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2024.9.13

「誰かに相談することも一つのアクション」挑戦する人を鼓舞する、創業支援のあり方【後編】SSSW相談員インタビューvol.1

2024.9.13

それぞれの女性の、それぞれの起業へ。信州で起業を目指す女性をサポートする信州スタートアップステーションウーマン(SSSW)では、個別相談窓口を設け、事業アイディアのブラッシュアップなど起業に関する相談をはじめ仕事と家庭・子育てとのバランスやコミュニケーションの取り方など幅広く相談に対応しています。

中信エリアのメンターとして活動しているのが、塩尻市を拠点に「Kobu. Productions」の屋号で活動している岩井美咲(いわい・みさき)さんです。新卒の頃から、起業家のコミュニティづくりや事業伴走を行ってきた美咲さん。社会にインパクトを生み出す事業家や活動家のインタビューやライティング、ブランドの立ち上げ支援も行っています。

2018年に、塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」の立ち上げに参画したことから、2020年に移住・独立した美咲さんに、ご自身のこれまでのキャリアや、メンタリングの際に大切にしていること、未来の起業家への思いを聞きました。

<お話を聞いた人>
Kobu. productions 岩井美咲さん
東京⽣まれ。Impact HUB Tokyoに新卒で⼊社後、起業家のコミュニティづくりや事業伴⾛を行いながらプログラムやイベントを運営。2018年より⻑野県塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」の⽴ち上げに参画した後、2020年に塩尻市に移住&独立。屋号の由来である「⿎舞する」をテーマに、向き合う⼈のビジョンや課題を掘り下げ、必要な伴⾛を提供しつつ企画を⼀緒に実現していく。事業内容は PV 制作やブランド⽴ち上げから経営伴⾛まで多岐にわたる。

塩尻で形成されていくコミュニティに可能性を感じて

――インタビュー前編では、美咲さんが塩尻に来るまでのお話を聞きました。東京から長野県の塩尻市の起業家コミュニティ立ち上げに関わるにあたって、どんな思いがありましたか?

「Impact HUB Tokyo」のようなコミュニティがまだない地域に拠点が一つできることで、どんな変化が生まれるのか、単純に興味がありました。

まずはコンセプト立ち上げのためのフィールドワークを行い、塩尻市内外のキーパーソン30名程度にインタビューを行うことから始めて。そこから事業の構想、具体的な場づくりやコミュニティづくりのための伴走を行わせてもらいました。

でも、当初はコンサルタントとクライアントという立場だったので、「コンサルタントとして強くあらねば」というプレッシャーも大きかったです。今では笑い話なんですが、塩尻の人たちには「当時は肩で風を切って歩いていたよね」と言われるくらいで。

――「立ち上げのためのコンサルタント」から、長野県に残って独立を選んだのはどうしてですか?

ここならいろんなことができそうだと感じたことが大きいです。塩尻では、東京とは違うコミュニティのあり方を感じたんです。東京で新しくコミュニティを作ろうとすると、差別化をするためにどうしても似たジャンルで細分化されていくイメージがあって。でも塩尻では、世代も業種もバラバラなコミュニティが形成されていきました。それがとても面白かった。

それから、自分自身、5年以上東京で働いていたので、人生の節目として新天地でチャレンジしてみたいという気持ちもありました。ここでしか生まれ得ない、新しい展開を目撃していきたいなと。そこで、伴走支援の途中から「スナバ専属でやらせてもらいたい」という話をして、塩尻に拠点を置くようになりました。「Impact HUB Tokyo」の塩尻市への伴走期間が終わるタイミングで完全に独立し、「スナバ」の運営を続けつつ塩尻で個人の事業も始めた形になります。

自分の得意なメンタリングは「健康診断」。まず話を聞いて、適切な支援につなげていく

――ご自身のキャリアについてお聞きしたところで、美咲さんの創業支援のあり方についてもお聞きしたいです。創業の相談を受けるとき、相談者の抱えている悩みや不安に対して美咲さんはどんなサポートの仕方を心がけていますか? 

事業内容の壁打ちに入る前に、まずはその人の状態を理解するようにしています。事業をやっていく上での具体的な相談や、事業の実現可能性を話し合うことはもちろん大事なんですが、目の前の人が、元気なのか、元気じゃないのか。何かに悩んで苦しそうなのか、むしろ「どんどんやってきたい!」というフェーズなのか。その部分の見極めは気にするようにしていますね。

私の場合、何かに特化したスペシャリストというよりは、幅広く対応するジェネラリストみたいな部分があるんです。前職の頃は、「自分が全部やらなくちゃ」という考えもあったんですが、塩尻に来てからは「スナバ」のコミュニティや、長野県内のあらゆるスペシャリストとのつながりができました。

だから、まずは私が話を聞いて、そこからもっと力になれそうな人がいればお繋ぎする。例えるなら、私が得意なのは「健康診断」なんです。まずは今その人がどんな状態かを探り、課題に応じて適任な人や機関を紹介する、みたいな。

――なるほど。まずは話を聞いて、状況を正しく理解し、適切な支援に繋げていく。

それから、日々相談を受けていて思うのは、周りに起業している人たちのコミュニティがあるのとないのとでは全然違うんだなということですね。

個人事業主や、創業者というのはもちろん自分一人で事業を回していくものですが、それでも困った時に肩を叩いて相談できる相手が身近にいるかはすごく重要だなと思います。具体的なアドバイスをもらえなくても、「いいと思うよ」「やってみようよ」と言われるだけでも、前に進める部分があると思うんです。

