進学・就職で福井・東京へ。7年前に長野県に戻り、諏訪のホテルで勤務後、2019年にファイナンシャルプランナーとして松本市で独立。約1,000人以上のプランニング実績を持つ。2023年より株式会社ATOMicaに所属し、サザンガクのコミュニティマネージャーに就任。現在も現役ファイナンシャルプランナーとして活動中。
専門家じゃなくても、頼ってもらえる存在に

――インタビュー前半では、サザンガクという施設の機能についてお聞きしました。お二人とも、元々創業支援や起業に関することをされていたわけではないところから、サザンガクの運営に関わるようになったと思うのですが、実際にサザンガクで起業の相談に来る方をサポートしていく中で、何か印象に残っていることはありますか?
阿部さん:そうですね。自分は本当にただの市役所職員なので、全く畑違いの分野から来て、最初は何もわからなかったです。今でも何かご助言ができるような特別な知識はないんですが、だんだん「壁打ちしてもらえますか」という話をいただけるようになってきて。
自分は経営のこともわからないし、スタートアップの事業の進め方の専門的な助言やメンタリングはできないんですが。「でも、とりあえず意見を聞きたいんです」「一市民としての反応を知りたい」と言ってもらえるようになってきたのはうれしいです。自分もこれまでいろんな方を見てきているので、どんな形でも頼っていただけるのはうれしいですね。

中山さん:僕自身は6年前からファイナンシャルプランナーとして個人事業主として独立していて、サザンガクでのコミュニティマネージャーのお仕事も業務委託という形で受けているので、自分自身「自分で事業をする」という経験があります。自分の生き方をどうしていきたいかとか、「アイデアをどうやって形にしていったらいいか」という相談に乗らせていただくことが多いです。
相談業務では、印象に残ったことが多すぎて……(笑)。どれをピックアップするか難しいんですが、例えば、ちょっとした雑談から事業のアイデアが生まれたり、僕らが引き合わせた人たちが、後々想像以上に大きなプロジェクトを動かし始めていたり。僕たちが直接関わらなくても、サザンガクをきっかけに種が芽吹き、その活動が地域全体で大きくなっていくのが、とてもうれしいんです。2年半かけて作ってきた些細なきっかけが、徐々に地域に根付いている実感があります。多くの方から「あのときありがとうございました」という声が聞けることが印象深いですね。
阿部さん:本当にそうですね。活躍されている方々に「元々お知り合いだったんですか?」と尋ねると、「いや、サザンガクのイベントで初めて会ったんです」という返事が返ってくることがよくあって。その繋がりが、僕らの手の届かないところで自発的に生まれているのが、とてもうれしいですよね。
コミュニティから生まれた、思いがけない化学反応

――サザンガクから派生して生まれたイベントや出来事など、特に印象的な具体例があれば教えて下さい。
中山さん:ここ最近でとても面白い動きだなと思っているのは、事業承継を考えている方のコミュニティ「アトツギの学校」に関わらせていただいていることです。
サザンガクがそういう方々とのコミュニティを地域と作ることで、地元の中小企業の課題をサザンガクに集約することができる。これがまずひとつ面白い点です。
それから、「アトツギの学校」では「オブザーバー」という制度を設けていて、いわゆるアトツギではないけれど、アトツギに対していい影響を及ぼすことができる方であれば参加できるんです。ですから、例えば普段サザンガクのコワーキングを利用している東京のスタートアップでバリバリやってきたような方が、そこに入ってトークをしていく中で新しい物事が生まれたりするんですね。僕は、それこそがサザンガクが松本にある意義なんじゃないかと感じています。
阿部さん:生成AIに関することでいうと、サザンガクの近くに「SWEET WORK」というコワーキングスペースがあって、二つを兼用されているエンジニアの方が複数人いらっしゃるんです。その方々を中心に、シビックテックのような文脈で、「ちょっとあったら便利だよね」というサービスを、AIを使って自分たちで作ろうという動きが立ち上がり始めていまして。
それがサザンガクやSWEET WORKで開催するイベントを通じて、30人くらいの人が集まるような動きになっているので、AIがこれだけ発展してきている中で、今後どのように松本で発展していくかがとても楽しみです。
「やってみたい」を気軽に相談できる場所に
――普段接点がなかった人同士が、サザンガクがきっかけで出会い、化学反応が生まれていくというのが面白いですね。ただ人が集まる場があるだけでなく、お二人のようなコーディネーターがいたり、場作りが行われているからこそだと感じます。今後、おふたりが目指していきたいことはありますか。

阿部さん:2人とも結構勢いで進んでしまうタイプなので、3年が経った今ちょっと立ち止まって、現在値と目標値をもう一度見直すというのが必要かなと思っています。
認知度向上と、敷居を下げるというのは、まだまだこれからかなと思うので。もうちょっと、気軽に地域の方に頼っていただけるような場所になっていきたいなと思っています。松本市全体から見たら、本当にまだ一部の属性の方にしか届けられていないので。もっと注目いただけるようにコツコツやっていきたいです。
中山さん:サザンガクを拠点に新規事業が立ち上がりますとか、会社ができますというところは、まだ多くはないです。改めて、創業につなげるにはどういったサポートをしていけばいいのか、そもそもどんな場所を目指して行きたいのかをこれからも話し合っていきたいですね。
――最後に、これから起業を考えている人や、長野で起業してみたいなと思っている方にメッセージをお願いします。

阿部さん:僕個人がお手伝いできる部分はそんなに多くはないんですが、相談に来てくれた方と、普段サザンガクに通っている方や地域で活躍している人とおつなぎしたら面白いことが起きるんじゃないか、という空気はここ数年で醸成できていると思います。
起業に限らず、松本には楽しく暮らしている方はとても多いので、移住や新拠点の設立を含め、「長野県で何かやってみたい」という方は、ぜひ一歩踏み出してきていただければ、いい出会いにつながるはずです。サザンガクでは定期的にさまざまな切り口のイベントを企画しているので、最初の一歩としては入りやすいかもしれません。松本で何かやってみたいという方は、ぜひお気軽に来ていただけたらなと思います。
中山さん:まだまだ世の中では、起業に対するイメージとして、「やりたいことが明確じゃないと人に相談しちゃいけない」というのがあると思っていて。
僕たちが相談に来て欲しいのは、もう少し前の段階にいる人たちなんです。起業家の方々と話していると、たとえば「今の働き方が生きづらい」だったりとか、「世の中に対してこんな課題認識を持っている」とか、「こういうのむかつくんですけど!」という声が、実は事業アイデアになるというのを日々感じます。
なので、サザンガクとしては、まだ「起業」という選択肢が頭になくても、まずは自分の生きづらさや働きにくさ、日々感じているモヤモヤを気軽に相談してもらえるような施設にもしていきたいなと考えています。僕たちだけでなく、アイデアを形にしていくプロがここにはたくさん集まってきているので、「ちょっとだけ興味があるんだけど」「まだうまく話せないかも」という方こそ、ぜひ気軽に相談に来てほしいです。
サザンガクのHP https://33gaku.jp/