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2024.10.16

徐々に社会に出ていく、働きはじめについて

募集期間:2024/10/15〜2025/3/31
2024.10.16
イベント/セミナー/研修を探している 人材を探している 他の企業との協業を検討している

県内全エリア

こんにちは!SSSWのコーディネーターをしている九里です◎

長野県の女性の創業・起業支援(Shinshu Startup Station Women:SSSW)は、
2023年度から始まり、個別相談員/メンターとしても2年目となります。

合同会社キキという会社を共同創業者と数人のスタッフと営んでいます。
個人と社会、こうありたいと思う日常を自らの手でつくりだすことが出来るよう仕組みや場所を整える会社として、#暮らし #学び #はたらくをテーマに、長野県内にて、さまざまな事業をおこなっています。

私たちは学生起業ということもあり、若い世代の「起業」「プロジェクト」の相談を受けることもありますし、これからキャリアを積んでいく若者、そこと繋がっていきたい地域の企業や個人からご相談を受けることが多くあります。

今回はそんな相談の一つとして、ずっと関わっていた矢野叶羽さんからお話をお聞きし、新しいキャリアの作り方だなと感じたので、皆さんにお伝えするコラムをと。


矢野さんは、長野県立大学グローバルマネジメント学部4年生。
長野市を拠点に高大生・若者向けの「まなび対話コーディネーター」として場づくりの仕事をしています。

そんな彼女に、大学生と活動、働くことについてお話を聞いてみました。
まずは、最近お金という対価をもらいながら活動するようになっての感想を聞いてみました。
「働いているなあと感じます。お金をもらっていることも、もらってないことも、自然とお仕事と言うようになりました。バイトとも感覚が違います。」
「働いているというようになったのは、私に頼まれているという責任をもつ感覚になったから。」
とお話をしてくれました。「活動」から、「働く」に徐々にシフトをしている感覚のようです。

生き方・働き方を考えた時に、「自分のできる、やりたいことで働いていけるってかっこいいと感じていたこと」、「自分の住むまちで働きたいと思ったこと」と考えた時に、大学を卒業して、すぐにぽんっと社会にでてフリーランスや事業主として生きる自信はなかったから、徐々に社会というものに仕事をする人として出てみたんです、と図を交えながらお話をしてくれました。

社会に出ること/働くことは、学校で学んでいるときと途轍もなく乖離があると感じている人も多いはずです。
でも、そんなに大きく飛ばなくても、徐々に社会に出ていくことで、自分の目指したい姿に近づいていけるのではないか、と矢野さんのお話を聞いていて感じました。

もっともっと自然に「働くこと」に溶け込む選択肢を作ることで、社会全体で若い人たちや、これからもっと働きたい方々を包み込み、一緒に社会を作っていけるかもしれません。

インタビューを受けてくださった矢野叶羽さんのnote

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2024.10.10

長野だから乗り越えられた創業初期の壁。眼科に特化した人材サービスで医療現場の課題を解決【後編】先輩起業家インタビューvol.7

2024.10.10

起業する。会社を立ち上げる。「創業」と一口にいっても、そのあり方は人それぞれ。同じ選択や道筋は一つとしてありません。魅力的な先輩起業家が数多く活躍している長野県。SHINKIの先輩起業家インタビューでは、創業者の思いやビジョン、創業の体験談や、本音を掘り下げます。

「人材系のビジネスは、在庫等を抱える必要がない無形商材のビジネスモデルなので、場所を選ばずに展開できます。そのため、初期の段階から家賃の高い東京にオフィスを構えるのは無駄だと考え、地元である長野で創業することにしました。」

そう語るのは、眼科に特化した情報メディア、就職/転職サービスを提供する株式会社Contactを立ち上げた依田龍之介(よだりゅうのすけ)さん。視能訓練士を目指し医療系の大学で学ぶ中で、医療現場の人材採用の課題を肌で感じ、起業を目指すように。ビジネスの新規性と可能性が評価され、2022年に創設された長野県の創業支援ファンド信州SSファンドの投資先第一号にも選ばれました。

本社はかつて祖父が暮らした軽井沢町の家に置き、現在は東京・下北沢のシェアオフィスとの2拠点で働く依田さん。インタビュー後編では、長野での創業を選んだ理由や、創業初期の課題、今後の展望について聞きました。

<お話を聞いた人>
株式会社Contact 代表取締役 依田龍之介さん

長野県出身。大学院修士課程修了。視能訓練士。大学院在学中に研究・学会発表を行いながら、3歳児健診での弱視見逃し防止に関する事業で経産省が主催するジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト等に登壇。その後、医療系ITスタートアップに参画。2022年株式会社Contact設立。

創業コストを下げるため、東京から地元の長野にUターン

軽井沢にある祖父の空き家をオフィスとして活用

――インタビュー前編では、思い立ったその日に登記を済ませたとお話がありましたが、長野での起業を選んだのはどうしてですか?

結論から言わせていただくと、初期コストを下げたかったからです。人材系のビジネスは、在庫等を抱える必要がない無形商材のビジネスモデルなので、場所を選ばずに展開できます。そのため、初期の段階から家賃の高い東京にオフィスを構えるのは無駄だと考え、地元である長野で創業することにしました。

まずは登記を済ませてから、長野での創業支援やサポートを探しました。その中で、信州スタートアップステーション(以下、SSS)を見つけました。

――SSSでは、具体的にどのような支援を受けましたか?

一番最初にSSSに相談に行った際は、そもそも視能訓練士とは何かというお話から、慢性的な眼科の人材不足など、医療現場の課題や現状の説明をさせていただきました。そこから、どんな事業なら課題解決が実現できるのかの壁打ちをすると共に、実現のために必要な資金量と調達手段についても相談にのっていただきました。

――開業にあたって資金調達はどのように行いましたか?

「眼科に特化した就職/転職サービス」というのは、あまり一般的でないサービスだったこともあり、当初見積もった事業資金規模に対し、既存の金融機関から十分な融資を受けるのが難しい状況でした。

人材サービスというのは、実は免許事業で、創業にあたって厚生労働省から「有料職業紹介免許」という免許の交付を受けないといけないんです。そのためには約500万円の純資産が必要で。

――まだ事業が始まっていないうちから、それだけの金額を準備する壁は大きいですね。

はい。僕は当時まだ大学院生でしたし、創業のための初期費用で貯金をほとんど使い切ってしまっていたので、500万円という金額は自分では到底用意できないものでした。さらに、銀行の融資を受けられたとしても、融資は会計上は純資産にカウントされないため、免許取得には不十分だったんです。

資金調達の壁に当たるも、長野県の創業支援ファンド第一号に

――その課題はどのように解決したのですか?

本当に運が良く、僕が起業したちょうど数ヶ月後にSSSが創業支援のファンド「信州スタートアップ・承継支援ファンド」を創設したんです。ファンドからの出資であれば純資産扱いになり、免許の取得をすることができます。

SSS側から「こんなファンドがあるんですがどうですか?」とご提案いただき、早速手続きをすすめ、無事に投資先第一号にお選びいただけました。その後、2022年の6月には視能訓練士の働き方などの記事を配信するサイト「Contactメディア」を立ち上げ、免許取得後に眼科に特化した求人プラットフォーム、「Contactキャリア」をスタートさせました。サービス開始から約一カ月で、関東を中心に約20の医療機関の求人を受け付け、視能訓練士は約130人の登録がありました。

――いざサービスを立ち上げて、実際に軌道に乗り始めるまではどれくらいの時間がかかりましたか?