――たしかに、全く同じアイデアでも、「いいと思うよ」と「そんなの無理だよ」と言われるのとでは、その後どうなるかが大きく左右されそうですね。

全然違うと思います。「スナバ」では、そうやって否定する人はいなくて、「まずやってみよう」みたいな価値観がありますね。「何かしたいけど、でも……」と悩んでいる人に対しても、「誰も止めてないよ!やっちゃいなよ!」と冗談で声をかけるくらいで。

やるかやらないかは、自分次第。それをドライだと感じる人もいるかもしれないけれど、起業するということは、結局最後に決めるのは全部自分なんです。だからこそ面白いし、自分で決めて、自分でやるから社会が変わる。

一人ひとりが自分らしく生きていく未来のために

――メンターは、「やるかやらないか」を決めてくれる人ではなくて、あくまでその人の「やってみたい」という勇気を後押ししてくれる存在なんですね。美咲さんご自身の、伴走支援をするモチベーションはどこから来ているんでしょうか。

私の仕事は、みんなをロケットの発射台まで連れていくことだと思っています。一番大変なのは、まず発射台まで行くこと。自分でちゃんと覚悟を決めて発射したら、その先はきっとすごく楽しいはず。

語弊を恐れずにいうなら、正直、発射した後はあんまり興味がないんです。自分が相談にのった相手が、大成功して大富豪になるとか、大企業に成長してほしい、みたいな思いはありません。ただ、自分で思い描くように生きてもらいたい。そのために、「行けるよ!行こうよ!」と連れていくのが私の役割かな。

――自分らしく生きる人が増えていってほしいと。

私の根っこには、「多様性がある社会で生きたい」という思いがあるんだと思います。多様性って何だろうと考えた時に、いろんなジェンダーがあるよねとか、男女比がどうとかいう話もありますが、個人的には「一人ひとりが自分らしく生きた結果」から生まれるものが本当の多様性だと思うんです。

そして、私のしている伴走支援や「誰かを鼓舞する」という行為は、そのために絶対に必要なことだという覚悟と自負がある。みんなそれぞれやりたいことはあるはずで、きっと実現できる。だけど、それにはちょっとでも背中を押してくれる人や、応援する声や言葉、道具が必要。そこを少しでも「ポンッ」と後押ししてあげることで、あとは自分から進んでいける。その先にある未来が見たくて、私はこの仕事をしているんだと思います。

――最後に、これから起業を考えている人や、SSSWに相談をしてみようかな、という人にメッセージをお願いします。

「人に話す」ということは、起業に向けた最小単位のアクションであるということです。一番ローコストで、でも確実なアクションでもある。

起業をするとなると、リスクやコストを考えてしまうと思いますが、実はローリスク・ローコストでできることはたくさんあります。自分の事業について話すというと、最初は「怖いな」とか「大変そうだな」と思うかもしれませんが、「言葉にする」というアクション自体に大きな価値がある。

そうやって勇気を出して、小さなアクションを少しずつやっていくことで「出来た!」という達成感に繋げていけば、そこからいろんなことが開けていくはず。資金をかけなくても、「人に話す」という小さなアクションができることを知ってほしい。そして、そのアクションを実行できた自分を褒めてあげてほしいです。

岩井美咲さんのfacebook/instagram
スナバのHP https://www.sunaba.org/

<SSSWの個別相談受付>

メールでのご連絡 shinshuss@tohmatsu.co.jp
お電話でのご連絡 070-4548-2758

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2024.9.13

「誰かに相談することも一つのアクション」挑戦する人を鼓舞する、創業支援のあり方【前編】SSSW相談員インタビューvol.1

2024.9.13

それぞれの女性の、それぞれの起業へ。信州で起業を目指す女性をサポートする信州スタートアップステーションウーマン(SSSW)では、個別相談窓口を設け、事業アイデアのブラッシュアップなど起業に関する相談をはじめ仕事と家庭・子育てとのバランスやコミュニケーションの取り方など幅広く相談に対応しています。

中信エリアのメンターとして活動しているのが、塩尻市を拠点に「Kobu. Productions」の屋号で活動している岩井美咲(いわい・みさき)さんです。新卒の頃から、起業家のコミュニティづくりや事業伴走を行ってきた美咲さん。社会にインパクトを生み出す事業家や活動家のインタビューやライティング、ブランドの立ち上げ支援も行っています。

2018年に、塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」の立ち上げに参画したことから、2020年に移住・独立した美咲さん。ご自身のこれまでのキャリアや、メンタリングの際に大切にしていること、未来の起業家への思いを聞きました。

<お話を聞いた人>
Kobu. productions 岩井美咲さん
東京⽣まれ。Impact HUB Tokyoに新卒で⼊社後、起業家のコミュニティづくりや事業伴⾛を行いながらプログラムやイベントを運営。2018年より長野県塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」の⽴ち上げに参画した後、2020年に塩尻市に移住&独立。屋号の由来である「⿎舞する」をテーマに、向き合う⼈のビジョンや課題を掘り下げ、必要な伴⾛を提供しつつ企画を⼀緒に実現していく。事業内容は PV 制作やブランド⽴ち上げから経営伴⾛まで多岐にわたる。

人との出会いが変化につながる。シビック・イノベーションを生み出す拠点「スナバ」

――美咲さんの普段のお仕事内容や、働き方について教えてください。

週の半分くらいの時間は「スナバ」のコミュニティ運営業務に当てており、残りの半分の時間はこれから立ち上げるプロジェクトのブランディングやコンセプトづくり、個別相談による支援や経営伴走を行っています。ライター・編集者としても活動していて、インタビュー取材や、人の思いを聞いて、次にやりたいことの後押しをするようなコンセプトを一緒に考える言語化のサポートもしています。

自分が仕事をする上で、「誰かを励ます」ということはすごく大きい要素です。屋号に入っている「Kobu」は、鼓舞という言葉から取りました。何かをするときに「鼓舞する、鼓舞される」関係性があると、腹の底から力が湧いてくるような感じがあって。私は、そういう仕事をしていきたいと思っています。

――美咲さんが運営に携わる「スナバ」はどんな場所ですか?

「スナバ」は、2018年8月に「シビック・イノベーション拠点」として塩尻市でオープンしました。「生きたいまちを共に創る」というビジョンを掲げ、地域のいろんな人たちが交わることによって、他では生まれなかったものが生まれる拠点になることを目指しています。

現在の登録者数は150人近くおり、集まる人たちは、起業家、フリーランス、地域おこし協力隊、会社経営者、会社員、アーティスト、行政職員、小中高生など、さまざまな職種、年代の人たちです。

――「シビック・イノベーション」とは?

造語ではあるのですが、草の根的な小さなアクションから生み出される変化のことです。「シビック」には「市民の、市民による」という意味があります。「イノベーション」と聞くと最先端の技術で人類を地球に送るとか、なにか大きなことに感じるかもしれませんが、たとえば日々生活の中に「もっとこうしたらいいのに」「誰かなんとかしてくれないかな」といった小さな課題があると思うんです。

それらの解決を、行政や大きな企業に委ねるのではなく、「自分達で解決するためのアクションができるんだ」と一人ひとりが思うようになれば、まちはよりよく変わっていくはず。「スナバ」では、そのための活動支援や取り組みを行っています。

――「スナバ」で美咲さんが担当している業務や、創業支援の取り組みがあれば教えてください。

メインの業務は、コミュニティの運営です。メンバーの人たちが快適に仕事できるように場所を整理したり、コーヒーを淹れたりといった場の維持管理から、雑談も含めてメンバーの壁打ち相手になったり、一緒にイベントを企画したり、メンバー同士をつなげたりと、ここで生まれた出会いや対話がなにかにつながるようなサポートをしています。

また、「SBB(スナバ・ビジネスモデル・ブートキャンプ)」という短期プログラムのセッションも担当しています。これまでに9回ほど開催していますが、今期の私の担当は創業計画書の作成でした。新しく事業を立ち上げる人が、なぜその事業をやるのか、誰のために、どんな課題をどう解決したいのか、という部分を整理して線で繋ぎ、ちゃんと事業にいかせるようにするにはどうしたらいいかを、数値計画と一緒に考えるセッションを行いました。


SBBのピッチイベントでの様子。起業家同士の学びあいもSBBの醍醐味の一つ

ほかにも、高校生・高専生向けに「エヌイチ道場」という起業家教育プログラムも担当しています。「なにかやりたい」「探究の授業だけでは足りない」という思いを持った高校生たちのアイデアを形にするため、約4ヶ月間伴走支援を行っています。

人見知りでも、人と人の出会いをつなぐことが好きだった学生時代

――美咲さんは、新卒の頃から現在まで、コミュニティづくりや場づくり、創業の伴走支援に携わっていますが、昔からそういった仕事に興味があったのでしょうか。

今思えば、大学生の頃からおぼろげながらも場づくりやコミュニティ運営的な活動を始めていました。

大学入学直後に、大学の近くのおしゃれなカフェを見つけて、アルバイトの申し込みをしに行ったんです。そうしたらそこは学生団体が運営しているカフェで、「スタッフは全員ボランティアだけどいい?」と聞かれて。「バイトじゃないの?学生が運営って?」と思いつつも、断れずにそのままスタッフになりました。

そこから、カフェスタッフとして働きつつ、メニュー開発をしたり、カフェの運営についてみんなで考えたりと、がっつり経営側として動くようになりました。

――計らずして場の運営に携わることに。

ザ・大学デビューのつもりだったのに(笑)。でも、いざやってみたらすごく楽しかったんです。経営や、場の運営に興味を持つようになったのはあの時の経験が大きいですね。

それから、大学3年生の時にスウェーデンに留学したことも大きかったです。そこでは、12の部屋と共同スペースがセットになったシェアハウスみたいな寮に、ドイツ、ナイジェリア、コロンビアなど、11国籍の生徒がそれぞれ集まって暮らしていました。そこで、毎月それぞれの国の料理をみんなで作って食べるディナーを企画したんです。

――それはもともとあったイベントではなく、美咲さんの発案で?

はい。私自身は人見知りなんですが、いろんな人たちが出会う場をオーガナイズすることが好きで。誰に頼まれたわけでもなく、「なにかやりたい!」と思って自分から動いていました。

――そこから卒業後も「場づくり」的な仕事を探すように?

留学生活を終えて帰国したら、周りの同級生はみんな就活を終えていました。自分もなんとなく就活を始めたんですが逆カルチャーショックになってしまって。日本語がうまく話せなくて面接が受けられず、英語だけで選考ができる企業の選考になんとか通って……、という状況でした。

さらに、当時のバイト先をクビになってしまって。「次にアルバイトをするとしたら、自分のやりたいことに繋がるバイトをしたい」と考えた時に、飲食関係は自分のやりたいこととは違うかもしれないなと。

大人になっても人は変われる。起業家たちとの出会い

――それはどうしてですか?