初期の頃はとにかく大変でしたね。事業が安定するまでは思っていたよりも時間がかかりました。一年ほどはとにかく毎日必死に目の前のことに向き合っていたと思います。

――軌道に乗るまでの時間は、どうやって乗り越えられましたか?

東京の家を解約して大学院の地下で生活していた期間も

正直、今となってはあんまり覚えていないんです。全てのあらゆることを試し、少しでも可能性のあるものにはアクションをかけ、「あ、これだ」という手応えがあるものを手繰り寄せてつないでいったらやっと軌道に乗った、という体感です。

――以前SSSの相談員の方にインタビューした際に、成功する創業者の共通点は「何度もトライできるへこたれない人」というお話がありました。

もちろん、どちらかと言ったらつらかったですよ。でも、「起業をする」というのは自分で選んで自分で始めたことですから。僕は漫画の「進撃の巨人」が好きなのですが、漫画に出てくる「お前が始めた物語だろ!」というセリフで自分を鼓舞していました。

初期コストが抑えられる長野での創業。迷っている人はぜひ挑戦を

――改めて振り返っても、創業初期の場に長野を選んだのはいい選択だったと感じますか?

はい。何が一番良かったかというと、資金調達のハードルが低かったことです。長野には、県の創業窓口であるSSSがあります。そこで事業の可能性を感じてもらうことができれば、県内の金融機関等におつなぎいただけるというのは、新規創業者にとってとても心強かったです。

SSSを介さず、僕個人で金融機関をノックして融資の相談に行ったこともありましたが、当時の僕はまだ学生でしたし、事業としての実績もなかったため、門前払いされてしまうこともありました。ですが、「県のお墨付き」として、SSSの担当の方から「こんな起業家がいるんです」と紹介していただくと、最初の話を聞いていただく入り口がまったく違うんです。ドアが開いた感覚がありました。

――県の窓口があることで、信頼感が得られたと。

それから、東京とのアクセスの良さも大きな利点です。人材サービスというのはどこにいても展開できるビジネスモデルとはいえ、お客さんは東京の方が多いですし、支援してくださっている投資家や、起業家仲間も東京に多くいます。その点、軽井沢駅から東京までは新幹線で1時間弱で行けるので、東京でランチミーティングをして、夕方には家に帰ってくることができる。

もちろん交通費は多少かかりますが、東京で家もオフィスもかりるとなったらとんでもない額の費用が必要です。それならば、普段は軽井沢に篭って、必要なときにパッと東京に行く生活の方がよかったですね。現在、東京にもオフィスを置いているのは、創業当初よりも東京での仕事の機会が増えたからです。拠点を移したというよりは、二拠点を続けつつ、東京に比重を置いているという状態ですね。

――依田さんが今後挑戦していきたいことはありますか?

「医療分野の採用課題を解決する」という事業のコアは今後も変わりません。次のアクションとしては、大手の人材企業と事業提携をしていくことを目指しています。僕はどちらかというとゼロイチの人間なんです。アイデアを元に事業を立ち上げることが得意で、一から十に事業を成長させていくフェーズは、もっとその分野が得意な方にバトンタッチしていきたい。

なんとか、事業の仕組み自体は出来上がってきたので、ここからより大きく事業を成長させてくれる仲間と組んで、さらにサービスを大きく展開していきたいです。「Contactキャリア」は眼科医に特化した採用プラットフォームですが、ゆくゆくは眼科以外の職種にも展開していけたらと思っています。

――最後に、長野県での創業を考えている方向けのメッセージをお願いします。

商材を持たず、場所を選ばないビジネス展開を考えている方であれば、長野県での創業は本当におすすめです。僕は、長野県で創業して良かったと思っています。迷っている方には、ぜひ挑戦してほしいですね。

株式会社Contact https://corp.contact.ne.jp/

Contactキャリア https://contact.ne.jp/

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2024.10.10

長野だから乗り越えられた創業初期の壁。眼科に特化した人材サービスで医療現場の課題を解決【前編】先輩起業家インタビューvol.7

2024.10.10

起業する。会社を立ち上げる。「創業」と一口にいっても、そのあり方は人それぞれ。同じ選択や道筋は一つとしてありません。魅力的な先輩起業家が数多く活躍している長野県。SHINKIの先輩起業家インタビューでは、創業者の思いやビジョン、創業の体験談や、本音を掘り下げます。

「医療系というのは、離職率が高い職種だと言われているのですが、そもそも就職の時点でミスマッチが起きているゆえに離職率が高いのではないかと考えたんです。それならば、この業界の採用や就職の仕方を変えることができたらとビジネスの方向性が見えてきました。」

そう語るのは、眼科に特化した人材サービス「Contactキャリア」を立ち上げた、株式会社Contact代表取締役の依田龍之介(よだりゅうのすけ)さん。

学生時代、眼科医に関する動画に心を動かされたことから、目の検査の専門家である視能訓練士の国家資格を取るため、帝京大学医療技術学部に進んだ依田さん。コロナ禍をきっかけに「IT×医療」の可能性に関心を持つようになります。

インタビュー前編では、医療分野に興味を持つようになったきっかけや、学生時代に感じた医療現場の課題、ビジネスの方向性が定まっていくまでのストーリーを聞きました。

<お話を聞いた人>
株式会社Contact 代表取締役 依田龍之介さん

長野県出身。大学院修士課程修了。視能訓練士。大学院在学中に研究・学会発表を行いながら、3歳児健診での弱視見逃し防止に関する事業で経産省が主催するジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト等に登壇。その後、医療系ITスタートアップに参画。2022年株式会社Contact設立。

眼科に特化した求人プラットフォーム「Contactキャリア」で採用ミスマッチを防ぐ

――まずはじめに、株式会社Contactの事業内容について教えてください。

株式会社Contactは、眼科に特化した就職/転職サービス「Contactキャリア」を開発・運営しています。「Contactキャリア」は、視能訓練士を採用したい医療機関と、就職・転職を考えている視能訓練士をつなぐサービスです。

また、眼科メディカルスタッフ(視能訓練士、 看護師、 医療事務、 眼科医等)に特化した情報を発信するオウンドメディア「Contactメディア」も運営しています。現場に即した正確な情報を提供するため、弊社専属の視能訓練士ライターによって記事が執筆されており、開設以来累計640000PVを突破しています。

――視能訓練士とは?

視能訓練士とは、眼科専門の検査技師です。医療業界は全体的に人材が不足していると言われているのですが、中でも視能訓練士は採用ニーズが高まっています。

一方で、視能訓練士の資格を持っていても、インターネット等で閲覧できる医療機関の求人情報が乏しく就職が困難になったり、採用のミスマッチが起きて短期離職につながったりという課題があります。株式会社Contactは、その課題を改善することで、視能訓練士をはじめとする眼科メディカルスタッフが勤務先に満足して働ける社会を目指しています。

――医療分野の中でも、依田さんが視能訓練士に興味を持ったのはどうしてですか?

高校生の頃から、医療系の分野に興味がありました。進路について考える中で、YouTubeである動画を観たんです。その動画は、色覚障害で色が認識できない方が、色覚矯正の眼鏡をかけて見える色鮮やかな世界に感動するというもので。少しミーハーですが、そこから「目って大事だな、眼科っていいな」と思うようになり、視能訓練士の資格が取れる大学に進学しました。

コロナ禍により見えてきた、「医療×IT×ビジネス」の可能性

――自分自身が視能訓練士として働くのではなく、視能訓練士のためのビジネス立ち上げを目指すようになったのはどうしてですか?