飲食店というのも一つの「場」ではありますが、お客さんはそこでの出会いに期待して行くというよりは、メニューに惹かれて行くとか、決まった人と寛いだら帰っていくものだと思うんです。でも、留学中に知らない人同士が出会う場をオーガナイズする経験をしたことで、「知らない人同士がつながって、何かが生まれる場所」を作りたいなと感じるようになって。

「そんな場所はないかな?」と調べていく中で、どうやらコワーキングというものがあるらしいと知り、ちょっとビビっと来たんです。ネットで「コワーキング 東京」と調べたら、起業家による起業家コミュニティを運営する「Impact HUB Tokyo」が出てきて、ちょうどスタッフ募集をしていたので連絡してみた、というのがこの世界に足を踏み入れた最初のきっかけです。

「Impact HUB Tokyo」では本当にいろんな経験をさせてもらいました。私は新卒で入社したので、起業経験が全くない中でのスタートでしたが、いろんな人が集まってくる空間にいられることがとても楽しくて。

――「人と人が出会って何かが生まれること」にずっと興味があったのですね。「Impact HUB Tokyo」で、起業家の人たちに出会ってから、美咲さん自身にはどんな発見がありましたか?

「大人になっても人って変われるんだ」という驚きがありました。昨日まで背広を着ていた人が、起業を経て急にサンダルや短パン姿になって、どんどん顔つきが変わっていく。コミュニティマネージャーとして相談に乗っていた人たちが、前に進んでいく様子を見ているのはすごく充実感がありました。

――人が変わっていく瞬間に間近で立ち会えるのはとても面白そうですね。

そうですね。そして何より、コミュニティの可能性も感じました。

高校や大学までは、同じクラスだったり同じ授業を取っていた友人がいたとしても、卒業して就職するとてんでバラバラになってしまいますよね。生きる中でそれぞれ変化があって、別れがあることはしょうがないけれど、それはちょっと寂しい。

でも、自分が場所を一つ持っていたら、みんないつかそこに帰ってきて、自分の変化を共有できたり、そこからまた新しい出会いが生まれたりするかもしれない。そうしたらもっと面白いだろうな、と、漠然と考えるようになって。そういう気持ちからコワーキングや起業家のコミュニティスペースへのドアが自分の中で開いていったんだと思います。

入社当初は20人程度だった「Impact HUB Tokyo」のコミュニティは250人を超え、どんどん成長していきました。その頃に、塩尻市で「スナバ」を立ち上げる話が出てきたんです。

・・・

インタビュー後編では、「スナバ」立ち上げのための伴走支援、長野での独立を選んだ経緯や、メンタリングで大切にしていることを聞きました。

岩井美咲さんのfacebook/instagram
スナバのHP https://www.sunaba.org/

<SSSWの個別相談受付>

メールでのご連絡 shinshuss@tohmatsu.co.jp
お電話でのご連絡 070-4548-2758

EVENT
2024.9.13

信州オープンイノベーションフォーラム

主催:長野県・八十二インベストメント株式会社
開催期間:2024/10/11
2024.9.13

県内全エリア

AIやIoT等の新技術による変革が絶え間ない今日において、企業が収益力の維持・向上を図るためには、自前主義を脱却し、新しい技術やアイデアを持つスタートアップ企業との協業(オープンイノベーション)へ積極的に挑戦し、新たな価値を創出していくことが極めて重要です。この度、県内のオープンイノベーションの気運醸成を目的とした県内企業とスタートアップ企業の出会いの場として「信州オープンイノベーションフォーラム」を開催します。新規事業を検討されている県内企業の経営者様、新規事業ご担当者様のご参加をお待ちしております!

日程: 2024年10月11日(金)15:00-17:30
場所: FEAT.space(長野市大字長野東町131)+オンライン配信
タイムスケジュール:
14:30~15:00 開場・受付
15:00~15:15 開会あいさつ(長野県・八十二インベストメント)
15:15〜16:05 基調講演①「長野県におけるオープンイノベーションの可能性 ~共創で広がる新たな価値~」シナノケンシ株式会社 代表取締役社長 金子 行宏 様
16:05~16:35 基調講演②「パナソニックにおける知財起点のオープンイノベーション」
パナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社 知的財産センターR&Dオープンイノベーション担当主幹 関 章 様
16:35~16:45 休憩
16:45~17:30 スタートアップ企業ピッチ
17:30~ 交流会

基調講演①
「長野県におけるオープンイノベーションの可能性 ~共創で広がる新たな価値~」
シナノケンシ株式会社  代表取締役社長 金子 行宏 様

●プロフィール
東北大学大学院理学研究科化学専攻を修了後、花王(株)に入社し、ハウスホールド研究所での研究に従事。
2012年に退社後、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてFull time MBAを取得。
2014年に帰国し、シナノケンシ(株)に入社。
2018年から取締役、2021年から代表取締役常務を務め、コーポレートブランド「ASPINA」立ち上げをはじめ経営戦略や新規事業開拓などを担当。新規事業開拓の手法としてオープンイノベーションに着目し、スタートアップとの連携をグローバルに進める。
2024年には東京大学EMPを修了。同年5月に代表取締役社長に就任。企業の成長と革新をリードする。

基調講演②
「パナソニックにおける知財起点のオープンイノベーション」
パナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社 知的財産センターR&D オープンイノベーション担当主幹 関 章 様

●プロフィール
松下電子工業(株)(現、パナソニックHD(株))に入社後、半導体開発を担当。
その後、経営企画、特許取得やライセンス業務全般に従事する。
一方、社外では、日本知的財産権協会専門委員会に所属し国際委員会の委員長や国際知的財産保護フォーラム(IIPPF)の委員なども経験。
2015年から遊休知的財産(特許権、ノウハウなど含む)を活用し、オープンイノベーション、中小企業などとの知的財産マッチングを地方公共団体、第三者(銀行など含む)と連携して推進。
株式会社KOMPEITO 代表取締役 渡邉 瞬氏
「世の中にシゲキをつくる」をミッションに、2012年に設立。2014年より“設置型健康社食®”「OFFICE DE YASAI」をスタート。全国で累計13,000拠点以上に導入いただいています。