医療者でありながらビジネスの方向へ進み始めた一番最初のきっかけはコロナ禍でした。大学入学当初は、国家資格を取るために勉強していたのですが、コロナが始まってから実習が全て中止になってしまったんです。

「これからの医療はどうなっていくんだろう?」と立ち止まった時、「ITを使って何か医療を発展させることができないだろうか」と考え、行動し始めました。

――今後の医療がどうなるのか不安を感じたということですか?

不安というより、むしろ「眼科はオンライン診療やITと相性がいいのでは?」と可能性を感じたんです。

実習こそ中止になりましたが、眼科はコロナ禍前からIT化が進んでいたんです。眼科というのは、医療分野の中でも特に小さい「眼球」を扱います。たとえば、皮膚科の診療の場合は直接先生が患部を見る場合が多いと思うのですが、眼科の診療の場合は機械で眼の写真や動画を撮り、そのデータをもとに診察を行います。そのため、遠隔の診療になったとしても対面の診療とあまり変わらなかったんです。

――なるほど。そこから「眼科×IT×ビジネス」の可能性について考え始めたのですね。

とはいえ、ビジネスについての知識や経験はまだ無かったので、まずは医療系のIT企業でインターンシップを始めました。その中で、自分なりに「医療×IT×ビジネス」でできることを模索しました。現在の事業内容とは異なりますが、経産省が主催するジャパン・ヘルスケアビジネスコンテストで、スマホを使って子供の弱視を早期発見する事業について登壇したこともあります。

そうして動く中で、「ビジネスはあくまで課題解決の手段であるため、コアとなる課題を見つけないといけない」と感じるようになりました。そこで目をつけたのが、医療業界の人材不足でした。

医療現場の採用課題を解決したい。「今日起業しよう」と思い立った日にまずは登記を済ませた

――医療系の人材不足というのは、ご自身が医療系の大学で学ぶ中で身近に感じていた課題だったのでしょうか。

そうですね。僕自身は、大学卒業後に大学院に進学し、IT企業でのインターンを行った後に起業したので、いわゆる就活自体はしたことがありませんでした。ですが、学部時代の友人たちの就活の話を聞いていたら、就活のあり方の課題が見えてきたんです。

たとえば、一般的な大学生の場合は、大学三年生から就活をはじめ、四年生になる頃には内定が出ていますよね。でも、僕の大学の友人の中には、卒業の一ヶ月前から就活を始める人がたくさんいたんです。

――それはかなりギリギリですね。

そうなんです。視能訓練士は人材が全く足りていないので、それくらいから就職活動をしても仕事自体は見つかります。しかし、相性や条件がわからないままに入職してしまうので、就職後にミスマッチが起き、すぐに離職してしまう。

転職しようとしても、医療機関から出ている求人情報は内容が乏しく、給与や働き方など知りたい情報が得にくいとみんな悩んでいて。人材が足りていない業界で、せっかく国家資格を保持しているのに就職活動がうまくいかない。これは大きな課題だと感じました。

医療系というのは、離職率が高い職種だと言われているのですが、そもそも就職の時点でミスマッチが起きているゆえに離職率が高いのではないかと考えたんです。それならば、この業界の採用や就職の仕方を変えることができたらと「医療×IT×人材」というビジネスの方向性が見えてきました。

――起業を考え始めてから誰かに相談はされましたか?

起業を考え始めた初期の頃から、当時インターンしていた先の代表や、周りの知り合いには初期の頃から「医療×IT×人材」のビジネスがしたいという話をしていました。医療分野は課題が深く、課題が深いということはビジネスに転換しやすい。そのため、「なかなかいいところを突こうとしているね」と好意的な反応をいただけたと記憶しています。

――アイデアが固まってきてから、起業に至るまではどんなステップを踏みましたか?

「医療×IT×人材」でビジネスをすると決めたのが2022年の年始で、年始休み開けの1月5日ごろに司法書士の方に「起業の手続きがしたい」と連絡を入れ登記しました。「今日起業しよう」と思ったタイミングで、衝動的に動いてしまいましたね。当時はまだ大学院一年目でしたが、起業自体はそんなにハードルがなく、登記後に「さてここからどうしよう」と具体的に考え始めました。

インタビュー後編では、長野県で創業することのメリット、創業初期の課題や、これからの展望について聞きました。

株式会社Contact https://corp.contact.ne.jp/

Contactキャリア https://contact.ne.jp/

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2024.9.27

「ふつうの人」のままでも楽しく生きられる。自分らしい暮らし方・働き方を選ぶには? 先輩起業家インタビューvol.6

2024.9.27

起業する。会社を立ち上げる。「創業」と一口にいっても、そのあり方は人それぞれ。同じ選択や道筋は一つとしてありません。魅力的な先輩起業家が数多く活躍している長野県。SHINKIの先輩起業家インタビューでは、創業者の思いやビジョン、創業の体験談や、本音を掘り下げます。

「学生時代、どれだけいろんなプロジェクトに関わっていても、自分はあくまで『お手伝いさん』的なポジションでした。『このままじゃここにいられない、自分で何かを立ち上げないと』という漠然とした不安があって」

そう語るのは、長野県立大学在学中に大学の友人と二人で合同会社キキを立ち上げた九里美綺(くのりみき)さん。高校時代は公務員志望だったという美綺さんは、将来のためにさまざまな地域のプロジェクトに関わるうちに、自分の手でプロジェクトを担いたいという気持ちが湧いてきたと振り返ります。

地域の大人たちと出会う中で起きた変化や、創業前に抱えていた不安、これからの展望について聞きました。

<お話を聞いた人>
合同会社キキ 九里美綺さん
長野県松本市出身。長野県立大学グローバルマネジメント学部卒。同大学院ソーシャルイノベーション研究科に在学中。これからの地域や店、場が「らしく」続いていくための仕組みやその周辺の物事が関心領域。こうありたい日常を​自らの手でつくり出すための会社「合同会社キキ」共同創業者。

▷合同会社キキ立ち上げのインタビューはこちら

小さくてもいいから、自分でできることをやってみる

――現在、キキの中で美綺さんが担当しているプロジェクトについて教えてください。

キキの共同創業者である川向と私に共通しているのは、フィロソフィーにも掲げている「こうありたい日常を自らの手で作り出す」という思いです。川向は教育分野や学びを軸にアプローチを得意としている一方で、私はどちらかというと「学校の外に関係性を作る」「小さくてもいいから自分でできることをやってみる」という部分を大事にしています。

たとえば、私が担当している「みらいハ!ッケンプロジェクト」は、長野市が行う事業で、子どもたちの体験学習の機会を増やすことを目指しています。初年度の2023年は、長野市に住民票を置く全小中学生に一人一万円分の体験クーポンを、2024年度は一人三万円分のクーポンを配布し、子どもたちに体験の機会を届けています。

事業の受託事業者である公益財団法人チャンス・フォー・チルドレンさんと、私を含め5名の地域コーディネーターと活動しています。ただクーポンを配るだけではなく、クーポンを使える先を開拓したり、配るだけでは使いづらい方のサポートをするような役割です。その中で、私は地域企業や学生など、多様な人々がもっと子どもたちに体験を提供できるようなお手伝いと、気軽にクーポンを使えるようなイベントの組み立てを行いました。

――「地域コーディネーター」という仕事があるのですね。

自分で名乗っているわけではないのですが、「子どもや若者の声」を聴きながら地域の体験活動や学びの機会、話し合いの場を作るコーディネートをする役割の仕事が多いです。

先ほどお話した「みらいハ!ッケンプロジェクト」のほかにも、今年度は上伊那農業高校のGLコースの授業のサポートを伊那市に住む方と一緒に行いました。

伊那市駅の近くの「CAFE ROVERT」を借り、学生が運営するポップアップカフェ「Johnno cafe GL」の企画運営のお手伝

上伊那農業高校は、卒業後に大学や専門学校に進学する生徒もいれば、そのまま就職を選ぶ生徒もいます。そのため、「もっと学生のうちから世の中や地域のことを知ってほしい、地域と接点を作る授業を行いたい」とご相談をいただきました。生徒の皆さんの好きなこと、やってみたいことを聞いてみたところ、カフェの形であれば全て実現できるかもとアイデアが固まってきたので、学生や地域の大人たちと一緒に準備を進めてきました。

――美綺さんは、「子どもや若者と地域の接点をつくる」、「好きなことや得意なこと、学びたいことを見つける機会をつくる」という二つの軸でプロジェクトに取り組んでいるのですね。

子どもたちや若い人たちにとって、家族や学校の中だけではない関係性があれば、居やすい場所を見つけることができる可能性が増えて、少し生きやすくなるかもしれないしですし、もっと広く可能性を考えられるようになり「将来やってみたいこと」の想像の幅も少し広がるかもしれません。「何かを大きく変えていく」というよりも、関係性を自然と増やしていく中で、可能性や選択肢を広げることが好きですね。

また、地域の企業や大人の中には、「子供や若者のために何かをやりたいな」と思ってるけれど、アプローチがわからない、という人がいるように感じます。

たとえば、「みらいハッ!ケンプロジェクト」では、「申し込みが複雑だから、もっとたくさんの子どもに教えたいけれど少し面倒…」と悩んでいる方達に、参加が簡単なマルシェ形式でイベントを作り、たくさんの子ども達がさまざまな大人に教わる機会づくりをしました。

また、その中で、直接参加は難しかった地域企業の余っている資材をもらい、それを自由に工作で使えるコーナーなども設置する仕掛けをしました。そんな風に、地域の中でゆるやかな関係性を増やす取り組みをこれからも行っていきたいです。

地域の大人たちに関わる中で生まれた「自分の居場所を作りたい」という思い

――美綺さんは長野県立大学在学中に起業を経験されていますが、もともと起業したいという意欲があったのでしょうか。

いえ、大学入学当時は、地元の松本市役所で働きたいと思っていました。高校生の頃から学外のプロジェクト活動を行なっていたわけではありませんし、大学に入学してしばらくはいわゆる「ふつうの大学生活」を楽しんでいました。

でも、進路について周りの人と話す中で、「将来は市役所に入って、地域でイベントを企画する仕事がしたい」と話したら、「学生のうちに何かアピールできる活動をしておいた方がいいんじゃないか」と言われたんです。そこから、学外でのプロジェクト活動に参加してみるようになりました。

――なるほど、当時はあくまで公務員になるための実績づくりに。

はい。私の地元の松本では、「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」など、市が取り組んでいるイベントがいくつかあったんです。高校生の頃、生徒会役員として活動していたのが楽しかったので、そんな仕事ができたらいいなぁと。

――実際にプロジェクトに参加する中で、どんなことを感じましたか?

それまでは、大人といえば「仕事が大変」「会社に行くのがしんどい」みたいなイメージがありました。でも、地域でプロジェクトに取り組む大人たちはみんな楽しそうに働いていたんです。

特に、大学一年生の終わり頃に塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」で、フリーランスとして働いている人や、起業家の人たちと出会い、「こんな働き方があるんだ」と驚いたのを覚えています。

そうしていろんな大人たちと出会う中で、「自分も仲間に入りたい」と感じるようになりました。そのためには、自分も何かを立ち上げて「私はこんなことをしています」と話せるようになったほうが良さそうだなと。当時、どれだけいろんなプロジェクトに関わっていても、自分はまだ学生だったので、あくまで「お手伝いさん」的なポジションでした。「このままでは、いずれ自分の居場所がなくなってしまう」と漠然とした不安があったんです。

――そこからキキの立ち上げにつながっていくのですね。

キキを立ち上げたのは、コロナの影響が大きいです。学外のいろいろなプロジェクトに関わり始めた頃にコロナが流行り出して、大学の授業もリモートになり、誰にも会えない出られない日が続きました。

気分が塞ぎ込んでしまって、「もう大学をやめようかな」と周りにこぼしていたら、県立図書館のプロジェクトで関わりがあった、前館長の平賀さんに声をかけていただいて、しばらく伊那に滞在したんです。

そこで、平賀さんご夫妻と焚き火だったり、夕飯を囲みながら「誰かと暮らすって大事だよね」「シェアハウス的な取り組みをしてみたい」と話しをしました。話した時点では「できたらいいな」くらいの気持ちだったのですが、平賀さんがその話をfacebookに投稿し、投稿を見た川向が連絡をくれたんです。そこから一気にキキが動き出しました。

人との出会いを通して「自分の選択肢」を見つけてほしい

――何気ない雑談が、起業のきっかけに。まさに、最初にお話があった、「学校の外に関係性を作る」「小さくてもいいから自分でできることをやってみる」ことから、キキの事業が生まれていったのですね。

多分、私は人より「ここにいていいんだろうか」と考えてしまうんだと思うんです。だから、「自分のプロジェクトを立ち上げたい」というのも、ポジティブな意味というよりは「自分の立ち位置を確立しなければ」という漠然とした不安が原動力でした。

――キキを立ち上げて三年が経ちますが、「自分の立ち位置を確立しなければ」という不安は解消されましたか?

当時とはまた違う形ですが、最近結婚をして、9月末から産休に入るので、「休んだあとに戻れる場所はあるのだろうか」と不安になることはあります。

でも一方で、経営者というのは、自分が頑張ればその分しっかり休める立場でもあるのではないかと。子どもが生まれてからも、子どもを預けてフルタイムで朝から晩まで働くというよりは、やり方次第では子どもと過ごす時間も作りやすいでしょうし、もうすこし緩やかに暮らせるだろうなという気もしているんです。

――産休後は、どんな働き方を考えていますか?

キキと信州スタートアップステーションが合同で企画した「はじめての確定申告」のイベントの様子

産休後は、子供を保育園に預けて少しずつ仕事に復帰していく予定です。これからも、これまでキキや個人で取り組んできたような仕事を続けたい。でも、今はまだクライアントありきの委託の事業も多いので、自分の軸足となる事業がやりたくて。

そこで、今後は伊那市にホテルを立ち上げることを計画しています。23歳で出産するという、人より少し早い選択肢を取ったのは、これから本格的にホテル事業をしたいからなんです。いざ事業が動き出したら、長期の産休を取ることは難しくなるかもしれません。今ならまだなんとかなるかもしれないと判断しました。

――なるほど。事業が走り出して数年目の今だからこそ、選べる選択肢だと。

出産をすることに対して、「これからもっとキャリアを積んでいくと思っていた」と言われることもあります。でも、私は、「出産や子育てをする=キャリアから降りる」ではないと思っていて。

積み木のように少しずつ積んできたキャリアが、出産によって崩れるのではなくて、まだ積み上げている途中だからこそ、少しお休みできるタイミングなんじゃないかと。それに、子どもができてから、「自分って、思っていたより欲張りさんなんだな」と思ったんです。

――「欲張り」というのは?