【主催】長野県(信州スタートアップステーション)、八十二インベストメント株式会社

【共催】株式会社八十二銀行、八十二キャピタル株式会社、長野県信用組合、株式会社日本政策金融公庫

【後援】長野県経営者協会、長野県中小企業団体中央会、一般社団法人長野県商工会議所連合会、長野県商工会連合会、長野信用金庫、上田信用金庫、長野県信用農業協同組合連合会、長野県信用保証会、長野市、一般社団法人長野イノベーションベース

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2024.9.9

「信州ベンチャーコンテスト2024」~あなたが創る!信州の未来!~ビジネスプラン・アイデアの募集中です。

募集期間:2024/09/09〜2025/03/31
2024.9.9
イベント/セミナー/研修を探している 資金調達(投資/融資)を検討している 資金調達(補助金/助成金)を検討している

飯山エリア

長野エリア

大町エリア

松本エリア

木曽エリア

飯田エリア

伊那エリア

諏訪エリア

上田エリア

佐久エリア

今年度で11回目を迎える「信州ベンチャーコンテスト2024」では、信州を元気にする新たなビジネスプランやビジネスアイデアを募集しています。「こんなアイデアを実現させたい」「こんな事業をしてみたい」とお考えの皆様、ぜひご応募ください。
本コンテストは、創業意欲を高めるとともに、「信州を元気にする」新規のビジネスプランやビジネスアイデアを持つ皆さんに発表の場を提供し、プランやアイデアの実現を促進することを目的としています。
起業部門、アイデア部門、高校生部門を設けて、「信州を元気にする」新規のビジネスプランやビジネスアイデアを発表していただき、優れたプランやアイデアを表彰します。また、参加者や支援者(サポーター)とのマッチングや交流などを行います。

信州ベンチャーコンテスト2024についてはこちらから

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2024.9.9

信州・創業入門ゼミin東信

2024.9.9
イベント/セミナー/研修を探している 資金調達(投資/融資)を検討している 資金調達(補助金/助成金)を検討している

上田エリア

佐久エリア

新規事業を成功に導くために必要な心構えや基礎知識を学び、様々困難を乗り越えるための2日間の入門講座。専門家講師のもと、ディスカッションを重視したゼミナール形式の講義運営が特徴です。自分なりの事業計画書を書いた先はお近くの商工会・商工会会議所の経営指導員が伴走して、計画の実行や各種支援施策の活用をサポート致します。

詳細についてはこちらから

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2024.9.6

佐久市空き店舗対策事業補助金

2024.9.6
資金調達(投資/融資)を検討している 場所や施設を探している

佐久エリア

佐久市では、市が管理する空き店舗情報に登録されている物件を賃借して、新たに事業を営む方を支援します。
改修費用と賃借費用の一部を市が負担します。
詳しくは佐久市のホームページをご覧ください。

佐久市空き店舗対策事業補助金について

ARTICLE
2024.9.6

佐久市創業支援資金

募集期間:2024/09/05〜2025/03/31
開催期間:2024/09/05〜2025/03/31
2024.9.6
資金調達(投資/融資)を検討している

佐久エリア

佐久市では創業された事業者様向けの融資を低金利で行っています。
創業前の事業者様で空き店舗を利用する場合は、利子を一部負担する制度もございます。
詳しくは佐久市のホームページをご覧ください。

中小企業融資制度資金について

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2024.9.6

長野市の経営者と共に新規事業を立ち上げながら起業を目指すプログラム 「NAGA KNOCK!(ナガノック)」が参加者の募集開始!

募集期間:2024/09/05〜2024/10/05
開催期間:2024/10/05〜2025/03/31
2024.9.6
イベント/セミナー/研修を探している とりあえず事業の相談がしたい 他の企業との協業を検討している

飯山エリア

長野エリア

大町エリア

松本エリア

木曽エリア

飯田エリア

伊那エリア

諏訪エリア

上田エリア

佐久エリア

●NAGA KNOCK!(ナガノック)とは?
長野県外在住の方が、長野市で社会課題解決に向けた取り組みを行いたい経営者と共に新規事業を起こす、約半年間の実践型プログラムです。
プログラムへの参加後もプロジェクトの継続を目指し、 副業の継続や起業・法人登記、受入企業と共に新会社設立や企業への転職などで、継続的に地域に関わることが可能です。

これまで参加された方は、
・協働した社長と共に新会社の立ち上げ
・プロジェクトメンバーと共に起業(法人登記)
・長野市内への移住、継続して企業のプロジェクトへの参画
など、NAGA KNOCK!をきっかけに新しい道を切り開いております!

\\こんなあなたに来てほしい!//
・長野が好き!なんらかの形で関わりたいと思っている!
・新規事業や異業種へのチャレンジをしてみたいと思っている!
・将来的に長野市での起業や転職を考えている!