全部楽しくやりたいんです。起業してから約三年で、定期的な安定したお仕事が増えてきて、働き方や、働く場所を自分で選べるようになってきました。何かを諦めて子供を選ぶんじゃなくて、これまでのキャリアも暮らしも何も諦めずに、子供を選ぶことだってできるんじゃないかと。積むのを少しだけお休みしても、また積んでいけばいいよね、と思っています。

――これからの美綺さんのあり方が楽しみです。最後に、これから起業を考えている方へ向けたメッセージをお願いします。

無理にジャンプアップしようとしなくても、「ふつうの人」のままでも楽しく生きられるよ、と伝えたいです。私はかつて、「キラキラしていないと、特殊なキャリアは描けない」となんとなく思っていました。でも、そうじゃなくても、焦らなくても、ちゃんと社会に求められる人になることはできる。みんながみんな、「ザ・起業家」像みたいにならなくてもいいんです。

私自身、気軽に話せる立場のいろんな大人や学生が周りにたくさんいたおかげで、フリーランスや起業家的な生き方が自分の選択肢の一つになりました。「自分はふつうの人だから」と思っている人でも、ちゃんといろんな人と出会って話せば、「こうじゃなきゃいけない」という「べき論」から離れられるかもしれないなと思います。自分が選べる選択肢は、きっともっとたくさんある。これからも、キキの事業を通してみんなの「まだ見えていない選択肢」を一緒に見つけていける手助けをしていきたいなと思っています。

合同会社キキのホームページ https://kikiforest.jp/about

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2024.9.13

「誰かに相談することも一つのアクション」挑戦する人を鼓舞する、創業支援のあり方【後編】SSSW相談員インタビューvol.1

2024.9.13

それぞれの女性の、それぞれの起業へ。信州で起業を目指す女性をサポートする信州スタートアップステーションウーマン(SSSW)では、個別相談窓口を設け、事業アイディアのブラッシュアップなど起業に関する相談をはじめ仕事と家庭・子育てとのバランスやコミュニケーションの取り方など幅広く相談に対応しています。

中信エリアのメンターとして活動しているのが、塩尻市を拠点に「Kobu. Productions」の屋号で活動している岩井美咲(いわい・みさき)さんです。新卒の頃から、起業家のコミュニティづくりや事業伴走を行ってきた美咲さん。社会にインパクトを生み出す事業家や活動家のインタビューやライティング、ブランドの立ち上げ支援も行っています。

2018年に、塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」の立ち上げに参画したことから、2020年に移住・独立した美咲さんに、ご自身のこれまでのキャリアや、メンタリングの際に大切にしていること、未来の起業家への思いを聞きました。

<お話を聞いた人>
Kobu. productions 岩井美咲さん
東京⽣まれ。Impact HUB Tokyoに新卒で⼊社後、起業家のコミュニティづくりや事業伴⾛を行いながらプログラムやイベントを運営。2018年より⻑野県塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」の⽴ち上げに参画した後、2020年に塩尻市に移住&独立。屋号の由来である「⿎舞する」をテーマに、向き合う⼈のビジョンや課題を掘り下げ、必要な伴⾛を提供しつつ企画を⼀緒に実現していく。事業内容は PV 制作やブランド⽴ち上げから経営伴⾛まで多岐にわたる。

塩尻で形成されていくコミュニティに可能性を感じて

――インタビュー前編では、美咲さんが塩尻に来るまでのお話を聞きました。東京から長野県の塩尻市の起業家コミュニティ立ち上げに関わるにあたって、どんな思いがありましたか?

「Impact HUB Tokyo」のようなコミュニティがまだない地域に拠点が一つできることで、どんな変化が生まれるのか、単純に興味がありました。

まずはコンセプト立ち上げのためのフィールドワークを行い、塩尻市内外のキーパーソン30名程度にインタビューを行うことから始めて。そこから事業の構想、具体的な場づくりやコミュニティづくりのための伴走を行わせてもらいました。

でも、当初はコンサルタントとクライアントという立場だったので、「コンサルタントとして強くあらねば」というプレッシャーも大きかったです。今では笑い話なんですが、塩尻の人たちには「当時は肩で風を切って歩いていたよね」と言われるくらいで。

――「立ち上げのためのコンサルタント」から、長野県に残って独立を選んだのはどうしてですか?

ここならいろんなことができそうだと感じたことが大きいです。塩尻では、東京とは違うコミュニティのあり方を感じたんです。東京で新しくコミュニティを作ろうとすると、差別化をするためにどうしても似たジャンルで細分化されていくイメージがあって。でも塩尻では、世代も業種もバラバラなコミュニティが形成されていきました。それがとても面白かった。

それから、自分自身、5年以上東京で働いていたので、人生の節目として新天地でチャレンジしてみたいという気持ちもありました。ここでしか生まれ得ない、新しい展開を目撃していきたいなと。そこで、伴走支援の途中から「スナバ専属でやらせてもらいたい」という話をして、塩尻に拠点を置くようになりました。「Impact HUB Tokyo」の塩尻市への伴走期間が終わるタイミングで完全に独立し、「スナバ」の運営を続けつつ塩尻で個人の事業も始めた形になります。

自分の得意なメンタリングは「健康診断」。まず話を聞いて、適切な支援につなげていく

――ご自身のキャリアについてお聞きしたところで、美咲さんの創業支援のあり方についてもお聞きしたいです。創業の相談を受けるとき、相談者の抱えている悩みや不安に対して美咲さんはどんなサポートの仕方を心がけていますか? 

事業内容の壁打ちに入る前に、まずはその人の状態を理解するようにしています。事業をやっていく上での具体的な相談や、事業の実現可能性を話し合うことはもちろん大事なんですが、目の前の人が、元気なのか、元気じゃないのか。何かに悩んで苦しそうなのか、むしろ「どんどんやってきたい!」というフェーズなのか。その部分の見極めは気にするようにしていますね。

私の場合、何かに特化したスペシャリストというよりは、幅広く対応するジェネラリストみたいな部分があるんです。前職の頃は、「自分が全部やらなくちゃ」という考えもあったんですが、塩尻に来てからは「スナバ」のコミュニティや、長野県内のあらゆるスペシャリストとのつながりができました。

だから、まずは私が話を聞いて、そこからもっと力になれそうな人がいればお繋ぎする。例えるなら、私が得意なのは「健康診断」なんです。まずは今その人がどんな状態かを探り、課題に応じて適任な人や機関を紹介する、みたいな。

――なるほど。まずは話を聞いて、状況を正しく理解し、適切な支援に繋げていく。

それから、日々相談を受けていて思うのは、周りに起業している人たちのコミュニティがあるのとないのとでは全然違うんだなということですね。

個人事業主や、創業者というのはもちろん自分一人で事業を回していくものですが、それでも困った時に肩を叩いて相談できる相手が身近にいるかはすごく重要だなと思います。具体的なアドバイスをもらえなくても、「いいと思うよ」「やってみようよ」と言われるだけでも、前に進める部分があると思うんです。

――たしかに、全く同じアイデアでも、「いいと思うよ」と「そんなの無理だよ」と言われるのとでは、その後どうなるかが大きく左右されそうですね。

全然違うと思います。「スナバ」では、そうやって否定する人はいなくて、「まずやってみよう」みたいな価値観がありますね。「何かしたいけど、でも……」と悩んでいる人に対しても、「誰も止めてないよ!やっちゃいなよ!」と冗談で声をかけるくらいで。

やるかやらないかは、自分次第。それをドライだと感じる人もいるかもしれないけれど、起業するということは、結局最後に決めるのは全部自分なんです。だからこそ面白いし、自分で決めて、自分でやるから社会が変わる。

一人ひとりが自分らしく生きていく未来のために

――メンターは、「やるかやらないか」を決めてくれる人ではなくて、あくまでその人の「やってみたい」という勇気を後押ししてくれる存在なんですね。美咲さんご自身の、伴走支援をするモチベーションはどこから来ているんでしょうか。