どれか一つでも「ピン!」ときたら、ご参加をオススメします!
詳細はNAGA KNOCK!の公式HPをご確認ください♪
▷NAGA KNOCK!公式HP:https://nagaknock.etic.or.jp/

■募集中の副業プロジェクト!(一部抜粋)
・子育て支援施設「木育ひろば」を活かして、
全国の工務店、不動産業者が真似したくなる営業/販促の仕組みを作る!
(株式会社熊木住建 )
▶詳細:https://yosomon.etic.or.jp/projects/290

・長野県産のお米で米粉パンとスイーツのローカルサプライチェーンを構築し、地産地消と食料自給率向上を目指す新規事業プロジェクトのマネジメント業務
(株式会社丸冨士)
▶詳細:https://yosomon.etic.or.jp/projects/304

・長野駅前の外国人観光客のニーズを掴め! 
地域広告会社のリソースを活用した 全く新しい0→1事業に取り組む起業家を募集!!
(株式会社ながのアド・ビューロ)
▶詳細:https://yosomon.etic.or.jp/projects/296

・「和」を 着る・学ぶ・集う 全てを支えるライフスタイルカンパニーが挑む
きもののリユース・リサイクル新規事業 プロジェクトリーダーを募集!
(株式会社たちばな)
▶詳細:https://yosomon.etic.or.jp/projects/295

その他、複数のプロジェクトが募集中です!
プロジェクト一覧:https://nagaknock.etic.or.jp/project#project

<プログラム概要>
・プログラム期間:2024年10月5日(土)〜2025年3月31日(月)
・場所:長野市、オンライン
・プログラム参加費:33,000円(税込)
・エントリー締切:2024年10月1日(火)
※締切日に関わらず、マッチングが完了したプロジェクトはエントリーを締め切らせていただきますのでご了承ください。

NAGA KNOCK!について

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2024.9.4

SSSコラム⑦人材獲得について

2024.9.4

担当:SSSコーディネーター久保

こんにちは、SSSコーディネーターの久保です。今回はスタートアップ企業が抱える「人」の悩みについて、お話したいと思います。(※本コラムの内容は執筆者個人の見解であり、長野県やSSSの公式見解ではありません。)

人手不足が叫ばれる時代であり、どの企業にとっても人材獲得や採用は経営上の大きな課題となっています。特に、社員数が比較的少ないスタートアップにとっては、一人の採用によって大きく会社の雰囲気が変わる可能性があり、場合によっては大きな成長を遂げることもあれば、経営リスクに直面することもあり得ます。

後者の可能性をゼロにはできないですが、大事なポイントを抑えておくことで、そのリスクを低くすることができます。重要なポイントとして、今回は入口となる人材採用について書いていきます。

現在、様々なツールやエージェントを利用することができる環境であり、それぞれの利用については様々なウェブサイトでサービス内容、金額、特徴などが紹介されています。ぜひ、それぞれの細かな点はご自身でも調べてみてもらえればと思います。ただ、どんなサービスやツールを利用する場合であっても、採用に際して重要なポイントは、①その人が自社の他メンバーと働いて活躍できる姿が想像できるか、②その人は自社のパーパスに共感しているか、だと考えています。

  • 他メンバーとの相性

まず、社員数の少ないスタートアップ企業にとっては、いくら優秀な人材であっても、代表者または他のメンバーとの相性が悪い場合、その人材の獲得によって会社全体の雰囲気が悪くなってしまう恐れがあります。一方、全社員と相性が合うことも非常に稀であるので、その組織の中の最小単位チームを候補人材と他メンバーとで構成して活躍する姿が想像できれば、候補になりえるでしょう。

世の中、様々な性格や働き方(仕事のスピード、進め方、メールの書き方、チャットの使い方、等々)があるなかで全社員と相性があう一人の人材と巡り合うことは、なかなか難しいのではないでしょうか?最小のチーム(2~3名)を他メンバーと構成して活躍するイメージが湧くようであれば、採用を考えてみて良い人材だと思います。その際は、同メンバーとも人材について共有しておき、場合によっては面談に同席してもらうなど、代表や役員だけでなく他メンバーの意見を聞くことがミスマッチを防ぐ際に有効です。

  • パーパスへの共感

パーパス経営という言葉が広まっている通り、スタートアップも含め多くの企業が、「自社が存在する社会的な意義を定義し、その意義を実現するために経営する」スタイルを採用し始めています。特にスタートアップ企業にとっては、なぜそのビジネスをやるのか?を問い続ける機会が多く、パーパス経営に自然に取り組んでいるのではないでしょうか。

そのパーパスに対して、候補人材はどれほど共感しているのか、当社でどのように実現させていくのか、という点は面談時にぜひ確認いただきたいポイントです。スタートアップでは一人一人のメンバーが決定を迫られる場面が多くありますが、パーパスへの共感が十分であれば、判断基準や方針が社員間でぶれることが少なくなります。

逆に、学歴や職歴、面談時の話し方などから優秀だな、と思った方であっても採用時にパーパスへの共感が不十分であれば、優先順位は低い候補で良いかと思います。長く在席してもパーパスへの共感は必ずしも高まるわけではなく、面談時でズレを感じる人材とは、採用後もズレをずっと感じてしまうかもしれません。

上記の①および②を重視する採用は、採用業界では「カルチャーフィット」という用語で知られています(反対の意味を指す言葉は「スキルフィット」)。自社のカルチャーを構成するメンバーや経営のパーパスと候補人材とがどれほどフィットするかを考えることが、スタートアップにとっては重要です。

今回は、スタートアップが人材獲得に取り組む際に押さえておくべきポイントを絞ってお話しました。もちろん、各企業の事業内容やメンバーの個性によって、人材獲得で利用するサービスやスタイルも様々な方法があり得るかと思います。それでも、比較的社員数が少ない状態で大きな成長を目指すスタートアップにとって重要なポイントは変わらないと考えています。今後新たなメンバーを獲得する際には、ぜひ参考にしていただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

EVENT
2024.9.3

ドゥーラという仕事を生み出した経験から考える”母親”に寄り添う仕事、働き方

募集期間:2024/09/03〜2024/09/30
開催期間:2024/09/30〜
2024.9.3
イベント/セミナー/研修を探している とりあえず事業の相談がしたい

飯山エリア

長野エリア

大町エリア

松本エリア

木曽エリア

飯田エリア

伊那エリア

諏訪エリア

上田エリア

佐久エリア

本セミナーでは、「子育てに励むお母さんに寄り添いたい。」そんな願いから起業された、一般社団法人ドゥーラ協会設立者である石岡香澄さんをお呼びし、「母親に寄り添う仕事」を創出した経験を通じて、日本の「母親」の現状についてや、自身の起業までのプロセス。また、母親が仕事をする、特に起業をする際の課題や意識すべきポイントはなにか?それに伴う必要なサポートについてなど、ざっくばらんにお話をお聞きします!