私の仕事は、みんなをロケットの発射台まで連れていくことだと思っています。一番大変なのは、まず発射台まで行くこと。自分でちゃんと覚悟を決めて発射したら、その先はきっとすごく楽しいはず。

語弊を恐れずにいうなら、正直、発射した後はあんまり興味がないんです。自分が相談にのった相手が、大成功して大富豪になるとか、大企業に成長してほしい、みたいな思いはありません。ただ、自分で思い描くように生きてもらいたい。そのために、「行けるよ!行こうよ!」と連れていくのが私の役割かな。

――自分らしく生きる人が増えていってほしいと。

私の根っこには、「多様性がある社会で生きたい」という思いがあるんだと思います。多様性って何だろうと考えた時に、いろんなジェンダーがあるよねとか、男女比がどうとかいう話もありますが、個人的には「一人ひとりが自分らしく生きた結果」から生まれるものが本当の多様性だと思うんです。

そして、私のしている伴走支援や「誰かを鼓舞する」という行為は、そのために絶対に必要なことだという覚悟と自負がある。みんなそれぞれやりたいことはあるはずで、きっと実現できる。だけど、それにはちょっとでも背中を押してくれる人や、応援する声や言葉、道具が必要。そこを少しでも「ポンッ」と後押ししてあげることで、あとは自分から進んでいける。その先にある未来が見たくて、私はこの仕事をしているんだと思います。

――最後に、これから起業を考えている人や、SSSWに相談をしてみようかな、という人にメッセージをお願いします。

「人に話す」ということは、起業に向けた最小単位のアクションであるということです。一番ローコストで、でも確実なアクションでもある。

起業をするとなると、リスクやコストを考えてしまうと思いますが、実はローリスク・ローコストでできることはたくさんあります。自分の事業について話すというと、最初は「怖いな」とか「大変そうだな」と思うかもしれませんが、「言葉にする」というアクション自体に大きな価値がある。

そうやって勇気を出して、小さなアクションを少しずつやっていくことで「出来た!」という達成感に繋げていけば、そこからいろんなことが開けていくはず。資金をかけなくても、「人に話す」という小さなアクションができることを知ってほしい。そして、そのアクションを実行できた自分を褒めてあげてほしいです。

岩井美咲さんのfacebook/instagram
スナバのHP https://www.sunaba.org/

<SSSWの個別相談受付>

メールでのご連絡 shinshuss@tohmatsu.co.jp
お電話でのご連絡 070-4548-2758

ARTICLE
2024.9.13

「誰かに相談することも一つのアクション」挑戦する人を鼓舞する、創業支援のあり方【前編】SSSW相談員インタビューvol.1

2024.9.13

それぞれの女性の、それぞれの起業へ。信州で起業を目指す女性をサポートする信州スタートアップステーションウーマン(SSSW)では、個別相談窓口を設け、事業アイデアのブラッシュアップなど起業に関する相談をはじめ仕事と家庭・子育てとのバランスやコミュニケーションの取り方など幅広く相談に対応しています。

中信エリアのメンターとして活動しているのが、塩尻市を拠点に「Kobu. Productions」の屋号で活動している岩井美咲(いわい・みさき)さんです。新卒の頃から、起業家のコミュニティづくりや事業伴走を行ってきた美咲さん。社会にインパクトを生み出す事業家や活動家のインタビューやライティング、ブランドの立ち上げ支援も行っています。

2018年に、塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」の立ち上げに参画したことから、2020年に移住・独立した美咲さん。ご自身のこれまでのキャリアや、メンタリングの際に大切にしていること、未来の起業家への思いを聞きました。

<お話を聞いた人>
Kobu. productions 岩井美咲さん
東京⽣まれ。Impact HUB Tokyoに新卒で⼊社後、起業家のコミュニティづくりや事業伴⾛を行いながらプログラムやイベントを運営。2018年より長野県塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」の⽴ち上げに参画した後、2020年に塩尻市に移住&独立。屋号の由来である「⿎舞する」をテーマに、向き合う⼈のビジョンや課題を掘り下げ、必要な伴⾛を提供しつつ企画を⼀緒に実現していく。事業内容は PV 制作やブランド⽴ち上げから経営伴⾛まで多岐にわたる。

人との出会いが変化につながる。シビック・イノベーションを生み出す拠点「スナバ」

――美咲さんの普段のお仕事内容や、働き方について教えてください。

週の半分くらいの時間は「スナバ」のコミュニティ運営業務に当てており、残りの半分の時間はこれから立ち上げるプロジェクトのブランディングやコンセプトづくり、個別相談による支援や経営伴走を行っています。ライター・編集者としても活動していて、インタビュー取材や、人の思いを聞いて、次にやりたいことの後押しをするようなコンセプトを一緒に考える言語化のサポートもしています。

自分が仕事をする上で、「誰かを励ます」ということはすごく大きい要素です。屋号に入っている「Kobu」は、鼓舞という言葉から取りました。何かをするときに「鼓舞する、鼓舞される」関係性があると、腹の底から力が湧いてくるような感じがあって。私は、そういう仕事をしていきたいと思っています。

――美咲さんが運営に携わる「スナバ」はどんな場所ですか?

「スナバ」は、2018年8月に「シビック・イノベーション拠点」として塩尻市でオープンしました。「生きたいまちを共に創る」というビジョンを掲げ、地域のいろんな人たちが交わることによって、他では生まれなかったものが生まれる拠点になることを目指しています。

現在の登録者数は150人近くおり、集まる人たちは、起業家、フリーランス、地域おこし協力隊、会社経営者、会社員、アーティスト、行政職員、小中高生など、さまざまな職種、年代の人たちです。

――「シビック・イノベーション」とは?

造語ではあるのですが、草の根的な小さなアクションから生み出される変化のことです。「シビック」には「市民の、市民による」という意味があります。「イノベーション」と聞くと最先端の技術で人類を地球に送るとか、なにか大きなことに感じるかもしれませんが、たとえば日々生活の中に「もっとこうしたらいいのに」「誰かなんとかしてくれないかな」といった小さな課題があると思うんです。

それらの解決を、行政や大きな企業に委ねるのではなく、「自分達で解決するためのアクションができるんだ」と一人ひとりが思うようになれば、まちはよりよく変わっていくはず。「スナバ」では、そのための活動支援や取り組みを行っています。

――「スナバ」で美咲さんが担当している業務や、創業支援の取り組みがあれば教えてください。

メインの業務は、コミュニティの運営です。メンバーの人たちが快適に仕事できるように場所を整理したり、コーヒーを淹れたりといった場の維持管理から、雑談も含めてメンバーの壁打ち相手になったり、一緒にイベントを企画したり、メンバー同士をつなげたりと、ここで生まれた出会いや対話がなにかにつながるようなサポートをしています。

また、「SBB(スナバ・ビジネスモデル・ブートキャンプ)」という短期プログラムのセッションも担当しています。これまでに9回ほど開催していますが、今期の私の担当は創業計画書の作成でした。新しく事業を立ち上げる人が、なぜその事業をやるのか、誰のために、どんな課題をどう解決したいのか、という部分を整理して線で繋ぎ、ちゃんと事業にいかせるようにするにはどうしたらいいかを、数値計画と一緒に考えるセッションを行いました。


SBBのピッチイベントでの様子。起業家同士の学びあいもSBBの醍醐味の一つ

ほかにも、高校生・高専生向けに「エヌイチ道場」という起業家教育プログラムも担当しています。「なにかやりたい」「探究の授業だけでは足りない」という思いを持った高校生たちのアイデアを形にするため、約4ヶ月間伴走支援を行っています。