【日時】2024年9月30日(月)12時〜13時 
【場所】オンライン開催
【費用】無料
【こんな方におすすめ】
✔️起業を考えている子育て中の方
✔️女性の働き方や支援に関心のある方

EVENT
2024.9.3

人生100年時代に考える”わたし”の働き方、生き方

募集期間:2024/09/03〜2024/09/21
開催期間:2024/9/21〜
2024.9.3
イベント/セミナー/研修を探している とりあえず事業の相談がしたい

長野エリア

本ワークショップでは、人生100年時代における自分の働き方や生き方について深く考える機会を提供します。参加者が自身の現在の状況、将来の目標、そしてその目標に近づくための具体的なステップを明確にすることを目的としています。ワークを通じて自分自身を見つめ直し、起業・創業に向けて新たな視点を得ることができます。

【こんな方におすすめ】
✔️自分の働き方や生き方を見直したい方
✔️起業や創業に興味がある方
✔️自分の将来に対して具体的なビジョンを持ちたい方

詳細についてはこちら

ARTICLE
2024.9.3

「好きなことをしてギリギリで生きていこう」から始まったコーヒースタンド。「学生起業」のリアルと卒業後の現在地【後編】先輩起業家インタビューvol.5

2024.9.3

起業する。会社を立ち上げる。「創業」と一口にいっても、そのあり方は人それぞれ。同じ選択や道筋は一つとしてありません。魅力的な先輩起業家が数多く活躍している長野県。SHINKIの先輩起業家インタビューでは、創業者の思いやビジョン、創業の体験談や、本音を掘り下げます。

「最初は、『ゴージャスに生きなくていい。ギリギリでもいいから、好きなことをして生きていこう』と思っていたのに、いざお店を続けていくうちにやりたいことが増えてきて。だんだん『頑張って売上を伸ばしていこう』という姿勢に変わってきました」

長野県立大学在学中に長野駅前でコーヒースタンド「ODDO COFFEE」を立ち上げた小倉さん。大学卒業後もお店の経営を続け、現在は新店舗オープンに向けた準備を進めている最中です。

インタビュー後編では、コーヒースタンド立ち上げの経緯、独立後の心境の変化、これからの展望を聞きました。

<お話を聞いた人>

ODDO COFFEE 小倉翔太さん
静岡県出身。長野県立大学グローバルマネジメント学科起業家コース卒業。在学中に「ODDO COFFEE」を開業。現在は長野駅前にコーヒースタンドを展開し、コーヒー豆の仕入れ、焙煎、販売を行う。

「学生のうちにやるしかない」舞い込んできたチャンスを掴んで

――インタビュー前編では、ODDO COFFEEが動き出すまでの経緯をお聞きしました。本格的に事業を始めるにあたって、誰かに相談はしましたか?

コーヒーサークルODDOを立ち上げた時点で、ソーシャルイノベーション創出センター(以下、CSI)※1に今後の活動について相談に行きました。そこでは、「これからどんなことをしたらいいか」というアイデアベースの相談から、借入の仕方、経営を続けていくための利益の出し方などビジネス面の相談もさせていただきました。

また、CSIからの紹介で信州スタートアップステーション(以下、SSS)にも相談に行きました。そうして相談を重ねる中で、担当コーディネーターの方が現在のODDO COFFEEがある場所の持ち主の方と繋げてくださったんです。ビルの改修の構想の中にカフェ機能が入っており、まずは1〜2ヶ月間チャレンジショップとして店を開いてみないかと。

――いざ具体的に話が動き出したときはどう感じましたか?

「学生のうちにやるしかない」という気持ちでした。当時僕たちは大学3年生で、このまま就職してしまったら自分達でお店をやろうとするのは難しくなるだろうなと。

声をかけてもらったのが2022年の11月くらいで、オープンは2月だったので、やると決めてからはとにかく駆け足で準備を進めてきました。何も進んでいない状態で始まって、やっていく中で段々と形になってきた気がします。

――実際にお店が始まってからの手応えはどうでしたか?

もちろん、お店が形になってうれしかったです。でも、当時はまだサークルのメンバーと一緒に、4人体制でお店を回していたので、週に数回しかお店に立っていませんでしたし、豆の焙煎もしていましたが、何かが思い浮かぶわけでもなく、「一旦頑張っています」ぐらいの姿勢でした。

※1CSIとは・・・社会課題解決に取り組む事業者支援や産学官連携を行う、長野県立大学の地域連携拠点

周りが就活を始める中で、「自力でやっていく力」をつけることを選んだ

――意識が変わったのはいつ頃からですか?

他のメンバーが就職活動に向けて動き出した頃です。立ち上げ当初から、もともと自分がやりたくてやってきたことではあったので、いつか1人でやるタイミングが来るだろうと考えてはいたのですが、「今の姿勢のままではいけない」と感じ、メンバーのみんなに「今後は僕一人でやっていこうと思う」という話をしました。いざ一人で店に立ってみたら、店内の調度品の配置一つとっても「ここは良くないな」「もっとこうした方がいいな」というのが見えてきて。

それから、大学の授業で事業計画書を書き上げたのも大きかったと思います。一度将来の具体的な計画を立ててみたことで、「事業として続けていけるかもしれない」という実感が湧いてきました。

――お店の経営が自分ごとになってきたと。メンバーも含めて、周りが就活をし始める中で、小倉さんが「一人でやっていこう」と決められたのはどうしてですか?

極論かもしれませんが、アルバイトを辞めた時点で「僕は社会で働けないのかもしれない」みたいな気持ちがあったんです。今思えば、アルバイトと会社に就職して働くというのは全然違うものなので、もしかしたら就職して働くこともできたのかもしれません。

でも当時は、「いやな気持ちを抱えながらどこかで働くくらいなら、今のうちに一人で商売をしていけるようになった方がいいかもしれない」と考えていました。

――自分でやっていく力を磨いた方が生き残れるかもしれないと。

そうですね。だから、「たくさん儲けたい!」みたいな意欲も一切なかったです。「ゴージャスに生きなくていいから、好きなことをしてギリギリで生きていこう」という気持ちでした。

――実際のところ、独立後は「好きなことをしてギリギリ」状態なのでしょうか。

いえ、いざ自分でお店を経営するようになると、だんだんやりたいことが増えてきて。やりたいことを実現するためには売上を伸ばす必要がある、そのためには新しい取り組みや先行投資が必要で、それを続けていくと、結果として利益が出る。

たとえば、買う豆の量が増えると、使うお金が増える。その次の月の売上が少ないと、支払いができないという状況になります。でも、「じゃあ無理しなくていいや」ではなく、あえて仕入れ量を増やして「売上をあげるしかない」という状況に自分を追い込んでいくようになりました。最初にイメージしていたスケール感に比べて、今の事業の規模はもっと大きくなっていますね。

――お店を経営する中で、また意識が変わってきたと。

今でも、最終的にはのんびりお店をやりたいと考えています。でも、そのためにはODDO COFFEEとしての価値をしっかりと作り上げて、どこに行ってもお店ができるような状態にならないといけないんだなと分かってきました。

たとえば、最近は長野駅前の再開発の話が出てきて、この建物自体も将来どうなるかわかりません。今は「ちょっとでも状況が変われば簡単に店が吹き飛ぶぞ」という危機感があるので、まずお店としての力をつけていきたいですね。

まずはトライしてみることで、やりたいことややるべきことが見えてくる

――「好きなことをのんびりやっていく」ためには、ゆるがない土台が必要だと。今は力をつけていく段階だと意識しているのですね。ほかにも、経営していく中で意識が変わった部分はありますか?

駅前に店舗を出してからは、外国人観光客のお客さんと接する機会が増えました。お客さんたちと話をするうちに、「自分は日本人だけど日本のことを知らないな」と感じ、日本文化について勉強するようになりました。

すると、嗜好品という点ではコーヒーと日本のお茶には近い部分があるとわかってきて。お店作りをする上でも茶道の考え方は参考になりそうだったので、茶道を習い始めました。

――それは面白い変化ですね。

さらにそこから、器にも興味を持つようになって。お店で使う器もなるべくいいものにしようと、全国の陶器市に足を運んでは「いいな」と思った器の作家さんを調べて、お店用にオーダーをしています。

――お店で得た気づきから新しいことを初めて、それがまたお店に還元されるサイクルが生まれていますね。小倉さんが、今後新しく挑戦してみたいことはありますか?

来年を目処に、ODDO COFFEEの2店舗目を出す計画を進めています。長野市内で美術商をしている方が、空き家のオーナーさんと一緒にギャラリー兼ショップを出そうという話があって。ギャラリーだけでは売上が立ちにくいので、カフェもやろうという話で、うちに話が来たんです。

茶道を始めてから、美術品や工芸品に興味を持つようになったので、面白そうだなとお話を受けました。ODDOをオープンしたての頃だったら、ピンとこずお断りしていたかもしれません。そもそも、向こうもイベント出店の経験しかない学生には声をかけなかったと思いますし。

――経験を積み、考え方や興味関心にも変化があったからこそ、つながったご縁なのですね。一店舗目の経営は今後も続けていきますか?

続けていく予定です。現店舗ではずっとドリップコーヒーを出しているのですが、駅前はどちらかというと急いでいる方の方が多く、客層とやりたいことが合っていないなという気がしていたんです。

新店舗は、むしろ一杯のコーヒーをじっくり楽しむお店になると思うので、現店舗には新しくエスプレッソマシーンを置いて、スピーディーにコーヒーを提供できるようリニューアルできたらいいなと考えています。

――かつては接客に苦手意識を感じていたとお話がありましたが、新店舗の開店には不安はないですか?

僕は、決して「人と関わりたくない」というわけではないんです。でも僕は、人とコミュニケーションを取って人との関係性を作っていくことが苦手というか、それを放棄してしまうタイプの人間なんだろうなと。

でも、「お店」という形であれば、空間の作り方、サービスの仕方をしっかり作りこめば、最低限のコミュニケーションでも、いい空気や関係性を作れるんじゃないかと。新店舗も、いいお店、いい空間にしていきたいですね。

――自分のお店だからこそ、そういったお店作りのあり方も追求していけますね。最後に、小倉さんのように「好きなことで生きていきたい」と考えている方にメッセージをお願いします。

目の前にあることを頑張っていればいい。それだけな気がします。「長く続ける」という方向性でいつつ、まずはトライしてみて、やっていく中で降りかかってきた要素に一生懸命向き合っていけば、また次にやりたいことが出てくる。それを繰り返していけば、うまく転がっていくのかなと。

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