人見知りでも、人と人の出会いをつなぐことが好きだった学生時代

――美咲さんは、新卒の頃から現在まで、コミュニティづくりや場づくり、創業の伴走支援に携わっていますが、昔からそういった仕事に興味があったのでしょうか。

今思えば、大学生の頃からおぼろげながらも場づくりやコミュニティ運営的な活動を始めていました。

大学入学直後に、大学の近くのおしゃれなカフェを見つけて、アルバイトの申し込みをしに行ったんです。そうしたらそこは学生団体が運営しているカフェで、「スタッフは全員ボランティアだけどいい?」と聞かれて。「バイトじゃないの?学生が運営って?」と思いつつも、断れずにそのままスタッフになりました。

そこから、カフェスタッフとして働きつつ、メニュー開発をしたり、カフェの運営についてみんなで考えたりと、がっつり経営側として動くようになりました。

――計らずして場の運営に携わることに。

ザ・大学デビューのつもりだったのに(笑)。でも、いざやってみたらすごく楽しかったんです。経営や、場の運営に興味を持つようになったのはあの時の経験が大きいですね。

それから、大学3年生の時にスウェーデンに留学したことも大きかったです。そこでは、12の部屋と共同スペースがセットになったシェアハウスみたいな寮に、ドイツ、ナイジェリア、コロンビアなど、11国籍の生徒がそれぞれ集まって暮らしていました。そこで、毎月それぞれの国の料理をみんなで作って食べるディナーを企画したんです。

――それはもともとあったイベントではなく、美咲さんの発案で?

はい。私自身は人見知りなんですが、いろんな人たちが出会う場をオーガナイズすることが好きで。誰に頼まれたわけでもなく、「なにかやりたい!」と思って自分から動いていました。

――そこから卒業後も「場づくり」的な仕事を探すように?

留学生活を終えて帰国したら、周りの同級生はみんな就活を終えていました。自分もなんとなく就活を始めたんですが逆カルチャーショックになってしまって。日本語がうまく話せなくて面接が受けられず、英語だけで選考ができる企業の選考になんとか通って……、という状況でした。

さらに、当時のバイト先をクビになってしまって。「次にアルバイトをするとしたら、自分のやりたいことに繋がるバイトをしたい」と考えた時に、飲食関係は自分のやりたいこととは違うかもしれないなと。

大人になっても人は変われる。起業家たちとの出会い

――それはどうしてですか?

飲食店というのも一つの「場」ではありますが、お客さんはそこでの出会いに期待して行くというよりは、メニューに惹かれて行くとか、決まった人と寛いだら帰っていくものだと思うんです。でも、留学中に知らない人同士が出会う場をオーガナイズする経験をしたことで、「知らない人同士がつながって、何かが生まれる場所」を作りたいなと感じるようになって。

「そんな場所はないかな?」と調べていく中で、どうやらコワーキングというものがあるらしいと知り、ちょっとビビっと来たんです。ネットで「コワーキング 東京」と調べたら、起業家による起業家コミュニティを運営する「Impact HUB Tokyo」が出てきて、ちょうどスタッフ募集をしていたので連絡してみた、というのがこの世界に足を踏み入れた最初のきっかけです。

「Impact HUB Tokyo」では本当にいろんな経験をさせてもらいました。私は新卒で入社したので、起業経験が全くない中でのスタートでしたが、いろんな人が集まってくる空間にいられることがとても楽しくて。

――「人と人が出会って何かが生まれること」にずっと興味があったのですね。「Impact HUB Tokyo」で、起業家の人たちに出会ってから、美咲さん自身にはどんな発見がありましたか?

「大人になっても人って変われるんだ」という驚きがありました。昨日まで背広を着ていた人が、起業を経て急にサンダルや短パン姿になって、どんどん顔つきが変わっていく。コミュニティマネージャーとして相談に乗っていた人たちが、前に進んでいく様子を見ているのはすごく充実感がありました。

――人が変わっていく瞬間に間近で立ち会えるのはとても面白そうですね。

そうですね。そして何より、コミュニティの可能性も感じました。

高校や大学までは、同じクラスだったり同じ授業を取っていた友人がいたとしても、卒業して就職するとてんでバラバラになってしまいますよね。生きる中でそれぞれ変化があって、別れがあることはしょうがないけれど、それはちょっと寂しい。

でも、自分が場所を一つ持っていたら、みんないつかそこに帰ってきて、自分の変化を共有できたり、そこからまた新しい出会いが生まれたりするかもしれない。そうしたらもっと面白いだろうな、と、漠然と考えるようになって。そういう気持ちからコワーキングや起業家のコミュニティスペースへのドアが自分の中で開いていったんだと思います。

入社当初は20人程度だった「Impact HUB Tokyo」のコミュニティは250人を超え、どんどん成長していきました。その頃に、塩尻市で「スナバ」を立ち上げる話が出てきたんです。

・・・

インタビュー後編では、「スナバ」立ち上げのための伴走支援、長野での独立を選んだ経緯や、メンタリングで大切にしていることを聞きました。

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2024.9.9

「信州ベンチャーコンテスト2024」~あなたが創る!信州の未来!~ビジネスプラン・アイデアの募集中です。

募集期間:2024/09/09〜2025/03/31
2024.9.9
イベント/セミナー/研修を探している 資金調達(投資/融資)を検討している 資金調達(補助金/助成金)を検討している

飯山エリア

長野エリア

大町エリア

松本エリア

木曽エリア

飯田エリア

伊那エリア

諏訪エリア

上田エリア

佐久エリア

今年度で11回目を迎える「信州ベンチャーコンテスト2024」では、信州を元気にする新たなビジネスプランやビジネスアイデアを募集しています。「こんなアイデアを実現させたい」「こんな事業をしてみたい」とお考えの皆様、ぜひご応募ください。
本コンテストは、創業意欲を高めるとともに、「信州を元気にする」新規のビジネスプランやビジネスアイデアを持つ皆さんに発表の場を提供し、プランやアイデアの実現を促進することを目的としています。
起業部門、アイデア部門、高校生部門を設けて、「信州を元気にする」新規のビジネスプランやビジネスアイデアを発表していただき、優れたプランやアイデアを表彰します。また、参加者や支援者(サポーター)とのマッチングや交流などを行います。

信州ベンチャーコンテスト2024についてはこちらから

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2024.9.9

信州・創業入門ゼミin東信

2024.9.9
イベント/セミナー/研修を探している 資金調達(投資/融資)を検討している 資金調達(補助金/助成金)を検討している

上田エリア

佐久エリア

新規事業を成功に導くために必要な心構えや基礎知識を学び、様々困難を乗り越えるための2日間の入門講座。専門家講師のもと、ディスカッションを重視したゼミナール形式の講義運営が特徴です。自分なりの事業計画書を書いた先はお近くの商工会・商工会会議所の経営指導員が伴走して、計画の実行や各種支援施策の活用をサポート致します。

詳細についてはこちらから

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2024.9.6

佐久市空き店舗対策事業補助金

2024.9.6
資金調達(投資/融資)を検討している 場所や施設を探している

佐久エリア

佐久市では、市が管理する空き店舗情報に登録されている物件を賃借して、新たに事業を営む方を支援します。
改修費用と賃借費用の一部を市が負担します。
詳しくは佐久市のホームページをご覧ください。

佐久市空き店舗対策事業補助金について

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2024.9.6

佐久市創業支援資金

募集期間:2024/09/05〜2025/03/31
開催期間:2024/09/05〜2025/03/31
2024.9.6
資金調達(投資/融資)を検討している

佐久エリア

佐久市では創業された事業者様向けの融資を低金利で行っています。
創業前の事業者様で空き店舗を利用する場合は、利子を一部負担する制度もございます。
詳しくは佐久市のホームページをご覧ください。

中小企業融資制度資金について

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2024.9.6

長野市の経営者と共に新規事業を立ち上げながら起業を目指すプログラム 「NAGA KNOCK!(ナガノック)」が参加者の募集開始!

募集期間:2024/09/05〜2024/10/05
開催期間:2024/10/05〜2025/03/31
2024.9.6
イベント/セミナー/研修を探している とりあえず事業の相談がしたい 他の企業との協業を検討している

飯山エリア

長野エリア

大町エリア

松本エリア

木曽エリア

飯田エリア

伊那エリア

諏訪エリア

上田エリア

佐久エリア

●NAGA KNOCK!(ナガノック)とは?
長野県外在住の方が、長野市で社会課題解決に向けた取り組みを行いたい経営者と共に新規事業を起こす、約半年間の実践型プログラムです。
プログラムへの参加後もプロジェクトの継続を目指し、 副業の継続や起業・法人登記、受入企業と共に新会社設立や企業への転職などで、継続的に地域に関わることが可能です。

これまで参加された方は、
・協働した社長と共に新会社の立ち上げ
・プロジェクトメンバーと共に起業(法人登記)
・長野市内への移住、継続して企業のプロジェクトへの参画
など、NAGA KNOCK!をきっかけに新しい道を切り開いております!

\\こんなあなたに来てほしい!//
・長野が好き!なんらかの形で関わりたいと思っている!
・新規事業や異業種へのチャレンジをしてみたいと思っている!
・将来的に長野市での起業や転職を考えている!

どれか一つでも「ピン!」ときたら、ご参加をオススメします!
詳細はNAGA KNOCK!の公式HPをご確認ください♪
▷NAGA KNOCK!公式HP:https://nagaknock.etic.or.jp/

■募集中の副業プロジェクト!(一部抜粋)
・子育て支援施設「木育ひろば」を活かして、
全国の工務店、不動産業者が真似したくなる営業/販促の仕組みを作る!
(株式会社熊木住建 )
▶詳細:https://yosomon.etic.or.jp/projects/290

・長野県産のお米で米粉パンとスイーツのローカルサプライチェーンを構築し、地産地消と食料自給率向上を目指す新規事業プロジェクトのマネジメント業務
(株式会社丸冨士)
▶詳細:https://yosomon.etic.or.jp/projects/304

・長野駅前の外国人観光客のニーズを掴め! 
地域広告会社のリソースを活用した 全く新しい0→1事業に取り組む起業家を募集!!
(株式会社ながのアド・ビューロ)
▶詳細:https://yosomon.etic.or.jp/projects/296

・「和」を 着る・学ぶ・集う 全てを支えるライフスタイルカンパニーが挑む
きもののリユース・リサイクル新規事業 プロジェクトリーダーを募集!
(株式会社たちばな)
▶詳細:https://yosomon.etic.or.jp/projects/295

その他、複数のプロジェクトが募集中です!
プロジェクト一覧:https://nagaknock.etic.or.jp/project#project

<プログラム概要>
・プログラム期間:2024年10月5日(土)〜2025年3月31日(月)
・場所:長野市、オンライン
・プログラム参加費:33,000円(税込)
・エントリー締切:2024年10月1日(火)
※締切日に関わらず、マッチングが完了したプロジェクトはエントリーを締め切らせていただきますのでご了承ください。

NAGA KNOCK!について

ARTICLE
2024.9.4

SSSコラム⑦人材獲得について

2024.9.4

担当:SSSコーディネーター久保

こんにちは、SSSコーディネーターの久保です。今回はスタートアップ企業が抱える「人」の悩みについて、お話したいと思います。(※本コラムの内容は執筆者個人の見解であり、長野県やSSSの公式見解ではありません。)

人手不足が叫ばれる時代であり、どの企業にとっても人材獲得や採用は経営上の大きな課題となっています。特に、社員数が比較的少ないスタートアップにとっては、一人の採用によって大きく会社の雰囲気が変わる可能性があり、場合によっては大きな成長を遂げることもあれば、経営リスクに直面することもあり得ます。

後者の可能性をゼロにはできないですが、大事なポイントを抑えておくことで、そのリスクを低くすることができます。重要なポイントとして、今回は入口となる人材採用について書いていきます。

現在、様々なツールやエージェントを利用することができる環境であり、それぞれの利用については様々なウェブサイトでサービス内容、金額、特徴などが紹介されています。ぜひ、それぞれの細かな点はご自身でも調べてみてもらえればと思います。ただ、どんなサービスやツールを利用する場合であっても、採用に際して重要なポイントは、①その人が自社の他メンバーと働いて活躍できる姿が想像できるか、②その人は自社のパーパスに共感しているか、だと考えています。

  • 他メンバーとの相性

まず、社員数の少ないスタートアップ企業にとっては、いくら優秀な人材であっても、代表者または他のメンバーとの相性が悪い場合、その人材の獲得によって会社全体の雰囲気が悪くなってしまう恐れがあります。一方、全社員と相性が合うことも非常に稀であるので、その組織の中の最小単位チームを候補人材と他メンバーとで構成して活躍する姿が想像できれば、候補になりえるでしょう。

世の中、様々な性格や働き方(仕事のスピード、進め方、メールの書き方、チャットの使い方、等々)があるなかで全社員と相性があう一人の人材と巡り合うことは、なかなか難しいのではないでしょうか?最小のチーム(2~3名)を他メンバーと構成して活躍するイメージが湧くようであれば、採用を考えてみて良い人材だと思います。その際は、同メンバーとも人材について共有しておき、場合によっては面談に同席してもらうなど、代表や役員だけでなく他メンバーの意見を聞くことがミスマッチを防ぐ際に有効です。

  • パーパスへの共感

パーパス経営という言葉が広まっている通り、スタートアップも含め多くの企業が、「自社が存在する社会的な意義を定義し、その意義を実現するために経営する」スタイルを採用し始めています。特にスタートアップ企業にとっては、なぜそのビジネスをやるのか?を問い続ける機会が多く、パーパス経営に自然に取り組んでいるのではないでしょうか。

そのパーパスに対して、候補人材はどれほど共感しているのか、当社でどのように実現させていくのか、という点は面談時にぜひ確認いただきたいポイントです。スタートアップでは一人一人のメンバーが決定を迫られる場面が多くありますが、パーパスへの共感が十分であれば、判断基準や方針が社員間でぶれることが少なくなります。

逆に、学歴や職歴、面談時の話し方などから優秀だな、と思った方であっても採用時にパーパスへの共感が不十分であれば、優先順位は低い候補で良いかと思います。長く在席してもパーパスへの共感は必ずしも高まるわけではなく、面談時でズレを感じる人材とは、採用後もズレをずっと感じてしまうかもしれません。

上記の①および②を重視する採用は、採用業界では「カルチャーフィット」という用語で知られています(反対の意味を指す言葉は「スキルフィット」)。自社のカルチャーを構成するメンバーや経営のパーパスと候補人材とがどれほどフィットするかを考えることが、スタートアップにとっては重要です。

今回は、スタートアップが人材獲得に取り組む際に押さえておくべきポイントを絞ってお話しました。もちろん、各企業の事業内容やメンバーの個性によって、人材獲得で利用するサービスやスタイルも様々な方法があり得るかと思います。それでも、比較的社員数が少ない状態で大きな成長を目指すスタートアップにとって重要なポイントは変わらないと考えています。今後新たなメンバーを獲得する際には、ぜひ参考にしていただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。